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新しい時代が始まります!(群馬県ドクターヘリ&前橋ドクターカー 2020年3月活動実績)

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町田です。 このブログも今回で2222回目の投稿となります。以前のバージョンから数えると約10年・・・皆さまに救急医療について少しでも知っていただきたいと思い続けてきて、多くの方々からたくさん応援をいただいてきたことに心より感謝いたします。 さて、今年度最後の投稿もいつも通りの内容です。 新年度になる1時間前に今年度最終月のドクターヘリ・カーの実績報告です。 スキー場でも春の足音がもう聞こえました。 ☆群馬県ドクターヘリ 2020年2月活動実績☆   上段:活動種別 中段:搬送先病院 下段:疾患分類 年度別要請・出動数 ☆前橋ドクターカー 2020年3月活動実績☆   総要請数 66件、総出動数 62件 ・日赤:要請数 49件、出動数 45件  *時間外出動  0件 ・群大:要請数 17件、出動数 17件  *時間外出動  1件 上段:活動種別 中段:搬送先病院 下段:疾患分類(*日赤のみ) 年度別要請・出動数(*日赤のみ) 前橋市消防局管内 年度別ドクターヘリ・カー出動件数 ところで3月いっぱいで一度当院から離れるスタッフがいます。 永山先生は一度鹿児島に戻り研鑽を積んで再び当院に戻ってくる予定です。 そしてこのブログに管理人である小生も、「オール群馬」での救急体制のさらなる発展のために新たなステージで働くこととなります。 (*詳細はこちら → https://drheli-gunma.blogspot.com/2020/02/blog-post_29.html ) ということでドクターヘリ・カーも広報活動の主担当も世代交代となります。 ドクターヘリ・カーに関しては実績を見てわかる通りここ数年伸びや悩み感があり、広報活動ももっと今の時代に合ったスタイリッシュなものが求められています。明日からさわやかな風とともに新しい時代が始まります。 いままでもご愛読に感謝するとともに、これからも引き続き応援の程よろしくお願いいたします。 

吉野先生、中城先生、太井先生、渡邉先生、ありがとうございました。

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今日は朝から群馬県でも雪が降っていました。平野部は今回も積もることなく昼には雨に変わっていますが、ここ数日の温暖の日から一気に冷え込んでいます。新型コロナウイルスだけではなく風邪やインフルエンザにも十分お気を付けください。 もう数日で2019年度から2020年度に切り替わります。これに伴いスタッフの入れ替わりもあり、現在当科在籍の医師1人、そして研修中の3人が3月いっぱいで当科から卒業します。 まずは山梨からやってきた吉野先生は、3年間で熱傷患者を中心とした集中治療管理を学び、研究成果もしっかり残してくれました。またこの病院の厳しい(!?)研修に堪えフライトドクターとして独り立ちを達成しました。山梨に戻ってもさらなる活躍することは間違いないでしょう! そして3~6か月間の研修で来てくれた中城先生、太井先生、渡邉先生は、全員とても穏やかな振る舞いで周囲のスタッフと協力して診療をしている姿が印象的でした。新型コロナの影響で様々な講習を受けさせることができず申し訳なかったです。戻っても新しいことをどんどん吸収してますますレベルアップしてください。  最前列右から2番目 中城先生、3番目 吉野先生、5番目 竹村さん、6番目 太井先生 渡邉先生 今年度は送別会ができなかったため、カンファレンスで記念写真を撮りました。(渡邉先生は勤務の都合で一緒に写真が取れず申し訳ありませんでした。) 当科の診療秘書として我々が一番苦労を掛けた竹村さんも部署異動のため送別となります。今まで素敵な笑顔で支えていただきありがとうございました。 あらためて吉野先生、中城先生、太井先生、渡邉先生、渡邉先生ありがとうございました。 皆さんとまたどこかで一緒に活動できる日を楽しみにしています。 これからもますますのご活躍を!そして引き続きよろしくお願いします。  

