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“母体救命時の初期対応”を学ぶ!~「J-MELSコース」受講報告~

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藤塚です。 最近、あるドラマで産科医療がとりあげられています。 出産は、医療の現場で唯一、おめでとうと言われる場面であります。しかし、妊娠・出産は実は色々な危険と隣り合わせであり、何事もない妊娠・出産というものが如何にすばらしいことなのか、なかなか気がつかないものです …. 近年のデータでは、6年間で300人程度の妊産婦が死亡しており、毎年50人以上がなくなっている現状にあります。 予期せぬ出血、脳出血、羊水塞栓が主な原因ではあります。 その中で、もしかしたら初期対応がうまくいっていれば… 高次医療機関への搬送システムがしっかりしていれば… ということもあるようです。 救急医も妊娠・出産に関わる医療と密接にかかわることが多くあります。救急医のみならず妊娠・出産に関わる医療スタッフが、母体救命時の初期対応をまなぶ機会として「J-MELSコース」があります。 このコースは、産婦人科や麻酔・救急など6団体が『日本母体救命システム普及協議会』を設置し、妊産婦死亡の低下を目指すため、産婦人科医師のみではなく、救急医・麻酔科・メディカルスタッフと一緒に母体救命法を普及するために作られたものです。 今回は、12/24 クリスマスイブに多くの産婦人科の先生、助産師さん、看護師さんが集まり、このコースを運営・受講されました。     我々救急・集中治療医は、このような産科医療の取り組みに対し、できることを協力していきたいと思います。今後もこのようなコースを通じて、少しでも急変した患者さんを救えればいいなと思います。    

専門科とともに学ぶ vol.3 ~「心臓血管内科」との合同勉強会を開催~

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吉野です.   7 月 13 日に当院心臓血管内科と当科,合同で行われた勉強会の報告となります.     心臓血管内科からは,星野先生より『たこつぼ型心筋症』についてのレクチャーとなりました. たこつぼ型心筋症は,超音波上の形態から名称が名付けられましたが,発生機序は未だ謎のままです. 70% の症例で発症前に何らかのストレス負荷があり,その背景として『冠動脈の多枝同時攣縮仮説』,『カテコラミン過剰産生仮』,『微小血管狭心症仮説』などの病態が推察されているらしいです.   症状・所見としては ・突然発症の胸痛,胸部絞扼感 ・心電図検査での ST 上昇,陰性 T 波( -aVR で認めるも V1 で認めなければかなり有用) ・心筋逸脱酵素の上昇( CK/CK-MB 上昇も伴う事もあるが壁運動低下に比し変動は軽微) ・心臓超音波・左室造影検査での心基部過収縮+心尖部無収縮 ・冠動脈造影検査での冠動脈病変の否定 が非常に有用とのこと.   治療としては多くの場合,一般の心不全に準じた治療を行う事が多いそうです. 予後は急性期を過ぎれば良好であり,多くは 1-4 週間で心機能は病前までの回復が望めます. 具体的な治療法は本図をご参照ください。 それに対して当科からは,吉野が『腎代替療法のトラブルシューティング』についてのレクチャーを行いました. 腎代替療法とは種々の要因で自身の腎臓が働けなくなった際,体外循環を通してその働きをサポートする治療となります. 5 月の勉強会ではその基礎についてレクチャーを行い,今回は『応用編』としてトラブルシューティングについて話をしました(星野先生と違ってあまり学術的なものがなく,ほぼ経験則によるレクチャーだったため,お恥ずかしい限りです … ). トラブルにおいて急を要するものの要因は大きくは①脱血不良,②気泡混入,③圧異常の 3 つがあると考えます. 具体的なトラブルシューティングは本表をご参照ください。 長々と書きましたが,自分たちの専門外でよく分からない,けれどもそれなりの頻度で遭遇する疾患や治療は非常に多いです. そんなものに遭遇したとき,全てを専門家に任せるのではなく,...

専門科とともに学ぶ vol.2 ~「脳神経外科」との合同勉強会を開催~

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増田衛です. 8 月 4 日,当院の脳神経外科合同と当科(集中治療科・救急科)の合同勉強会が開催されました.   今回は頭部外傷について,特に穿頭・ ICP モニター挿入の基準について話し合いました. 重症・多発外傷患者が多く搬送される当院では,脳神経外科の先生方の協力が欠かせません.知識だけでなく,院内事情を考慮した最大の治療効果を出すための共通認識をもつために,非常に重要な会となりました. ちなみに前回は超急性期脳梗塞に対する t-PA 及び血管内治療について開かれ,いかに発症から血管内治療完遂までの時間を短縮できるか,その戦略についての共通認識が得られました.     当院では,根本治療は各科専門の先生に依頼し,当科はプレホスピタル, ER での蘇生・安定化, ICU での全身管理に力を入れる,というスタンスをとっています.そのため,各科とのつながり,コミュニケーション,共通認識が患者の予後に強く関係する,と私は考えています. このため,他科の先生方と勉強会を通して普段から顔の見える関係を作り,共通認識をもつように努めています.   心臓血管内科(次回アップ予定)・整形外科(前回参照)とも同様な勉強会を開いています.詳細は吉野先生・佐々木先生の記事をご参照ください.

