投稿

7月, 2016の投稿を表示しています

次の一手で気道緊急を回避するために。~「第88回DAM実践セミナー」参加報告~

イメージ
橋本です。 前日の SED 実践セミナーに続いて、7 月3日に第88回 DAM 実践セミナー( DAM:difficult airway management) を大阪医科大学にて受講してきました。 参加していたのは、救急科、呼吸器内科、麻酔科の医師が10名程でした。 ASA (アメリカ麻酔科学会)の difficult airway のアルゴリズムの紹介、ラリンギアルマスク、 i-gelの 扱い方、それらを使った挿管方法、エアウェイスコープ、マックグラスを使った挿管のスキル練習を行いました。 これらのデバイスが練習し放題で、何度も気が済むまで練習できました。 最後にシミュレーターを使ったシナリオトレーニングを行いました。 シナリオは肺炎、熱傷患者の difficult airway 対処をする内容でした。事前に患者情報が与えられ、チームで作戦会議をして、シミュレーションを行いました。ここで大事なのは、うまくいかないときの次の一手も考えておく、ということです。 挿管困難、気道緊急時に備えてDAMセットを配備。 セットはあるだけではなく、その中身を適切に 選択し正しく使用できないと意味がありません!   シミュレーションではいろいろな想像を膨らませ、ディスカッションを行い、いろいろなパターンに強くなってみるのもよいのではないでしょうか。   

適切な鎮静・鎮痛管理のために。~「第63回SED実践セミナー」参加報告~

イメージ
橋本です。 7月2日、第63回 SED 実践セミナー(セデーショントレーニングコース)を大阪医科大学にて受講してきました。 非麻酔科医を対象としたコースで、今回参加していたのは、救急科、呼吸器内科、神経内科、手術室ナース、歯科口腔外科の医師が20名ほど参加していました。呼吸器内科の先生は気管支鏡中の鎮静を、神経内科の先生は ALS などの慢性疾患患者さんの呼吸管理中の鎮痛鎮静管理を、手術室ナースは手術中の麻酔管理を、歯科口腔外科の先生は歯科処置中の鎮痛管理を各々勉強しにいらしていたようです。 アメリカ麻酔科学会 ASA の「非麻酔科医による鎮静・鎮痛に関するガイドライン」を参考にしながら、緊急時気道確保の訓練、鎮痛鎮静患者の評価、シミュレーターを用いたシナリオトレーニングを行いました。 今回、鎮静評価は RASS 、鎮痛評価は BPS で行いました。 *RASS:Richmond Agitation-Sedation Scale *BPS:Behavioral Pain Scale シミュレーションでは、シミュレーターを使って、 RASS 、 BPS やバイタルで評価し、受講生は鎮静・鎮痛を追加。その結果、呼吸停止しマスク 換気、気管挿管させるといった流れでした。 ICUでは鎮静管理されている患者さんがいます。 ICUの看護師・医師記録の両方に 鎮静の程度を評価する項目があります。 このような鎮静中の気道トラブルは非常に致命的です。備えあれば、憂いなしです。時々、このようなセミナーを受講したり、または自分の病院で勉強会を開催するなどして、繰り返しスキルアップしていくことが重要と思いました。

大学での講義も担当しています。~群馬大学教養教育科目『地域社会実践論』~

イメージ
町田です。 関東は梅雨明けしたようです。しかしまだ夏の青空はすっきり顔を見せてくれていません。例年のこの時期より暑くないのは助かりますが、湿度が半端なく例年同様に熱中症対策が必要です。 梅雨明けしたとは言いにくいような空模様・・・ (写真のど真ん中が新病院建設現場です。) 当院は大学病院ではありませんが、年に数回ほど大学での講義を担当しています。 群馬大学教養教育委科目『地域社会実践論』もその一つで、5年ほど前から行っている中野院長から引き継いで現在は町田と藤塚先生でその講座のうち3コマを担当しています。 夕方4時30分から1時間半という遅くて長い講義にもかかわらず、100名近い出席者がいることに「最近の大学生は真面目だな~!」と20年以上前の自分の比較して感激してしまいました。 講義の内容は、町田が「ドクターヘリ」「災害医療」の2コマ、藤塚先生が「救急医療」の1コマです。 対象は大学1年生で全学部の学生さん対象のため、いかにわかりやすくそして大学生対象とのことで専門性を加えながら・・・なによりも学生さんが飽きずに1時間半すごしてちょっとでもためになることを話すための準備が結構大変でした。教員の皆様の苦労をひしひしと感じて、大学時代に講義をかなりサボっていた自分にかなり反省しました。 「ドクターヘリ」については、テーマはずばり『ドクターヘリを知ってもらう!』『早期医療介入の重要性!』です。 ドクターヘリは、“患者さんを早く病院に運ぶことはもちろんだけど、医療チームを運んで現場近くからすぐに治療を開始するシステム”、“早期医療開始により救命率、社会復帰率の向上に貢献”、“県民一人あたりの負担は全然高くない”ということを皆様ご理解を頂けたことが一番の収穫です。 『災害医療』については、『自助・共助の大切さ!』『東日本大震災・熊本地震の災害救護から学んだこと~思いやりの心~』をテーマに話をしました。 災害医療は、“平時の救急医療とは異なった医療”、“自分たちでできることもある~自助・共助、クラッシュ症候群の存在~”ということを、過去の大きな災害における報告や自らの災害対応の経験を加えながら、学生さんにはQ&A形式で質問しながら進めていきました。  今回の内容が、これから進む道や人生のちょ