新たなる旅立ちを応援します!~「2019年度医師臨床研修修了式」が行われました。~

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新型コロナウイルス感染への対応がいつまで続くのかゴールがなかなか見えない中ですが、市民の皆様にはウイルス感染をさせないようにいろいろ気を使いながら活動していただきありがとうございます。医療機関も新型コロナ対策で疲弊していないと言ったらうそになりますが、医療者として市民のために戦い続けています。 このようなご時世ではありますが、2年間当院で患者さんのために一生懸命寄り添って頑張ってくれていた初期研修医13人が、本日をもって初期研修の過程を修了しました。 2年前のオリエンテーションでの「BLS&AEDコース」を受講しているときは、まだまだ学生さんみたいな雰囲気でしたが、知識と技術の習得のために救急対応や緊急手術などにも積極的に参加している姿がとても印象的でした。 例年であれば修了式の後に祝賀会を開催し盛大に旅立ちを見送るところですが、今回は残念ながら祝賀会はありません。その分、4月以降も何らかの形でしっかりサポートしていけるように当科スタッフ一同これからも応援していきます。 ちなみに当科の髙橋先生、西村先生、丸山先生も本日後期研修の修了を認定されました。 センター長をはじめ全員仕事中であったので、初期研修医と違ってスーツ姿が一人もいませんが、それが当科らしくてまた良いことですね!

残されたご遺族のために…~「死因究明」と「縫合処置」~

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町田です。 気が付くと県内でも桜がどんどん咲き始めているようです。今年は桜のもとで集うことは自粛となっており、桜にとっても寂しい春かもしれませんが、ひそかに咲き誇って潔く散るところがまた桜らしくてよいかもしれませんね。 とはいえ1年に1度の桜が咲き誇る時期・・・通勤ルートを少しだけ回り道して、車内から桜を眺めたいと思います。 前回は「生と死」に関する話題のうち「生」について書かせていただきましたが、今回は「死」に関して書かせていただきます。 「死」といっても、僕自身まだ生きており死者の気持ちはわかりません。ですが、救急医として12年間働いていて、人を助けたことばかりではなく人の死を見届ける機会がとても多かったことから、「死」に対して救急医として心がけてきたことを書きます。 1つ目は「死因究明」についてです。 過去の大きな災害において、亡くなられた方々のご遺族が苦しんだことの一つに「なぜこの人はなくなったのか?」という亡くなった時の状況、死因が分からなかったことに原因があるという報告がありました。でもこれは災害時だけではありません。通常の救急医療の現場でも、もし助けられなかったときに残されたご遺族に「死因」をしっかり説明することが大切です。 もともと持っていた持病が悪化して亡くなられた場合、医師は「死亡診断書」を記載します。しかし、救急現場では予期せぬ病気やケガが原因でなくなることが多く、その際は病院(主に検査)と警察(主に現場検証)で協力して検死を行います。また検死の中で死因が特定できない場合、事件性がある場合など、必要に応じて司法解剖を行うこともあります(我々はその解剖にも必ず立ち会うようにしています)。そこまで徹底して行うことで、初めてご遺族に死因をしっかり説明することができます。 助けられなかった大切な一つの命について、ご遺族のために医師は死因究明に全力を尽くさなければいけません。 2つ目は「縫合処置」についてです。 大けがで運ばれてきた患者さんの中には多くの傷を負っている方がいらっしゃいます。また救命のために我々が患者さんにメスや針で傷をつける場合もあります。 僕自身は救急医になる前は外科系の医師をしていましたが、手術で傷をきれいに縫合できるまではそう簡単にメスを握らせてもらえませんでした。傷をきれいに縫うことは医師としての

