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院外広報誌「博愛」が「HAKUAI+(はくあい プラス)」に進化しました!

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丸山です。 当院では年に3回程、院外の医療従事者・一般の方向けに院外広報誌を発行しているのをみなさんご存知でしょうか。 タイトルは「博愛」。1877年の西南戦争の時に設立された日本赤十字社の前身である「博愛社」に由来するもので、赤十字の精神を体現している単語でもあります。 そんな当院の院外広報誌も2000年に第1号が発行され、早20年。この度、「HAKUAI +」にリニューアルしました!平成から令和、旧病院から新病院へと私たちの環境が変化したことも踏まえ、「博愛」から「HAKUAI+」へと進化を遂げ、デジタル媒体メインの広報誌になりました。冊子での配布は患者さん向けに院内で数十部のみとし、職員への配布をなくすことでエコ・フレンドリーになり、職員が毎日目にする電子カルテのログイン画面(ポータルサイト)に掲載することでいつでもどこでも見られる環境になりました。   この「HAKUAI+」ですが、一般の方々も当院ホームページからも閲覧することができます。当院ホームページを下にスクロールしていただくと「一般の方」と書いてあるボックスの中に、院外広報誌「HAKUAIプラス」と記載されているところがあるかと思います(写真②をご参照ください)。こちらをクリックしていただくと当院の最新版の院外広報誌が表示されます。またバックナンバーもございますので是非ご一読ください。 今回の特集は「コロナと戦う情報システム」です。 当院には情報システム課という部署があり、この部署の方々が病院情報システムを全て管轄しています!詳細は特集をご覧いただければと思いますが、当院では新病院への移転に当たりIT(information technology)を多く導入し、今も尚新しいシステムを導入し続けています。例えば、with コロナ時代の必須アイテム「オンライン会議システム」も今年の初めに導入されました。当院ではCisco Webex meetingというものを採用しています。それぞれが自身のパソコンから参加できるため、現場への滞在が不要になるだけでなく、広い会議室に広角カメラを設置し、院内の参加者においても3密を避けながら会議を行えるようになりました。 また、Cisco Jabberという電話アプリも導入されました。それぞれの医療スタッフが内線番号を持っていて電話ができる点は今まで同様ですが、さ...

新型コロナウィルスとインフルエンザウィルス、どちらの方が手に残りやすいかご存知ですか?

丸山です。  新型コロナウィルス感染の第3波がやってきましたが、そろそろインフルエンザの予防接種も始まる季節となりました。今回はコロナウィルス とインフルエンザウィルス関連の論文紹介です。タイトルは「Survival of SARS-CoV-2 and influenza virus on the human skin: Importance of hand hygiene in COVID-19」。京都府立医科大学の先生がヒトの皮膚に付着した新型コロナウィルス とインフルエンザウィルスの生存時間を調査した報告になります。  大変興味深いテーマですね!とはいえ、生きている人の皮膚にコロナウィルスとインフルエンザウィルスをなすりつける訳にもいかないので、今回は死後約1日経過した解剖検体を用いて実験が行われました。ヒトの皮膚では新型コロナウィルス の生存時間が9.04時間、インフルエンザウィルスが1.82時間でした。コロナウィルス もインフルエンザウィルスも飛沫感染(くしゃみや咳など)が主な感染経路だと言われていますが、飛沫がついた手などを介して接触感染することも知られています。この皮膚付着後も長く生存できるという点が新型コロナウィルス が持つ強い感染拡散力の理由の1つなのかもしれません(あくまで個人の見解です)。この研究では同時にアルコール消毒の効果も検証しています。15秒間のエタノール(アルコール)に暴露することでどちらのウィルスも完全に不活化されたとのことでした。15秒というと手にアルコールを吹きかけてからゆっくり揉み込むくらいの時間になります。プラスチックや金属などでは新型コロナウィルス の生存時間は72時間(3日間)との報告もあります。日頃から行われているかと思いますが、外出して色々なものに触れて帰宅した後はしっかりアルコール消毒をすることがウィルス感染予防になります。アルコールがない場合は石鹸手洗いでも十分です。厚生労働省の新型コロナウィルスQ&Aでは石鹸で10秒揉み洗いをして流水で15秒すすぐとコロナウィルスは手洗い前の1/10,000まで数を減らすことができると述べられています。  新型コロナとインフルエンザの同時流行(ツインデミック)が心配される昨今ですが、既にコロナ流行中に冬を越した南半球の国ではインフルエンザは流行らず激減したとのことです。...

救急科専門医試験に行ってきました!

