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移植チームとECMOチームの連携!

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皆さま。 大変お久しぶりです。8年目の小倉です。 いかがお過ごしですか? 週明けは台風が来ることで不安とともに明けましたが、北海道や東北に大きな被害が出ているようです。1日も早い復旧を願っているとともに、自分も含めTake Careで乗り切っていきましょう。 今回もECMO(人工心肺)のお話をさせてください。 さて、小倉。 英国でのECMO留学から帰国しまして、積極的に重症呼吸不全に対する国内活動を始めます。今回はスタートとして、東京大学の移植チームと日本医大の市場教授を交えて会合を持ちました。 移植チームの立場、ECMOチームの立場、それぞれを共有する機会の先駆けになるような、そんな集いを発足させる方向で調整することになりました。 日本のECMOは、現在、元通りに復活しそうな呼吸不全患者さんに対象に施行されます。ECMOで生命維持をしながら、悪い肺を復活させる!…そんな治療戦略がECMOの基礎となっています。 しかしながら、不運にも、肺が復活しない患者さんも当然存在します。ですから、我々ECMOチームは、可能性のある限りECMOの次のステップとしての肺移植に精通している必要があります。現実問題、ECMOチームにとって、肺移植は避けては通れぬ道なのです。 小倉は幸いにも、英国留学中に、ケンブリッジで肺移植の管理を勉強してきました。移植前の管理、移植後の管理。ケンブリッジでは移植関連の医療をたくさん学べました。当然ECMOも肺移植までのブリッジとしての役割がありますので、そういった観点からECMOの専門性を突き詰めるのも大事です。日本では肺移植はまだまだ標準治療としては確立していませんが、日本が誇るiPS細胞の技術革新が訪れたり、死体移植が増えてくれば、移植医療に弾みがつき、移植までを耐えるECMO…という概念も形成それるかもしれません 今後我々は、ECMOセンター同士の連携と移植チームとの連携を深めていきます。 今後ともよろしくお願いいたします。

機体交換をしました(JA6910→JA6924)。

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町田です。 8月26日に機体交換を行う予定でしたが、天候不順の影響でようやく昨日機体交換を行うことができました。本当は昨日の待機終了後に運航スタッフと医療スタッフで一緒に交換作業を行う予定でしたが、日没ギリギリの要請で現場に医療スタッフ送り込み(通称“ポトン”)であったため、機体は先に群馬ヘリポートに帰還し運航スタッフの方々に交換作業を行っていただきました。そして本日医療スタッフも資器材の確認を行い、今日からJA6924での運航となります。ここ数か月活躍していただいたJA6910(ひとまるちゃん)とはしばしのお別れです。 JA6924です! 昨日まではJA69110が入り口近く・・・ 今日からはJA6924が入り口側です。 先週末の天気予報では、ブーメラン台風と呼ばれる台風10号の影響で29,30日とずっと雨の予報でしたが、群馬県はこの2日間はめまぐるしく空模様が変わっています。予想に反して青空が広がっていると思えば急に豪雨になり、でもまた青空が広がる・・・そして雨・・・ 機長も雨雲レーダーとにらめっこ、僕も待機中に他の仕事になんとなく手が着かない状態です。 昨日は雨と雨の間や日没間際の出動で、研修中の増田先生も鬼教官(?)に「時間を意識しろ!」とせかされながら現場活動を頑張っていました! 昨日はまさかの青空のもとで出動。 1時間後、出動から戻ってくると同時に豪雨! でもしばらくするとまた青空が・・・ 黒雲と青空の混在です。 最後は夕焼けの出ていました! 今日はやっぱり朝から雨模様・・・ でもまた晴れ間が一瞬のぞきました。 天気とともに気分もかわるもので、やっぱり落ち着かない時間を過ごしています。また雨雲が迫っているようですが、明日以降は台風一過で群馬は再び暑くなるようです。 台風10号はいままでにない動きをしているようです。たしかに太平洋側から東北を直撃する動きは見たことがありません。これから台風が向かう北日本の皆様は十分お気をつけてお過ごしください。また過ぎた地域でもここ数週間にわたる大雨の影響で土砂災害の危険性が高くなっておりますのでお気を付け下さい。