“命てんでんこ” ~「自分の命を大切にして、もっと多くの命をつなぐ」~

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町田です。 ここのところのあたたかな気候で、群馬県内の平野部での桜が咲き始めていますが、今朝の前橋市内は北からの強風に加えて雪が舞っています。赤城山や榛名山も雪雲に隠れています。 山間部で雪道の運転になるかもしれませんので、いつも以上に安全運転を心がけてください。 皆さんは「命てんでんこ」という言葉を聞いたことがありますか? 「てんでんこ」とは、過去に何度も津波被害をうけた三陸地方に伝わる言葉で、「各自」「めいめい」の意味があります。もともとは「大地震が来たらすぐにめいめいで高台へ逃げろ」という意味で「津波てんでんこ」という教えがあり、そこから「自分の命はなんとしてでも自分で守れ」という意味を込めた「命てんでんこ」という言葉が生まれたようです。 こうした言葉が受け継がれてきた背景には、過去の地震・津波の際に家族や知人を助けにいったことで避難が遅れ、大切な命を落としてしまった方が多くいらっしゃたからです。 大地震が起きたら取るものもとらず各自てんでんばらばらに高台に逃げることで、結果として全員が助かるというという意味が「津波てんでんこ」「命てんでんこ」には含まれていて、もし結果として他人を助けられなかったとしても、それを非難してはならないという不文律もこの言葉には含まれています。 そして、いざというときにおのおので避難してもいい状況を平時からしっかり準備しておくことが大事だということも、この「命てんでんこ」という言葉には含まれているとのことです。 これは病院という組織だけではなく、家族ともしっかり話しておく必要があります。いざというときに家族がバラバラで避難しても、あとできちんと連絡が取れたり再会できるように事前に約束事を決めておく必要があります。 被災地の方々とお話しすると、「生きている」ことの大切さいつも教えていただきます。僕の知り合いで東日本大震災の際に津波や火災を目の当たりにした元消防職員の方からも、「まず生き延びて、次に何ができるか考える。生きていることでもっと多くの命を救うことができる。」と何度も語っていただきました。 医療者にとっても「患者さんを目の前にして逃げていいのか?」という葛藤があります。ここのところ多くの自然災害が発生し、そのような決断を迫られることがないとは言い切れません。東日本大震災では市民や患者の命を助ける

学生時代の思いをかなえる!~初期研修医のドクターヘリ同乗研修~

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町田です。ちょっと期間があいてしまいました。 新型コロナウイルス感染に関して、残念ながら群馬県でもお亡くなりになられた方が発生したと県知事より会見がありました。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。また1日も早く事態が収束に向かうことを願うばかりですが、願うばかりではなく医療者としてできることを続けていかないといけません。ただし健康面にしっかり留意して・・・ 当院は臨床研修病院として初期研修医が研修していますが、学生時代に見学や実習で来ている人もいます。 実習中に「救急に興味があります」と言ってくれる人も多く、実際に当科の研修期間に一生懸命頑張ってくれています。慣れないうちは1名の患者さんを見ているだけで精一杯だったのが、時間とともに数名の患者さんを同時に対応してくれたり、診療プランをしっかり考えてくれたりなど確実に救急外来を経験しながら成長している姿を見せてくれます。 先日、医学部生時代から心肺蘇生や外傷対応に興味を持っていてたまたま群馬県外で行われたコースに僕が参加したときに一緒になった人が、当院で初期研修を選び初期研修の選択実習で当科を選んでくれて、先日ドクターヘリ同乗研修で一緒に現場で活動してきました。その時に「先生と一緒にドクターヘリに乗ることが夢でした!」と声をかけてくれたのが本当にうれしかったです。 その研修医以外でも多くの研修医がドクターヘリ同乗実習で救急医療にかけてかけている我々の情熱を感じてくれるようです。将来どの道に進むとしてもこの経験を生かしてくれると嬉しいですね。 最近は学生の研修担当を若手に任せっぱなしでしたが、あらためて当院を研修する動機付けとなるようなことをもっと提供できるようにしたいと思います。 ちなみに病院でのより迅速な決定的治療開始に結びつけるために、昨年末よりフライトドクターの活動をリアルタイムに動画で基地病院に送っていますが、その日の活動の様子はいま当科を実習している医学部生の目にも映っていたようです。ちょっとでも当科の活動に興味をもつきっかけの一つになってくれるかなぁ~と期待しています。 ところで3連休が終わろうとしていますが、明日23日は当院の「創立記念日」となっており、一般外来は休みになっています。お気を付けください。