「日本DMAT隊員養成研修」に参加しました!

イメージ
堀口です。 群馬Local- DMAT 研修に引き続き、 7 月 11 日から 13 日まで東京都立川市の国立病院機構災害医療センターで行われた「日本 DMAT 隊員養成研修( 2.5 日研修)」に参加してきました。 通常の DMAT 隊員養成研修は 4 日間コースですが、都道府県で行われているLocal- DMAT 研修を受講している場合はこの 2.5 日研修を受講することが出来ます。 4 日コースか 2.5 日コースいずれかを修了し、評価をパスすれば日本 DMAT 隊員として認定されます。 今回の研修には 12 の都府県から 61 名が参加していました。群馬県からは前橋赤十字病院、伊勢崎佐波医師会病院、館林厚生病院からの 5 名の混成チームで参加しました。 みなさん、各自治体での局地 DMAT 研修を受けているので、この研修では広域災害における DMAT の活動について学ぶことが目標となります。主な内容は以下のようなものでした。   広域災害における DMAT の活動、クラッシュ症候群、広域 / 地域医療搬送、中型小型ヘリコプター搭乗時の注意点、航空機内での医療活動、メンタルヘルスケアなどについての講義。 広域 災害救急医療情報システム (EMIS) 入力訓練。(繰り返し何度も行いました。) 広域 災害発生時の ① 病院支援の受入について ②DMAT として派遣される時の準備と移動について ③ 被災地域内での活動について、の机上シミュレーション。 救護所内での診療および Staging Care Unit(SCU) 運営の実習。   最終日に行った SCU 運営の訓練では、模擬患者さんの診療、安定化、搬出を訓練しました。 限られた医療資源、限られたスペースでいかに効率的に活動するかを身をもって体験できました。診療リーダーの下、 6 隊の DMAT で活動し、搬入された 14 名の患者のうち 6 名を搬出できました。割と頑張れたのではないかと思います。写真は患者情報を集約したホワイトボードです。 今回の研修を終え、日本 DMAT に登録されることになりました。 ここからが始まりと捉え、今後起こる災害時に出動する際にはしっかりと活動できるように、日々準備しておきたいと考えてい

「群馬Local-DMAT研修」に参加しました!

イメージ
堀口です。 7 月 9, 10 日に群馬県Local- DMAT 研修に参加しました。 DMAT は Disaster Medical Assistance Team の頭文字を取ったものです。日本語では災害派遣医療チームと呼ばれ、「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されています。 先日の熊本地震のような大規模災害時に都道府県が出動要請する「日本 DMAT 」の他に、都道府県単位で認定されている「都道府県 DMAT 」があります。 今回の研修は群馬県での近隣局地災害への対処を学び、群馬 DMAT の隊員を養成する為の研修会でした。 受講者は県内 16 医療機関と 6 消防から医師、看護師、業務調整員、救急救命士など 36 名が参加していました。 2 日間の主な研修内容としては以下のようなものがありました。 • 「災害」と「事故」の違い、 CSCATTT など、災害医療一般に関する講義 • 群馬県の災害対応システムについての解説 • 広域災害救急医療情報システム (EMIS ) および群馬県統合型医療情報システムの入力の練習 • 災害現場の配置・救護所の配置などの机上グループワーク • 無線機の使用、模擬患者を使ったトリアージ・現場救護所運営の実習 最後の救護所運営訓練では、限られたスペースに次々に運び込まれてくる重症患者さんについて、評価、安定化させながら搬送手段の確保、搬出を行っていきました。大勢いる患者さんの情報をうまく救護所リーダーに集約し、かつそれを上位の現場指揮本部にうまく伝えられないと、患者さんの搬出がスムーズに行うことが出来ないということが体感できました。 また、局地 DMAT 研修として群馬県の地理的条件からどのような災害が予想されるかということも学びました。山岳地帯が多いため、土砂災害や山火事が考えられる他、 3 つの活断層による地震、高速道路での事故、河川の氾濫も予想されます。また、県内に活火山が 5 つもあるということに少々衝撃を受けました。 今回の研修で学んだことを元に、県内の近隣局地災害の際には円滑に活動できるよう、普段から備えていきたいと考えています。  