平成28年度第2回群馬県ドクターヘリ症例検討会を開催しました。

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町田です。 夏休みで北海道に数日滞在していましたが、まさかの3回の台風上陸の傷跡があちらこちらで見られました。濁流によってけがをした動物たちや大雨による農作物の被害などを目の当たりにして胸が痛くなりました。群馬に戻ったら今度はまさかのU-turn台風の影響でこっちも天候不良です。自然相手なので仕方ないと思いつつも、やはりここ最近の気象は異常だと感じずにいられない今日この頃です。 8月23日に開催された群馬県ドクターヘリ症例検討会の報告です。今回も100名を超える消防、病院、行政の各関係者にお集まりいただきました。また会中に朝日航洋と県庁から当県におけるドクターヘリ安全運航に関する報告がありました。 ☆☆平成28年度第2回(通算28回目)群馬県ドクターヘリ症例検討会☆☆ <実績報告> 昨年度に比べて要請・出動数ともに4ヶ月で100件以上の減少あり。 ・理由は天候不良、機体不具合が多いことがあげられる。 ・重複要請も多いが、他機関ヘリ・カーとの連携により要請の8割は応需できている。 現着後要請が増えており、覚知から30分までに医師による傷病者接触の割合が激減している。 ・高齢者や通りすがりの通報が増えてきて、入電内容で判断できることが困難になってきている。 ・理由の1つとして共同指令センター化の影響は否定できず、そろそろ1年たつので現状打破していただきたい。 *詳細については「要請率減少・現着前要請率減少の検討」を行いました。 <症例検討> ☆事案① 『ドクターカー運休日に街中で発生した傷病者接触場所を調整した事案』 ・現場とランデブーポイントの中間にある救命センターでの ドッキングと考えた経緯 ・出動区分【その他】について 出動区分に「その他」という項目があること、その実働例として 医療支援(診療支援、搬送支援)、災害派遣も重要なドクターヘリの任務であることを認識してもらった。 ☆事案② 『消防管轄を超えた活動はどこまで可能か?』 ・隣接消防のランデブーポイント使用がかなわなかった理由と今後の対策 もっとも早く傷病者に到着するために消防管轄を超えた柔軟な対応をお願いしたが、事前申し合わせがない消防同志では急な対応は難しいとのこと。今後は対応できるように積極的な消防間の事前連携に期待。 ☆事案

災害救護研修指導 その2 「全国赤十字救護班研修」

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町田です。 8月16,17日のDMAT技能維持研修に続いて、8月19-21日に石巻赤十字病院で開催された「平成28年度第2回全国赤十字救護班研修」に講師として参加しました。 ちなみに東日本大震災で石巻で活動させていただきその後も毎年石巻をお邪魔させていただいていますが、僕自身は石巻赤十字病院に入るのは今回が初めてでした。 石巻赤十字病院 本研修は「もともと災害亜急性期~慢性期の対応に長けていた日赤救護班も超急性期~急性期での対応の知識と技術をもってDMATと協働できるように」と、当院中野院長を中心に「日赤DMAT研修」という名称で始まった経緯があるようです。いまもその内容とともに、最近の災害対応では多くの医療救護班が参集することもありコーディネートの重要性に関するないようも増えてきています。 今回の研修では当院から指導者として中村センター長、高寺師長、萩原看護師、滝沢看護師、内林事務員、矢島薬剤師、そして町田の7人が、受講生として雨宮先生、斎藤看護師、高坂看護師、唐澤看護師の4人が参加しました。 僕自身はまだ指導者見習いとしての参加でしたが、他スタッフは指導者の中でもコアスタッフとして活動しており、また受講生もかく実習でリーダー的な立場を積極的に行っており、DMATでも日赤救護班においても災害対応において当院が課せられた責務が大きいことをあらためて認識したとともに、日赤の災害医療に対応する歴史と伝統そして息の長い活動を行えるパワーを生かしつつ今まで以上にさらに所属救護班にとらわれないコーディネート力が必要であることを感じました。 また今回は熊本赤十字病院救命センター長の奥本先生より熊本地震おける対応に関するお話しを聞かせていただきました。当科かからも2人の医師を派遣し、またドクターヘリの運用に関してもいろいろお世話になった病院であり、被災しただけではなくおおくの医療救護班を受け入れた受援する立場ならではの経験、ご苦労など貴重なお話でした。奥本先生とは研修終了後の石巻~仙台へのバスの間でも「災害時のドクターヘリの運用」に関して、訓練とは違う実際の経験からこんごへの貴重なアドバイスをたくさんいただきました。 研修自体は教える内容の守備範囲がやや広すぎて、受講生にどこまで伝わったか不安が残る印象を持ちました。「急性期のDMAT