ヘリも機種変更!~しばらく空飛ぶヘリの音が変わります。~

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町田です。 報道などではいまだに暗くなるニュースが続いていますが、個人でも組織でも何か気分転換や気持ちが明るくなる話題があるとよいですね。個人的には約30年前から大好きな「プリプリ」の曲を聴きながら、元気で明るい気持ちで通勤しています。あっ、今は「プリプリ」といっても通じないですかね… 仕事においてもちょっとだけ気分一新を行いました。 昨夕にドクターヘリ仕様のヘリコプターが当院に飛来し、夜に格納庫内で機体入替を行い、そして今日からいつもと違う機種でのドクターヘリ運用が始まりました。 これはヘリコプターの飛行時間や整備等に伴うスケジュール通りの入れ替えで、久しぶりにMD902(コード・ブルーで使用されたヘリと同じ機種)がしばらく群馬の空を飛ぶことになります。 手前がMD902、奥がBK117C-2 機種が変わってもドクターヘリ活動の内容は変わりませんが、機種によって緊急時の対応、無線の出し方、器材の配置など異なる部分もあるため、すでにドクターヘリに搭乗経験があってもこの機種に乗ったことがないスタッフは、搭乗前にあらためて安全講習を実施しています。 本来であれば同じ機種同士の機体入替のほうが単純で楽なのですが、いざ大きな災害が起こった時に当科スタッフは平時の経験をもとに空路搬送に関わる可能性があり、その時に様々な機種のことを知っておくことが必ず役に立つので、BK117C-2以外の機体を経験できる貴重な機会となっています。 機長より安全講習を受ける当科スタッフ 機体が変わってもぐんまちゃん、トラちゃんは一緒です。 いつもより高い音で皆さんの上空を飛行しますが、白字に赤のストライプ&青文字の機体を空に見つけたら、今まで通りご声援の程よろしくお願いします。 ちなみに僕が初めて乗ったヘリコプターがMD902で、しかもその時の機長とここ数日一緒に活動できていることがとてもうれしく感じています。  JA6924は次の勤務地に飛び立っていきました!

アウェイで刺激をもらう!~「ドクターヘリ同乗研修」を実施~

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町田です。 あっという間に3月も半ばを過ぎました。今年度も残りわずかになってきて例年であれば新年度からの人事が気になるところですが、そんなことを気にしている状況でもないくらいまだまだ新型コロナウイルスの対応が続いています。子供たちの新学期からの学校生活もどうなるか気になるところですが、われわれ大人も新年度の準備も同時進行で粛々に進めなくてはいけませんね。 数年前より道北ドクターヘリの協力病院である旭川医科大学病院から看護師、医師がドクターヘリ同乗研修を受けています。今まで看護師2名と医師1名が当院でドクターヘリ同乗のみならずヘリ運休時はドクターカー同乗していただいています。 今年度は堀越先生に続いて吉田有里先生が冬場の気候が厳しい時期に来ていただきました。 強風や悪天候で研修の半分はヘリ運休となってしまいましたが、その代わりに実際に前橋ドクターカーに同乗していただいたことで前橋市におけるドクターヘリ・カーに併用運用は旭川市にとっても大いに参考になったと思います。また隣県ドクターヘリとの連携、防災ヘリからの引継ぎなども実際に見ていただいたり、局地災害対応に関するディスカッションを行ったりしながら、短い研修時間でしたが多くのお土産を提供させていただきました。 他院で研修することでとても緊張していたと思いますが、救急外来の重症患者対応や病棟の急変患者対応にもものすごい軽いフットワークで駆けつけていただき周囲に気を使いながらできることをしっかり見つけるところは、当科スタッフにとても足りないところであり研修を引き受ける身でありながらとても学ばせていただくことが多かったです。 群馬県ドクターヘリは立ち上げのメンバーを除いて、現在はすべて当院のみでの研修となっています。質の維持・向上のためにステップアップ表を用いながらそれなりに厳しく指導をしているつもりですが、やはり院内研修だけでは限界もあると思います。 自分自身も日本医科大学千葉北総病院で5日間研修を受けさせていただきましたが、その5日間が自分の中では最もドクターヘリ活動において影響を受けた時間となっています。 自分からアウェイの地に出向いて刺激をもらう、そしてアウェイから来ていただいた方から刺激をもらうことで、我々の活動をあらためて見直し次のステップへ進めていきたいですね。少なくても指導医が様