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 丸山です。  先日10月10日に今年度の救急科専門医試験が執り行われ、当院からは私を含め3人が東京へ受験に行きました。今年度からはなんと救急医学会から直々に「試験対策eテスト」なるものが公開されたので、こちらを何周も解き直し、指定の教科書(『救急診療指針』と言います)を一通り読んで万全を期して望んだ(はず)でしたが、なかなか一筋縄ではいきませんでした。「薬品名までは覚えていたけど、構造式まではわからん!」とか、「この魚の背びれって毒があるんだ。。。」とか問題を解きながらドキドキワクワク(!?)していました(笑)。他にもツッコミ所満載だったので、今年度の問題が公開されたら是非みんなで解いてみてください。盛り上がること間違いなし!  私たちが試験勉強をしている間に世間では色々進展があったようです。トランプ大統領がCOVID-19に感染し入退院して、GoToトラベルは東京都が含まれ、GoToイートが始まり、コロナウィルス との関わり方もだいぶ変わってきたようです。経済が停滞しないよう取り組みつつも、東京では依然連日100人以上の新規感染者が発生していること、群馬県でも連日新規感染者が発生していることも忘れてはならないと感じています。実際、当院では夏に一旦COVID-19の重症患者が0人となりましたが、現在群馬県内では集中治療管理を要する患者さんが出始めています。また、東京都民のGoToトラベル利用が許可されてから県内の観光地の観光客数が急速に増加したとのニュースも目にします。自分も元々旅行好きですので観光業の復興を嬉しく思う反面、GoToイート開始による外食の頻度増加も含め、皆様が感染者と接触する確率が群馬県内であっても高まっていることが医療者としては気がかりなところです。コロナウィルス感染は大半の人が無症状であるため、疑い出したらキリがないですが、ストレスになりすぎない範囲で、マスク装着、こまめな手洗い・うがい、アルコール消毒等、感染対策を意識していただければ幸いです。 wikipediaより引用

【救急の日】当院病院長が救急医療・救急業務功労者として表彰されました!

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丸山です。 9月9日は 「救急の日」です。今年の同日、群馬県では「 救急医療・救急業務功労者」が表彰されます。そして、今年度の受賞者は当院病院長 中野先生でした! この表彰は 「多年にわたり地域の救急医療の確保、救急医療対策の推進に貢献した団体及び個人に対し、知事がその功績をたたえ、救急医療関係者の意識の高揚を図り、もって救急医療対策の一層の充実強化に資すること」を目的としているもので、 2004年度には宮﨑瑞穂名誉院長も表彰を受けられています。 9月11日の院長だよりから引用させていただくと「『 救急医療・救急業務』は、1人の医師・管理者によってではなく、病院の全診療科・看護部・事務部・薬剤部・臨床検査部・医療技術部・医療社会事業部等の全職員および委託・関連業者等の様々な方々の協力のもとに成り立つ事業です。 今回の表彰は中野個人というよりは病院代表の院長が表彰されたものであり『前橋赤十字病院の救急に対する姿勢・業績に対して、前橋赤十字病院全体が表彰されたもの』と考えていただくことが正しい評価であると思われます。」とのことで、この受賞を当院の一員そして救急部門の一員として大変誇らしく思います。 これからも群馬県の救急医療を支え、1人でも多くの人を助けられるよう、頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願い致します! ↓本表彰の群馬県のホームページです。 https://www.pref.gunma.jp/houdou/d11g_00066.html

残されたご遺族のために…~「死因究明」と「縫合処置」~

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町田です。 気が付くと県内でも桜がどんどん咲き始めているようです。今年は桜のもとで集うことは自粛となっており、桜にとっても寂しい春かもしれませんが、ひそかに咲き誇って潔く散るところがまた桜らしくてよいかもしれませんね。 とはいえ1年に1度の桜が咲き誇る時期・・・通勤ルートを少しだけ回り道して、車内から桜を眺めたいと思います。 前回は「生と死」に関する話題のうち「生」について書かせていただきましたが、今回は「死」に関して書かせていただきます。 「死」といっても、僕自身まだ生きており死者の気持ちはわかりません。ですが、救急医として12年間働いていて、人を助けたことばかりではなく人の死を見届ける機会がとても多かったことから、「死」に対して救急医として心がけてきたことを書きます。 1つ目は「死因究明」についてです。 過去の大きな災害において、亡くなられた方々のご遺族が苦しんだことの一つに「なぜこの人はなくなったのか?」という亡くなった時の状況、死因が分からなかったことに原因があるという報告がありました。でもこれは災害時だけではありません。通常の救急医療の現場でも、もし助けられなかったときに残されたご遺族に「死因」をしっかり説明することが大切です。 もともと持っていた持病が悪化して亡くなられた場合、医師は「死亡診断書」を記載します。しかし、救急現場では予期せぬ病気やケガが原因でなくなることが多く、その際は病院(主に検査)と警察(主に現場検証)で協力して検死を行います。また検死の中で死因が特定できない場合、事件性がある場合など、必要に応じて司法解剖を行うこともあります(我々はその解剖にも必ず立ち会うようにしています)。そこまで徹底して行うことで、初めてご遺族に死因をしっかり説明することができます。 助けられなかった大切な一つの命について、ご遺族のために医師は死因究明に全力を尽くさなければいけません。 2つ目は「縫合処置」についてです。 大けがで運ばれてきた患者さんの中には多くの傷を負っている方がいらっしゃいます。また救命のために我々が患者さんにメスや針で傷をつける場合もあります。 僕自身は救急医になる前は外科系の医師をしていましたが、手術で傷をきれいに縫合できるまではそう簡単にメスを握らせてもらえませんでした。傷をきれいに縫うことは医師としての...