災害救護研修指導 その1 「DMAT技能維持研修」

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町田です。 高校生まで過ごした北海道は「台風はほとんど来ない」という思い出でしたが、今年は何度も北海道に台風が上陸しています。また茨城、栃木県の北関東でもゲリラ豪雨の影響で川の氾濫、土砂災害が頻発しています。一昨年の広島市、昨年の常総市のことを思い出し胸が痛くなります。 明らかな日本の気候がおかしくなっている気がします。これ以上の大きな被害が出ないことを心より祈っております。 相変わらず病院に不在がちで申し訳ありません。 この1週間は災害救護研修の指導者として中村センター長とともに2つの研修に参加していました。 その報告の第一弾は8月16,17日に茨城県県南生涯学習センター(土浦市)で開催された「DMAT技能維持研修」です。 東日本大震災以前より日本DMAT研修に関わらせていただき、その震災を前後で研修の中身の改定が行われていました。そしてその後も様々な災害対応がありましたが、何一つ全く同じ災害はなくそのたびに新たな経験を得ています。 僕の個人的感想ですがDMATの災害対応については、絶対に変わらず重要視しなくてはいけないところがあり、それに加えて新たに学ばなくてはいけないことがたくさんあると感じています。 大切なことは知識と技術をブラッシュアップしていくことです。そのために日本DMAT隊員を対象とした技能維持研修がおこなわれています。(ちなみに日本DMAT隊員の資格更新のためには5年間で最低2回の技能維持研修を受講しなければいけません。) 今回は指導者として本コース参加させていただきました。 本部運営や病院支援&受援に関する机上訓練、また今月6日に行われた政府訓練の報告など、内容はかなり充実としたものでした。 受講生はすでにDMAT隊員ではあるため、新たな発見や知識の習得をしていただくために、今までの知識や経験をフル動員して指導しなくてはいけませんでしたが、受講生とともに考えていきながら僕自身も新たな発見や知識のブラッシュアップを行うことができました。 またほかの指導者の方々と熊本地震対応や政府訓練の情報交換ができたのこともとても大きな収穫でした。

老舗でありながら常にトップランナーであり続けること!~聖隷三方原病院にお邪魔しました。~

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町田です。 久しぶりの「ドクターヘリ基地病院訪問記」です。 今月6日の東海地方を中心に行われた政府訓練に伴って、静岡県の空路による地域医療搬送の調整のために訓練前と訓練当日に『聖隷三方原病院』にお邪魔しました。 聖隷三方原病院は高度救命救急センターに指定されており、「静岡県西部ドクターヘリ」の基地病院です。 実は日本初のドクターヘリ運航はこの基地病院で行われています。1999年4月に浜松救急医学研究会による自主運航の型で開始しました*。初飛行から昨年度末まで約8500件の出動を数えています。(*病院ホームページより→ http://www.seirei.or.jp/mikatahara/outline/852.html )。 この病院の特徴として、屋上ヘリポートの2機の駐機スペースがあることです。 もしドクターヘリが屋上に停まっていても消防防災ヘリや隣県ドクターヘリでの傷病者搬送が可能であったり、同時に多数の傷病者を搬送できることが可能です。今回の訓練でも2機の駐機スペースを生かしてより多くの飛行計画を組むことができました。 常に時代の流れに合わせてドクターヘリの新しいスタイルを作り続けている基地病院の姿勢が、老舗でありながら常にトップランナーとして走り続けている強さであると感じました。 ちなみに同院の矢野先生とは東日本大震災の災害救護において、ドクターヘリを用いたミッションで一緒に活動させていただき、それ以降ずっと親しくさせていただいています。今回の訪問の際も高度救命救急センター長とともに災害時のドクターヘリ対応に関していろいろディスカッションさせていただき、そして多くのご指導を頂きました。さらに浜松名物うなぎまでごちそうになりました!     ☆『聖隷三方原病院ドクターヘリのブログ』と相互リンクしています☆ → http://seireidrheli.blog.fc2.com/