「面会全面禁止」にご理解ご協力の程よろしくお願いします。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病院としての対応は、世界や日本国内の流行状況、ぐん間県内の発生状況などに応じて、毎日会議を開いて検討しています。 現在、前橋赤十字病院は感染予防の強化を図る観点から、当面の間、面会は 全面禁止 とさせていただきます。ご家族の方でも病棟に入ることは出来ません。(*ただし、緊急の際はこの限りではありませんので、受付スタッフにお申し出ください。マスクはご持参ください。) https://www.maebashi.jrc.or.jp/index.html 尚、救急外来を受診する際も、同行者(ご家族など)が必要な際でもできる限り最低限の人数でお願いします。 また当院主催や当院開催予定であった様々な講演会、研修等も中止・延期の措置を取らせていただいています。(詳細は上記URLの病院ホームページからご確認ください。) ご不便をおかけしますが、皆様のご理解ご協力の程よろしくお願いします。

「前橋ドクターカー会議」を開催しました。~前橋ドクターカーのさらなる進化のために…~

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町田です。 未明に石川県能登地方を震源とした最大震度5強の地震がありました。大きな被害が出ていないことにほっとしましたが、この時期に大きな地震があると心がやはり落ち着きません。震源地に 近い地方の方々におかれましては、余震などに十分お気を付けください。 先日前橋市消防局で「前橋ドクターカー会議」が行われました。 この会議は前橋ドクターカーの運用に関わる前橋市消防局(警防課)、群馬大学医学部附属病院、前橋赤十字病院の実務担当者が一堂に会して、ドクターカー運用にかかわる様々な課題を協議する大切な機会になっております。 *このご時世のため、最小限の人数で感染予防の十分な留意を行い実施しております。 前橋ドクターカー1号車&2号車 前橋ドクターカーについては、2012年度に群馬県ドクターヘリの補完事業として最初は日没が早い時期の夕方のみの運用から始まりました。それからドクターヘリ運休時、さらに重複要請時に出動可能となり、そしてドクターヘリ補完事業から独立してドクターヘリと併用して出動できるようになりました。 2017年からは群馬大学に2台目の前橋ドクターカーが導入され(月・水のみ)、前橋市内をドクターヘリおよび2台のドクターカーで守る病院前診療体制が確立されました。 さらに消防、両病院が集まって行う前例検証会を毎月2回のペースで行い、3者で課題を抽出し共通理解をもって活動できるように進めることで、要請の迅速化、キャンセル判断の正確さ、活動内容のレベルアップを図ってきました。 最初の1年目はなんと4件の出動のみでしたが、今では2台のドクターカーで年間900件の出動を担うようになっています。 しかしながら事業が拡大すればするほどまた新たな課題が発生します。 重複要請への対応が真っ先に上がりますが、それ以上に頭を悩ませるのが“働き方改革”という壁です。要請が増えることによる救急スタッフの業務の増加、出動数が増えることによる検証会の時間の延長などが問題として挙げられました。 これらのことを負担と思うかどうかは個人の問題だと思いますが(あくまで町田の私見です)、とはいえ時代がそれを許してはくれません。ドクターカー事業をこれからの時代にさらに進化させていくためには、このような問題にも向き合っていかないといけないようです。 当院もドクターヘ