ヘリも機種変更!~しばらく空飛ぶヘリの音が変わります。~

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町田です。 報道などではいまだに暗くなるニュースが続いていますが、個人でも組織でも何か気分転換や気持ちが明るくなる話題があるとよいですね。個人的には約30年前から大好きな「プリプリ」の曲を聴きながら、元気で明るい気持ちで通勤しています。あっ、今は「プリプリ」といっても通じないですかね… 仕事においてもちょっとだけ気分一新を行いました。 昨夕にドクターヘリ仕様のヘリコプターが当院に飛来し、夜に格納庫内で機体入替を行い、そして今日からいつもと違う機種でのドクターヘリ運用が始まりました。 これはヘリコプターの飛行時間や整備等に伴うスケジュール通りの入れ替えで、久しぶりにMD902(コード・ブルーで使用されたヘリと同じ機種)がしばらく群馬の空を飛ぶことになります。 手前がMD902、奥がBK117C-2 機種が変わってもドクターヘリ活動の内容は変わりませんが、機種によって緊急時の対応、無線の出し方、器材の配置など異なる部分もあるため、すでにドクターヘリに搭乗経験があってもこの機種に乗ったことがないスタッフは、搭乗前にあらためて安全講習を実施しています。 本来であれば同じ機種同士の機体入替のほうが単純で楽なのですが、いざ大きな災害が起こった時に当科スタッフは平時の経験をもとに空路搬送に関わる可能性があり、その時に様々な機種のことを知っておくことが必ず役に立つので、BK117C-2以外の機体を経験できる貴重な機会となっています。 機長より安全講習を受ける当科スタッフ 機体が変わってもぐんまちゃん、トラちゃんは一緒です。 いつもより高い音で皆さんの上空を飛行しますが、白字に赤のストライプ&青文字の機体を空に見つけたら、今まで通りご声援の程よろしくお願いします。 ちなみに僕が初めて乗ったヘリコプターがMD902で、しかもその時の機長とここ数日一緒に活動できていることがとてもうれしく感じています。  JA6924は次の勤務地に飛び立っていきました!

「面会全面禁止」にご理解ご協力の程よろしくお願いします。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病院としての対応は、世界や日本国内の流行状況、ぐん間県内の発生状況などに応じて、毎日会議を開いて検討しています。 現在、前橋赤十字病院は感染予防の強化を図る観点から、当面の間、面会は 全面禁止 とさせていただきます。ご家族の方でも病棟に入ることは出来ません。(*ただし、緊急の際はこの限りではありませんので、受付スタッフにお申し出ください。マスクはご持参ください。) https://www.maebashi.jrc.or.jp/index.html 尚、救急外来を受診する際も、同行者(ご家族など)が必要な際でもできる限り最低限の人数でお願いします。 また当院主催や当院開催予定であった様々な講演会、研修等も中止・延期の措置を取らせていただいています。(詳細は上記URLの病院ホームページからご確認ください。) ご不便をおかけしますが、皆様のご理解ご協力の程よろしくお願いします。

「一挙手一投足」に注目する!