『第38回日本中毒学会総会・学術集会』に参加しました。

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小橋です。 7/23-/24 に新潟で開催された「第 38 回日本中毒学会総会・学術集会」に参加してきました。 昨年( 2015/7/17-/18 和歌山)は台風直撃の中開催されたこともあり、参加者はあまり多くなかったのですが、今年は大勢の方が参加されていました。 通常、私たちの参加する学会は、出席者のほとんどが医療関係者なのですが、当学会は警察・科捜研・中毒情報センターの方など医療従事者以外の方も参加・発表されており、様々な視点から中毒というものを知ることができる貴重な機会です。 今回、当科からの演題は自分のみでした。 『剖検にて頚胸髄の融解壊死を認めたクロルフェナピル中毒の一例』 「今までもクロルフェナピルの服用で救命できなかった症例は散見されるが、心停止の原因は不明であった。クロルフェナピルにおける心停止の原因は、心筋障害によるものというよりも、中枢神経障害によるものである可能性が高いということを示唆する所見であり、今後の治療につながる可能性がある」 といった内容の口演を行いました。 今年度の学会においては、 エナジードリンクが人気のためかカフェイン中毒の発表が多かったです。 また、今までに世間を騒がせた様々な中毒事例(松本サリン事件、和歌山ヒ素カレー事件)などの振り返りもあり、非常に勉強になりました。 それ以上に新潟のうまい酒、魚を堪能できたことが一番の収穫だと思います。 次回は茨城県のつくば市で開催だそうです。中毒に興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。

「EMA meeting」を受講しました。

みなさん、こんにちは。白戸です。 8 月 6 日に EMA meeting を受講してきました。 (*EMAとは → http://www.emalliance.org/information ) EMA meeting は全国の若手 ER ドクターが開催する勉強会です。毎年 2 回行われており、今回は浦安の東京ベイ浦安市川医療センターで開催されました。 内容に関してですが、 ER ドクターによるものなので、テーマは多岐にわたります。僕が受講したものの中には「中毒」「循環器救急」などがあります。珍しい病気や重症疾患対応を学ぶというよりは、よくある疾患を正しく診療することを追求する勉強会です。 ちなみに今回のテーマは「腹痛」です。 「腹痛」は非常に common な主訴です。いろいろ勉強することはありますが、今回は尿路結石、虫垂炎(いわゆる盲腸)などのよくある疾患について evidnce-baced に学習しました。例えば虫垂炎は一般の方からすると、「よくある病気なので、大きな病院で検査をすればすぐに診断できる、見逃しなんてありえない。」と思われるかもしれませんが、似たような症状で発症する疾患が多く、実は非常に診断は難しいです。 前橋日赤では重症患者対応に力を入れていて、後期研修でもそこを重点的に研修します。しかし、命にかかわる疾患であることが少ないとは言え、軽症中等症の患者さんをきちんと診療することも大事だと思います。 今回の勉強会で症状、身体所見などの evidence が整理出来ました。病院に戻ったら初期位研修医に仕入れたうんちくを垂れようと思います。 ☆EM Allianceのホームページに当院も載っています。 http://www.emalliance.org/industry/establishment/%e5%89%8d%e6%a9%8b%e8%b5%a4%e5%8d%81%e5%ad%97%e7%97%85%e9%99%a2-%e9%ab%98%e5%ba%a6%e6%95%91%e5%91%bd%e6%95%91%e6%80%a5%e3%82%bb%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%bc-%e9%9b%86%e4%b8%ad%e6%b2%bb%e7%99%82%e7%a7%91