救うことを、つづける。~東日本大震災から9年が経ちました。~

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平成23年3月11日14時46分に日本周辺における観測史上最大の地震である「東日本大震災」が発生し、今日でその日から9年がたちました。 http://jrc-tsudukeru.jp/ 警察庁によると、死者は3月8日現在で1万5899名、行方不明者は2529名で、復興庁が公表している「 震災関連死 」を合わせると犠牲者は2万2100名を超えています。 そしていまだ約4万8千名の方々が震災前の土地に戻れていない現状が続いています。 この震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、1日でも早くすべての方々がご家族のもとに、そして穏やかな日常に戻れる日が来ることを願っています。 尚、この1年で2名のご遺体が発見され、4名の行方不明者の身元が判明しております。 わずかな数値かもしれませんが、1つ1つがとても重いものです。捜索や身元判明のために尽力されている警察、法医学、歯学などの関係者の方々に敬意を表します。 1つ1つの大切な命・・・我々の使命は「救うことを、つづける」ことです。そして皆さんは命を大切に1日1日をお過ごしください。 オリンピックイヤーや新型コロナウイルス感染などの影響で、9年前の記憶が少し遠くなっていませんか?今日は被災地に思いを寄せて、あらためて自分なりにできることを考えてみます。

「一挙手一投足」に注目する!

町田です。 当直明けにテレビでプロ野球と大相撲の中継を見ました。 無観客であることから打った時の音、グラブにボールが収まった時の音、ベンチからの声援(やじ?)、体同士のぶつかる音、行司の響く声など、とても斬新な感じでした。もちろん選手や力士は大変だと思いますが・・・ それと同時に視覚に集中できるため、選手や力士の細かい動きまでいつも以上に見ている気がします。まさに“「一挙手一投足」に注目する”状態です。 「一挙手一投足」の意味は、“ひとつひとつの動き、小さな動作”です。 実は無観客試合を見る前からこの言葉のことを意識させられるような経験をしています。 ドクターヘリ活動においてOJTナースから、またドクターカー活動中において救急救命士から、振り返りや症例検討会の時に「あの時に先生はなぜこのような動きをしたのですか?」「この処置の時にこういうやり方もあるのですか?」と聞かれることがあります。 特に緊急度の高い患者さんに対応しているときに、フライト・カードクターが超緊急処置や最終決断にチームメンバーが注目していることを強く感じました。それは救急外来や集中治療室、そして病棟で患者を診療しているあらゆる場面でも、我々の「一挙手一投足」が同じように注目されていると思います。 以前にも本ブログで書きましたが、安全な医療はありません。 医療行為はリスクの塊であり、そのリスクをコントロールして安全を得ることができます。周囲でスタッフや家族、そして患者自身が安心していただけるよう、一つ一つの動作をより迅速かつ丁寧、そして美しく行うことが重要ですね。 ちなみに「一挙手一投足」にとは、“わずかに苦労すること、少しの労力”という意味もあります。 普段から物事を上手く進めるように、一挙手一投足の労を費やすことを忘れてはいけません! ただ「一挙手一投足」を意識しなくて済む時間もないと疲れちゃいますね~(笑)