自らチャンスをつかみ取る!~11人目のフライトドクターの誕生~

イメージ
子供たちにとって待ちに待った夏休みが始まりました。大人はこの時期まだすぐに夏休みとは言えませんが、週末は子供の休みに合わせてあちこちにお出かけしていることと思います。 しかし休みの時期は事故やけがが増えるという残念な傾向があります。まだまだ梅雨が明けない群馬では、落ち着かない天候の中でドクターヘリだけではお応えしきれない要請について防災ヘリに協力していただき、傷病者のもとへ1人でも多く医療スタッフが手を差し伸べられるよう頑張っています。 先日ご報告した小橋先生に引き続き新たなフライトドクターの誕生です。 白戸先生がER,ICUでのステップアップ経て同乗研修を開始し、カーの独り立ちでさらに現場経験を積み重ねて、最終的に中村センター長の試験に合格しフライトドクターとして認定されました。 白戸先生はいつも誰よりもはやく病院にきて病棟回診や様々な業務を行い、ドクターカー要請があるときにできる限り出動できるように自らそのチャンスをつかむ努力を続けてきました。救急医療、とくに病院前診療に関しては、そのような姿勢や気持ちが傷病者に手を差し伸べるために最も大切な要素となります。 自らチャンスをつかむことは、そのこと自体が患者さんにより早く医療を提供する機会を作ることになります! 次は独り立ちに向けて一層の努力と強い気持ちをもってこれからも臨んでいきましょう!

『第38回日本呼吸療法医学会学術集会』に参加しました。

イメージ
劉です。 第 38 回日本呼吸療法医学会学術集会に参加してきました。場所は名古屋国際会議場です。 前橋赤十字病院からは医師は鈴木裕之、小倉崇以、劉啓文、看護師は阿部さん、臨床工学技士の関さんの5人で乗り込んできました。 何と医師3人は全員シンポジストとなることができ、前橋赤十字病院の名を広くアピールできたのではないでしょうか。   演題の内容は以下のようになっております。 <鈴木裕之>  ・シンポジウム【 awake ECMO 】 「重症呼吸不全患者に対する awake ECMO 管理の現況と見えてきた問題点」 ・パネルディスカッション【緊急報告:H1N1インフルエンザと急性呼吸不全】 「 25 例を超える respiratory ECMO の経験を経て臨んだインフルエンザ 2015 による重症呼吸不全 2 例」 <小倉崇以> ・ Best Presentation Award候補演題 「 Awake ECMO: 呼吸 ECMO における予後改善効果と医療費削減の可能性」 ・ワークショップ【文献レビュー:急性呼吸不全管理-人工呼吸療法の周辺-】 「成人呼吸 ECMO の最新の動向」 < 劉啓文> ・シンポジウム【早期リハビリテーションにおける多職種連携の課題と解決策~人工呼吸器患者の離床から~】 「前橋早期離床プロトコール~多職種で推進する ICU での早期離床~」 演題がやや ECMO に偏っている気はしますが…それでも ECMO と早期離床という呼吸療法医学会の極めて重要な項目に前橋赤十字病院は積極的に切り込んでおります。 自身の発表は早期離床に関する報告をさせていただきました。 2015 年 6 月から当院 ICU で前橋早期離床プロトコールを導入した1年のデータ蓄積を報告しました。中には講演終了後に自身の院内の離床の相談をしてくださり、前橋の名が少しずつ広まっていることが感じれました。 もし、院内 ICU での早期離床にお悩みの人がいたら是非ご相談ください。 ようやくデータも集まりこれからが始まりです。論文の作成、多機関との協働など色々なことがこれから待っています。 少しでもより良く患者様が治って社会に帰れるように、これからも当院は全力を出します!!