専門科とともに学ぶ vol.1 ~「整形外科」との合同勉強会を開催~

佐々木です。 7 月 25 日、第 1 回整形外科・救急科合同勉強会を行いました。 第 1 回は整形外科安藤先生から、「切断指」について講義して頂きました。 講義では、再接着の適応や、群馬県内の各病院の手の外科専門医の数や受け入れ状況などを教えて頂きました。これらの点はドクターカー・ドクターヘリで対応する際に非常に有用でした。 また、整形外科にコンサルトした後の患者さんの経過についても教えて頂きました。 まず、私達救急科がコンサルトした後に最初の手術を行い、術後は手を心臓より高くした状態で絶対安静、その後再手術も経ながら機能回復まで約 2 年間、お付き合いをするそうです。   患者さんは基本的には指以外は元気なので、喫煙者の方は指の血流を保つために禁煙を強いられ、しかも絶対安静という患者さんの苦労と、それを口酸っぱく指導する主治医の先生の苦労、そして外来での付き合い 2 年間と、私達が知らないところでの様々な大変さを思い知りました。     講義後には意見交換も行われ、整形外科の先生からは、救急隊への切断指のレクチャーを行いたい要望や、所見の共有方法としてこれまで通りの電話相談に追加して、写真で共有する方法について提案などがありました。 このほかにも今後に繋がる建設的な意見が挙げられ、非常に有意義な勉強会となりました。     整形外科の先生方、ご協力頂き、本当にありがとうございました。  

“Time is Brain!”~日本医科大学 横田裕行先生ご講演~

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中村です. 6 月 28 日(水)第 115 回地域連携学術講演会が開催されました. 一般口演は,当院 脳血管内治療センター長の狩野忠滋先生より『血管内治療による急性期血行再建の現状』を講演頂きました. 中村が脳神経外科医をしていた頃よりも脳梗塞の治療は数段進歩しています.当科は,ドクターヘリや ER での治療において脳梗塞の患者をどれだけ早く,安定した状態で血管内治療に結びつけるかを脳神経外科医と協力し日夜努力しています.『 Time is Brain 』の実践です. 特別講演として,日本医科大学大学院医学系研究科 救急医学分野 大学院教授でいらっしゃいます横田裕行先生にご講演をいただきました.演題名は『救急診療における脳卒中診療の位置づけ』でした. 日本医科大学大学院医学系研究科 救急医学分野 大学院教授 横田 裕行 先生 中村は,救急科医として,現在の救急医療の課題,その課題を解決すべく東京のシステムだけでなく日本のシステムを造ろうとされている横田先生の取り組みに釘づけでした. 講演会後は,前橋市内で懇親会を催させて頂きました.当院脳外科医&救急科医が横田先生を囲み,短時間ではありましたが,親睦を深めることが出来たのではないかと思います. 救急科医として,脳神経外科医の端くれとしてのモチベーションが高まった時間でした.

心臓外科手術ハンズオンセミナー(wet lab)に参加しました。

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菊川です。 8 月 20 日に当院心臓血管外科で開催していただいた心臓外科手術 wet lab へ参加しました。 このセミナーはブタの心臓を使わせていただき、解剖や実際にどのような手術手技が行われるのかを勉強するセミナーです。当科より鈴木先生と菊川で参加させていただきました。   参加した研修医の先生方と  まず始めに手術に使用される人工弁の説明をいただいた後、実習に入りました。実習では、心臓血管外科の先生方から解剖の説明をいただき、その後に弁置換術を実際に体験させていただきました。解剖は本で見るものよりもずっと構造がわかりやすく、理解が深まりました。 心臓血管外科の先生より解剖の説明 また、今までは見る側でしかなかった実際の心臓手術手技を体験させていただき勉強になったとともに、それを普段の診療で実際に施行されている心臓血管外科の先生方の技術の凄さをあらためて感じました。 弁置換術の体験 我々も普段、心大血管疾患や胸部外傷の患者さんの診療を行ったり ECMO 、心臓超音波検査を施行したりすることもあり、今回のセミナーで得られたことを役立てていきたいと思います。 セミナーを開催してくださった心臓血管外科の先生方、スタッフの皆様ありがとうございました。

日本重度四肢外傷シンポジウムに参加しました。~欠かせない整形外科と連携~

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藤塚です。 7 月 19 ・ 20 日と第 1 回日本重度四肢外傷シンポジウム in 札幌 に参加してきました。当院整形外科の部長を初め、医局員とともに参加です。 内容は、我々集中治療・救急科が得意とする外傷蘇生の話、四肢外傷のマネージメントや治療内容などを2日間かけて学び・討論する会でした。 夜は、当院ならず群馬県の若手整形外科医師が参加していたため、群馬県の整形外傷について深夜まで語りました。 整形外科医師とともに。 (写真:当院 浅見和義整形外科部長より提供) 重症外傷を救命することはもちろん、その後の機能予後も含めた治療戦略を、我々救急医は整形外科医師とともに協力しながら実践していかなくてはいけません。 こういった勉強会に他科の先生と今後も参加し、お互いの医療レベルをあげていきたいですね!