“血の1滴も無駄にしない”という強い決意をもって!~献血血液の確保が厳しい時だからこそ…~

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新型コロナウイルス感染(COVID-19)に関して7日に群馬県知事より「県内で初めて感染が確認された」と発表がありました。当院では毎日朝夕に院内対策本部ミーティングを行っており、その時の状況に合わせて病院の対応に関する調整を遅滞なく行えるようにしていきます。 とはいえやっぱり一番大切なことは、基本的には各個人の感染予防です。“まめな手洗い”&“咳エチケット”を忘れずに! 日本赤十字社ホームページや報道などで取り上げられていますが、COVID-19の影響で献血血液の確保が不足しています。 とはいえ様々の活動が自粛モードの中ではありますので、気軽に献血をする気持ちになりにくことは重々承知ですのでありますので、あくまでお願いベースでの話になります。 ちなみにこの文を書いている筆者はぎりぎり献血ができない血液濃度であり、医療現場で輸血を使用することがある立場としては本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。 そこで自分なりにできるだけ輸血を使用しなくてもいいように、また輸血をするとしてもできるだけ必要最低限で済むように、特に救急で扱う外傷治療においては「迅速な初期対応&確実な止血術実施」を第一優先に考えてきました。 当院はおそらく他の病院に比べると輸血が迅速かつ大量に準備できる環境にあり、また出血を多く伴う外傷患者に対して大量輸血療法が推奨されていることもあり、すぐに大量輸血を開始できることで止血術開始までのスピードが減速してしまうことがあります。輸血をして一時的に血圧が上がったとしても、体内ではまだ出血が続いていること、そしてその出血を止めない限り輸血量がどんどん増えてしまうことを忘れてはいけません。   Hotlineを受けた瞬間から止血戦略を立て始めます。 ERに患者が収容されたら止血術にむけてまっしぐらです! 当院のように大量の輸血がすぐに準備できる病院は珍しいほうです。輸血が届くまで時間がかかる環境では、とにかく早く止血をしないと救命することができません。このような世の中の環境でも皆さんに献血をお願いしている限り、それを利用する医療者はいつも以上に”血の1滴さえ無駄にしない”という強い決意が必要です!  最後にもし献血にご協力していただける方がいらっしゃれば以下のことについてご留意の程よろしくお願いします。 「(以

こんな時だから読書をして命について考えませんか!?~「命をつなげ!ドクターヘリ」~

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町田です。 COVID-19対応で多くの学校が休みになって数日たち、いろいろ大変なこともありますが、逆に新たなことに挑戦させたり(家でできる範囲ですが・・・)家族で会話する時間が増えたなど、今までと違う時間を過ごしているかもしれません。 とはいってもにすでに子供たちが時間を持て余して困っているご家庭もあると思います。そんな時はやっぱり読書などはいかがでしょうか? 以前にも紹介させていただきましたが、講談社青い鳥文庫から出版されている『命をつなげ!ドクターヘリ』シリーズをぜひお勧めします。 当院も第2弾で取り上げていただきましたが、まずは第1弾の千葉北総病院を舞台にしたものから読んでいただきたいと思います。僕自身も群馬県にドクターヘリを導入する準備のとして2008年に同院に研修をさせていただいたときに、まさに本に描かれている「命との懸命な戦い」が目の前で連日繰り広げられており、いつか当院も“北総救命に追いつこう”という思いで10年近くドクターヘリ活動に関わってきました。そして当院をモデルとして第2弾が出版され、群馬県ならではの取り組みも併せて「命のリレー」を本の中で紹介していただきました。 もともと小学校中級から読んでいただけるようにすべて漢字にはルビがふってありますが、もちろん大人でも十分読みごたえがあり、なによりもドクターヘリのこと、救急医療のことがよく理解していただける内容となっています。 このような時期だからこそ、この本を読んでいただき、命の大切さについて親子や仲間同士で語り合ってみてください。 『命をつなげ!ドクターヘリー日本医科大学千葉北総病院よりー』  「ぜったいに、助ける!」そんな決意をのせて空を飛ぶのが、ドクターヘリ。  一分一秒をあらそう救命救急の最前線で、医師、看護師はもちろん、オペレーター、消防隊、ヘリコプターの機長や整備士  ―ひとつの命を救うために、多くの人々がそれぞれのベストをつくし、奮闘する! 新米医師の目をとおして、知られざる先端医療の世界を描くノンストップ・ノンフィクション。 『命をつなげ!ドクターヘリ2ー前橋赤十字病院よりー』  一秒でも早く病気の人や、けがを負った人の治療を始めるために、ドクターヘリは今日も空を飛びます。ですが、そのためには、お医者さんとヘリの操縦士がいればいいわけではないの

“まめな手洗い”と“咳エチケット”で「かからない」「うつらない」!(前橋ドクターカー 2020年2月活動実績)