独り立ちにむけて修行中!~新制度のもとで新たなフライトドクターの誕生~

イメージ
梅雨空と猛暑&夕立がかわるがわるやってきており、なかなか体調を整えるのが難しい群馬の気候になっています。ジメジメ、ギラギラ、ザーザーと空模様も忙しい毎日です。ドクターヘリも天候とにらめっこしながら、ドクターカーは土砂降りの中での出動も続いており、なかなか心も体も落ち着かないですね。 こんなにきれいな榛名山の燃えるような緑と榛名湖の深い青ですが、この数時間後にはこの場所から夕立を引き起こす積乱雲が湧き上がっていました・・・ 報告が遅くなってしまいましたが、先月に小橋先生が10人目(通算20人目)のフライトドクターとしてデビューしました。 ICU,ERでの診療、チーム医療、メディカルコントロールの基準をクリアして、実際に指導医とともにドクターヘリ・カーで現場出動し修行を重ねてきました。 そのなかで特に病院前診療に関わる他機関との連携、ヘリ安全運航への取り組みがとくに評価され、フライトドクターとして認定されました。 ところで全国にドクターヘリが46機まで配備されている現状で、17機目と比較的早期に運航を開始した群馬県ドクターヘリでは、さらに診療の質を担保する責務があると考えています。 ドクターヘリ・カーによる病院前診療を行う機会が増えれば増えるほど、若手スタッフが重症患者を救急外来でFirst touchする機会が減ってきています。病院前診療はまさにそのFirst touchの場面であり、質の担保のためにはフライトドクターデビュー後もしばらく指導医が一緒にのったなかでさらにレベルを上げていく体制としました。 当科はスタッフの増員に合わせて数年前よりメンター制度をくんでおり、最終的に独り立ちして群馬の空を駆け回るにはメンター長の許可が必要です。そしてそのメンター長をさらにカー・ヘリ主担当、センター長が評価してさらにレベルアップを図る仕組みをとっています。(ちなみに主担当、センター長に対しても後輩から容赦ない突き上げがあります・・・笑) 病院前診療は厳しい戦いの場です。病院のようにすぐに応援が来るわけではなく、その場に駆けつけたドクターの実力で生死がわかれる場面もあります。 群馬県ドクターヘリはとことんその部分にこだわります。「ドクターヘリが来て本当に良かった」と思っていただけるような活動が求められます。 患者をただ早く運ぶだけならそれ

高度救命救急センターホームページをモバイル対応にしました。

イメージ
Web担当の伊藤です。 ブログのアクセス統計で、下記の表のごとくモバイルからのアクセスが圧倒的に多くなってます。  この統計を見る限り、ホームページも早急なモバイル対応が必要と判断しました。 ドクターヘリのホームページは、もうだいぶ前からモバイル対応していましたが、メインの高度救命救急センター のホームページはトップページのみモバイル対応でした。 デザインにも統一性がなく、メニューの位置もバラバラでした。 これはなんとかしなければ、と思い、昨日、モバイル対応のホームページにリニューアルいたしました。 (教育・研修コースのページはまだモバイル対応していませんが、近日、リニューアル予定です。) http://www.gunma-redcross-icuqq.com/index.html  最近では、素人でもここまでのホームページが作成できる様々な開発がなされています。筆者も、趣味の範囲でホームページ作りをしている素人ですが、今や、プロが開発したフリーウェアを利用して、あたかもプロが作ったようなホームページを作成することができます。 このボリュームのWebサイトをなんとたった2日間で作成できてしまうのです。 便利でありがたい時代になったものです。 というわけで、当ホームページをスマホでチェックできるようになりました。 今後ともよろしくお願いいたします。

差別と偏見をなくすために・・・~小学校6年生への特別授業~

イメージ
町田です。 3年連続でみどり市立笠懸小学校において特別授業を行いました。昨年に続いて小学校6年生が対象です。児童169名と教職員に加えて桐生市消防本部から救急救命士2名も来ていました。 50分という限られた時間でしたが学校側から「理科」「キャリア教育」「人権教育」のリクエストを頂き、どのような構成にするか悩みながら当日を迎えました。 学校の理科で「呼吸」「循環」について学んでいるということで、救急医として行っている初期診療のABC(A:気道、B:呼吸、C:循環)とリンクさせて解説したり、その話の中で救急医の仕事についてお話しさせていただきました。 また「命は平等です!」というキーワードを掲げて、医療でも病気などを理由に命に差をつけられていた時代があったことを病気の具体例を挙げてお話しし、「偏見は誤った知識から生まれる」こと、「正しい知識をもって行動すれば差別は生まれない」ことをお話しさせていただきました。 命はその人のものだけではなく、その人を取り囲むあらゆる人にとって大切な存在です。僕が6年前に栃木県の小学校5年生から教わった「命を守ることはみんなの笑顔を守ること」という言葉を、これからも小学生に伝えていきたいと思います。 短い時間でまた年に数回しか小学生の前で話すことがないので、どれだけ小学生の心に残ったかわかりません。しかし困っている人が目の前に現れた時にそっと手を差し伸べてあげられるように、今回の話がちょっとでもお役にたてればそれで十分です。 ちなみに特別授業の前に校長室で給食を頂いたり、授業後に校長先生、副校長先生、教頭先生、そして今回の特別授業を用意していただいた同校板倉先生と医療、教育、スタッフ育成についてものすごく話が盛り上がりました。大人になっても学校の先生から学ぶことは多いですね!