先人の魂をうけついで。~「終戦の日」に思う命の尊さ~

町田です。 お盆休みは救命救急センターが一番忙しい時期の一つで、今日も25時間一睡もせずに働き続けていましたため、自分のパソコンを開く暇もありませんでした。26時間ぶりに開いたパソコンのメール着信数が・・・各方面の皆様への返信が遅れてしまい申し訳ありませんでした。 本当は昨日アップしたかったのですが、1日遅れになってしまい申し訳ありません。 昨日は「終戦の日」でした。 病棟回診をしながら患者さんに終戦の時のことを聞いてみると、皆様ほんとうに必死に生きていた様子をお話ししていただいました。本当に命の重さを知っている方々の言葉に凄みさえ感じました。 僕も両親が戦前生まれで空襲の経験をしています。そして祖父は戦場にもいきました。どんなにつらい状況でも「生きる」という先人の強い気持ちが、いまの時代を生きる人たちに伝わっているでしょうか? 救急・集中治療の現場で一つの命のために魂をこめて仕事しているときに、世界のどこかで感情のかけらもない武器によって多くの命が失われている現状が悲しくて仕方ありません。 一人の力では何もできないかもしれません。 でも一人一人が「命にこめられている先人の魂」を感じて、そしてその命がその人だけのものではないことに気が付いてほしいと思います。 そんなことを考えながら今日も一生懸命スタッフ一丸となって目の前の命のために一生懸命頑張ります。

オールラウンド型救急科専門医研修プログラムホームページ運営開始

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web担当の伊藤です。 本日、前橋赤十字病院 オールラウンド型救急科専門医研修プログラムホームページを公開しました。   http://www.gunma-redcross-icuqq.com/program/index.html もちろん、スマホに対応しています。 前橋赤十字病院 高度救命救急センター、群馬県ドクターヘリ事業のホームページ共々、末長いご愛顧と、当院での研修を検討されている先生方の参考となれば幸いです。 今後ともよろしくお願いいたします。

「山の日」に思う・・・~日航機事故から31年~

昨日8月11日は「山の日」という新しい祝日でした。夏休み中の子どもたち、休みほど忙しい救命救急センターにとっては、本音を言うとある意味ありがたみの少ない祝日に感じてしまいます・・・ 群馬県で救急・災害医療に携わっているものにとって、この時期になるとかならず日航機事故のことを考えます。 昭和60年8月12日にジャンボ機が群馬県多野郡上野村の高天原山の尾根(通称「御巣鷹の尾根」)に墜落してから31年がたちます。この事故により520名の尊い命が失われ、毎年この時期になると慰霊の式典や登山がおこなわれておます。 またこの事故にはその当時の当院医師、看護師が災害医療に携わっており、その時の先輩方の経験がいまの当院の災害医療への取り組みの根底に流れています。 最近ではドクターヘリの事故のニュースもありました。幸い大きなけが人は出ませんでしたが、あらためて航空医療に携わる者として空の安全を守るために最大限の努力をしていくとともに、災害医療の発展のために一層の努力して行かなければいけません。 残念ながら山の日には多くの山の事故がありました。 航空業界、医療業界のみならず市民一人一人が山の安全を守ることを忘れないように、来年以降もこの山の日に何か思いをはせていただければと思います。