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街中でかわいいポスターを見つけました。 インフルエンザ予防の啓もうポスターですが、COVID-19対策も全く同じことです。 “まめな手洗い”“咳エチケット”で「かからない」「うつさない」を合言葉に、みんなで予防しましょう! ☆前橋ドクターカー 2020年2月活動実績☆   総要請数 70件、総出動数 65件 ・日赤:要請数 58件、出動数 53件  *時間外出動  1件 ・群大:要請数 12件、出動数 12件  *時間外出動  0件 上段:活動種別 中段:搬送先病院 下段:疾病分類  年度別要請・出動数 前橋市消防局管内ドクターヘリ・カー出動数  

最前線で命を守る救急救命士のさらなる活躍のために!~「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」への講師参加報告~

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町田です。 ひな祭りですね。街中や自宅でひな人形や桃の飾りを見ると、バタバタした日々の中ですがちょっとだけ季節を感じることができます、季節のイベントをゆっくり笑顔で過ごせる日常に早く戻ってほしいですね。 昨日のドクターヘリに続いてドクターカーの活動実績の報告と行きたいところでしたが、実績をまとめる都合により(完全に僕の都合ですが・・・)、今回はもう数日お待ちください。 世の中には「気管挿管認定救急救命士」というものが存在しています。これは心停止患者に対して、決められた研修を受け知識と技術を有し、そしてMedical control(医師の指示)のもとで気管挿管を行える救急救命士のことです。 群馬県ではさらに追加講習として消防学校で行われる「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」を受講し合格すると、“ビデオ硬性挿管用喉頭鏡”を用いた気管挿管が行えるようになり、一般の喉頭鏡では技術的に困難である一部の症例について気管挿管が可能となります。 今年度も群馬県消防学校で行われた本講習会に、当院より中村センター長、小橋先生とともに講師として参加させていただきました。この講習が群馬県でも行われるようになって、第1回からなんと7年連続の皆勤賞です! 個人的には、気管挿管するときほとんど“ビデオ硬性挿管用喉頭鏡”を使用することはなく、ほぼ全例で昔ながらの直視型喉頭鏡で挿管を行っていますが、いざというときにこの喉頭鏡を使用することで緊急事態を回避できることがあり、毎年講習の講師をしながら自分でもその特徴(良いところも悪いところも)をあらためて確認させていただいています。 この講習会では受講者も講師もともに学ぼうという積極的で前向きな雰囲気が広がっており、講習会終了後の疲労感もなんだか心地よいものです。そしてこれでまた命を救うチャンスが増えました! ちなみに毎回消防学校に心使いをいただき、この講習会の昼ご飯は大好きなカレーライスです! 今回は写真を撮り損ねましたが、カレーの中の肉の種類以外は昨年と全く同じであったので、写真は昨年のものでお許しください(笑) https://drheli-gunma.blogspot.com/2019/02/blog-post_15.html

日本百名山を登りました!ただし途中まで…(群馬県ドクターヘリ 2020年2月活動実績)

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町田です。 群馬県の北側半分以上は山間部で、美しい山がたくさんあります。ちなみに日本百名山のうち11名山が群馬県にあるそうです(山梨県に並んで2番目に多い、一番は長野県で29名山)。 そういう地理的環境もあり、残念ながら山岳救助事案が決して少なくはありません。そのうち年に数回はドクターヘリスタッフも百名山にアタックすることがあります。 もちろんロッククライミングなど危険なことはしませんが、一番の問題は医療スタッフの体力のなさ・・・しかも若いスタッフほど早々と息切れする姿を見かけます。意外とおじさんたちのほうが案内の消防の方々の後をしっかりついていっているような気が…登り始めて30分ほどで下山となりましたが、“体力と気力で(ほぼ気力?)まだまだ後輩を引っ張っていくぞ”と思った妙義山でのひとときでした。(一応、当直日を除いて毎日ゆる~く筋トレ実施中!) 日本百名山、上毛三山の一つ・・・妙義山! 一番重い荷物は40代半ばの僕がもっています・・・ 下山時の最後のこの階段で膝が笑っていました・・・ ☆群馬県ドクターヘリ 2020年2月活動実績☆ (図をクリックすると拡大表示されます)   上段:活動種別 中段:搬送先医療機関 下段:疾患分類 年度別要請・出動数 今年度も残りあと1か月となりました・・・