専門科とともに学ぶ vol.3 ~「心臓血管内科」との合同勉強会を開催~


吉野です.
 
713日に当院心臓血管内科と当科,合同で行われた勉強会の報告となります.
 
 
心臓血管内科からは,星野先生より『たこつぼ型心筋症』についてのレクチャーとなりました.
たこつぼ型心筋症は,超音波上の形態から名称が名付けられましたが,発生機序は未だ謎のままです.70%の症例で発症前に何らかのストレス負荷があり,その背景として『冠動脈の多枝同時攣縮仮説』,『カテコラミン過剰産生仮』,『微小血管狭心症仮説』などの病態が推察されているらしいです.
 
症状・所見としては
・突然発症の胸痛,胸部絞扼感
・心電図検査でのST上昇,陰性T波(-aVRで認めるもV1で認めなければかなり有用)
・心筋逸脱酵素の上昇(CK/CK-MB上昇も伴う事もあるが壁運動低下に比し変動は軽微)
・心臓超音波・左室造影検査での心基部過収縮+心尖部無収縮
・冠動脈造影検査での冠動脈病変の否定
が非常に有用とのこと.
 
治療としては多くの場合,一般の心不全に準じた治療を行う事が多いそうです.
予後は急性期を過ぎれば良好であり,多くは1-4週間で心機能は病前までの回復が望めます.
具体的な治療法は本図をご参照ください。


それに対して当科からは,吉野が『腎代替療法のトラブルシューティング』についてのレクチャーを行いました.
腎代替療法とは種々の要因で自身の腎臓が働けなくなった際,体外循環を通してその働きをサポートする治療となります.5月の勉強会ではその基礎についてレクチャーを行い,今回は『応用編』としてトラブルシューティングについて話をしました(星野先生と違ってあまり学術的なものがなく,ほぼ経験則によるレクチャーだったため,お恥ずかしい限りです).

トラブルにおいて急を要するものの要因は大きくは①脱血不良,②気泡混入,③圧異常の3つがあると考えます.
具体的なトラブルシューティングは本表をご参照ください。


長々と書きましたが,自分たちの専門外でよく分からない,けれどもそれなりの頻度で遭遇する疾患や治療は非常に多いです.
そんなものに遭遇したとき,全てを専門家に任せるのではなく,下地に共通の理解がある方がより潤滑に意識を共有し治療を進められるのではないかな,などと思います.特に当科は『自分達のみで治療を完結できる疾患』はそう多くなく,他の専門科の協力なくして治療を進めることが難しい科です.

現在は心臓血管内科のみならず,整形外科や脳神経外科などとこのような合同勉強会の場を設けてはいますが,互いを理解し患者にとって一番の医療を提供するため,他科とより積極的にこのような場が設けられればと思います.

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