平成28年度政府大規模地震時医療活動訓練に参加しました。~訓練企画から得たもの!~

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 町田です。 例年9月に行われている政府大規模地震時医療活動訓練(2年前までは内閣府広域医療搬送実働訓練)ですが、今年度は8月6日の夏真っ盛りに行われました。 今回は東海・東南海トラフ地震により静岡県・愛知県・三重県・山梨県・岐阜県に大きな被害が出たという想定で、当科からは雨宮医師・小林医師が愛知県庁に設置されたドクターヘリ調整部、小倉医師が静岡県に参集する群馬県ドクターヘリスタッフとして訓練に参加しました。   いつもならここで訓練に参加したスタッフより報告をするところですが、今年は訓練を企画する側からの視点でちょっとだけ書かせていただきます。 例年のこの訓練においてドクターヘリなどを用いた地域医療搬送の企画は中村センター長が行ってきましたが、今年度の訓練では特に被害が大きくドクターヘリが参集してくる静岡県・愛知県・三重県うち静岡県の担当をすることとなりました。     下の写真は今回の静岡県での訓練における実機による訓練飛行計画です。    今回の静岡県での訓練において、実際にドクターヘリ5機(直前に1機キャンセル)、消防防災ヘリ1機、自衛隊ヘリ1機が実機による患者さんの搬送を行うこととなりましたが、実は訓練で実機を飛行させる場合には実災害時よりも様々な法律、規則などによる縛りが大きいことを知っていましたか? 一言でいうと「訓練では事前に計画した時間で予定した場所へ飛行するように」決まっています。訓練想定に合わせて行き先を変えたり時間の変更を簡単に行うことはできません。 しかも静岡県の災害対応計画に合わせて富士山静岡空港に実機搬送用のヘリを参集することとしましたが、訓練であるために空港は通常営業を行っておりさらに時期的にチャーター便も多く、エアラインに絶対に迷惑を掛けられないというプレッシャーがありました。   富士山静岡空港。 写真左端の消防倉庫にSCUが設置されました。 そのため今回の訓練飛行計画を決定するためには、空港、運航会社、他機関ヘリの関係者との調整が必要であり、静岡県庁の方に窓口になっていただいたり直接その機関に足を運んで様々な交渉を数か月にわたって行ってきました。 写真の何ともない訓練飛行計画を作成するのに約2か月・・・この間に静岡県庁に3回足を運んだ上にメールや

ドクターヘリ運航再開しました。

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昨日神奈川県で発生したドクターヘリの事故に関わって、同機種を使用している群馬県ドクターヘリも事故直後より運休して点検作業などを行い、本日夕方より運航再開となりました。 運休中については群馬県防災航空隊のご協力による防災ヘリドクターヘリ的運用、栃木県・埼玉県とのドクターヘリ広域連携、高崎ドクターカー・前橋ドクターカー、そして足利赤十字病院ドクターカーによる多大なるサポートを頂き心より感謝いたします。 ドクターヘリは今の日本に救急医療にとって欠かせないシステムの一つになっています。 この活動を長く続けていくために、我々医療スタッフも運航の安全に関することに対してさらに強い意識をもって臨んでいかなければなりません。 またドクターヘリのみならず様々なシステムの構築をおこない、これまで以上に早期医療介入を目指してさらに頑張っていこうと思います。 これからもドクターヘリの活動へのご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。

菊谷先生、ありがとうございました!

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橋本です。 7月31日をもって菊谷祥博先生が退職されました。(当初は昨年度末という話もありましたが、数か月延長してくれました。) 菊谷先生は、自分が受け持った患者さんのことは、体だけでなく、生活背景、家族背景(家族の年齢や ADL までなんでも)すべてを調べ上げているような先生でした。よく私に対しても、「その患者さんのことは何でも知ってるっていう状態にならないとだめなんだ!」とおっしゃっていました。 患者さんに接する時も、すごく優しい笑顔で、わかりやすい言葉で説明するので、患者さんにもファンがいたり、その姿勢を見て尊敬しているスタッフも多かったと思います。 菊谷先生は前橋赤十字病院に在籍する前は、秋田の中通総合病院で内科や透析関係をされていました。私が中通総合病院に初期研修医として入職した時に、入れ違いで前橋赤十字病院に異動されたのですが、前職でも唯一無二のキャラクターで個性を発揮し同僚やスタッフから人気があり、数々の伝説を残し、いなくなった後も余波が残っていました。 私が研修医中に救急科を志した時に、上司から「菊谷先生の行っている病院を一度見てみたら?」と勧められました。実際にお会いしたことがなかったので、病院 HP で菊谷先生の写真を確認して見学に行きました。朝カンファで何か言うと周りがどっと笑う、その笑いを取っているのが菊谷先生でした。 私が前橋赤十字病院に入職後は、常に厳しい目で、厳しい口調で、特に私は嫌われているんじゃないかと思うくらい厳しかったのですが、それはいつも的確な指摘であり、感情ではなく、指導的だったと思います。厳しくても、そういったところに惹かれる後輩は多かったと思います。 オールラウンダーな先生ですが、特に内科疾患、透析関係については菊谷先生から多く勉強させて頂いた先生方も多かったと思います。 秋田へ戻ってから、さらに秋田の救急医療が発展することを祈っています。 菊谷先生、4年間、本当にありがとうございました。

嵐の中のビアパーティ!(群馬県ドクターヘリ7月度活動実績を更新しました。)

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Web担当の伊藤です。 ここ2、3日、前橋も大気の状態が不安定で、夕方になると激しい雷雨に見舞われていました。 そんな、一番雨がひどかった8月4日夜に某商業施設内で研修医激励のビアパーティが開かれました。 道路が豪雨で川のようになるという天気予報を聞いた手前、どれだけの人数が集まるのかと心配していましたが、研修に励む若き医師たちのために多くの先輩医師が参加ました。 筆者は研修医にはあまり面識がありませんが、それでも気さくに声をかけてくださったり、ビールを注いでくださったり、陽気で、心優しい研修医たちとともに、とても楽しいひと時を過ごせました。 研修医募集についてはこちらのサイトでご確認ください!  http://www.maebashi.jrc.or.jp/recruit/resident/index.html 乾杯の音頭はメンターの浅見整形外科部長。 右は病院長の中野先生。 ビアパーティ「締め」の挨拶は中野院長先生。 着てるTシャツは群馬県ドクターヘリブランドです! 右が副院長・教育研修推進室長の丹下先生。 左がメンターの麻酔科副部長・柴田先生 研修医に囲まれるメンターの浅見整形外科部長。 熱い激励スタイルに、なぜか昭和の時代を感じました。 泌尿器科部長の松尾先生。始終、物静かでいらっしゃいました。 真ん中は皮膚科部長の大西先生。左がメンターの産婦人科副部長田口先生。 右側の後ろ姿は同じく産婦人科副部長平石先生。 左が外科副部長の黒崎先生。右は放射線診断科のメンター森田部長。 親しそうに雑談されてました。 最後に毎年恒例の記念写真。筆者もどさくさに紛れて入らせていただきました。 こちらも更新しています。

スイッチが重い!?(群馬県ドクターヘリ 7月活動実績速報付)

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町田です。 連日の大雨警報に朝の通勤でいつも橋を渡るたびに利根川の色や水位が気になってしまいます。 水不足の解消には貢献していると思いますが、土砂災害が発生しなことを願うばかりです。     今年度も4か月が過ぎました。 年度初めからずっと気になってはいたのですが、ドクターヘリの活動時間(消防覚知(119番入電)~病院到着)が伸びてきています。群馬県は20分以内にドクターヘリは到達可能な大きさであり、3『消防覚知から傷病者接触まで30分以内(通称“30分ルール”)』の到達率70%以上を目標に行ってっきましたが、今年度は毎月50%にも届いていません。その結果、『消防覚知から病院到着まで60分以内(通称“60分ルール”)』も全体的に遅延しています。 それでも必要なことは行いつつも現場活動時間をできるだけ短縮して、接触までの遅れを取り戻す努力はしていますが、やはり消防覚知からドクターヘリ要請までの遅れは致命的です。 細線:2015年度、太線:2016年度 ・赤:現着前要請率 ・緑:30分ルール達成率 ・青:60分ルール達成率 すべての項目で昨年度より遅くなっています・・・ このように要請のスイッチが重くなっている現状について、真剣に消防と病院で話し合わないといけません。なかなか話し合いの機会を設けていただけない障壁がありますが、消防も病院も傷病者の救命率、社会復帰率を上げるという目標は同じはず・・・目標が同じであればきっと良い方向にまた戻れると信じています。   今月はドクターヘリ症例検討会があるため、病院、消防のそれぞれの問題点を洗い出して、もっと市民に貢献できる翼になるように考え直さなければいけません。     ☆群馬県ドクターヘリ 7月活動実績速報☆