町田です。 当直明けにテレビでプロ野球と大相撲の中継を見ました。 無観客であることから打った時の音、グラブにボールが収まった時の音、ベンチからの声援(やじ?)、体同士のぶつかる音、行司の響く声など、とても斬新な感じでした。もちろん選手や力士は大変だと思いますが・・・ それと同時に視覚に集中できるため、選手や力士の細かい動きまでいつも以上に見ている気がします。まさに“「一挙手一投足」に注目する”状態です。 「一挙手一投足」の意味は、“ひとつひとつの動き、小さな動作”です。 実は無観客試合を見る前からこの言葉のことを意識させられるような経験をしています。 ドクターヘリ活動においてOJTナースから、またドクターカー活動中において救急救命士から、振り返りや症例検討会の時に「あの時に先生はなぜこのような動きをしたのですか?」「この処置の時にこういうやり方もあるのですか?」と聞かれることがあります。 特に緊急度の高い患者さんに対応しているときに、フライト・カードクターが超緊急処置や最終決断にチームメンバーが注目していることを強く感じました。それは救急外来や集中治療室、そして病棟で患者を診療しているあらゆる場面でも、我々の「一挙手一投足」が同じように注目されていると思います。 以前にも本ブログで書きましたが、安全な医療はありません。 医療行為はリスクの塊であり、そのリスクをコントロールして安全を得ることができます。周囲でスタッフや家族、そして患者自身が安心していただけるよう、一つ一つの動作をより迅速かつ丁寧、そして美しく行うことが重要ですね。 ちなみに「一挙手一投足」にとは、“わずかに苦労すること、少しの労力”という意味もあります。 普段から物事を上手く進めるように、一挙手一投足の労を費やすことを忘れてはいけません! ただ「一挙手一投足」を意識しなくて済む時間もないと疲れちゃいますね~(笑)

こんな時だから読書をして命について考えませんか!?~「命をつなげ!ドクターヘリ」~

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町田です。 COVID-19対応で多くの学校が休みになって数日たち、いろいろ大変なこともありますが、逆に新たなことに挑戦させたり(家でできる範囲ですが・・・)家族で会話する時間が増えたなど、今までと違う時間を過ごしているかもしれません。 とはいってもにすでに子供たちが時間を持て余して困っているご家庭もあると思います。そんな時はやっぱり読書などはいかがでしょうか? 以前にも紹介させていただきましたが、講談社青い鳥文庫から出版されている『命をつなげ!ドクターヘリ』シリーズをぜひお勧めします。 当院も第2弾で取り上げていただきましたが、まずは第1弾の千葉北総病院を舞台にしたものから読んでいただきたいと思います。僕自身も群馬県にドクターヘリを導入する準備のとして2008年に同院に研修をさせていただいたときに、まさに本に描かれている「命との懸命な戦い」が目の前で連日繰り広げられており、いつか当院も“北総救命に追いつこう”という思いで10年近くドクターヘリ活動に関わってきました。そして当院をモデルとして第2弾が出版され、群馬県ならではの取り組みも併せて「命のリレー」を本の中で紹介していただきました。 もともと小学校中級から読んでいただけるようにすべて漢字にはルビがふってありますが、もちろん大人でも十分読みごたえがあり、なによりもドクターヘリのこと、救急医療のことがよく理解していただける内容となっています。 このような時期だからこそ、この本を読んでいただき、命の大切さについて親子や仲間同士で語り合ってみてください。 『命をつなげ!ドクターヘリー日本医科大学千葉北総病院よりー』  「ぜったいに、助ける!」そんな決意をのせて空を飛ぶのが、ドクターヘリ。  一分一秒をあらそう救命救急の最前線で、医師、看護師はもちろん、オペレーター、消防隊、ヘリコプターの機長や整備士  ―ひとつの命を救うために、多くの人々がそれぞれのベストをつくし、奮闘する! 新米医師の目をとおして、知られざる先端医療の世界を描くノンストップ・ノンフィクション。 『命をつなげ!ドクターヘリ2ー前橋赤十字病院よりー』  一秒でも早く病気の人や、けがを負った人の治療を始めるために、ドクターヘリは今日も空を飛びます。ですが、そのためには、お医者さんとヘリの操縦士がいればいいわけではないの...

“ダメージコントロール”と“トラブルシューティング”

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町田です。 COVID-19に伴い亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、入院治療や自宅・施設などで待機を余儀なくされている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また今まで、そしてまさに今この時間もCOVID-19対応をしている医療者を、どうか暖かい目で見守っていただけると幸いです。 https://jadm.or.jp/sys/_data/info/pdf/pdf000121_1.pdf 先日ジャーナリストの方の講演を拝聴する機会をいただきました。 紛争地域で逃げる人々と逆行しなくてはいけないのがジャーナリストと医療者であり、その時に大切なことは「“ダメージコントロール”を行い最小限の被害におさえることを目標に活動する必要がある」という言葉が印象に残りました。 以前僕は尊敬する先生に「安全な医療はない」と教わりました。 多くの方々にとっては信じられないようなことかもしれませんが、薬を処方しても副作用の可能性があったり、注射であざを残したり、手術ではちょっとでも切るところを間違えれば大出血をしてしまうなど、医療行為自体がリスクのかたまりかたまりといっても過言ではありません。 安全管理という言葉は本当は間違いであり、リスク管理で得られる結果が安全です。 だから医療者は常にリスクと戦っている日々を過ごしています。 写真はイメージ(研修会)です。 しかしながら多数傷病者が発生するような事案や大規模災害対応においては、残念ながらすべての傷病者に100%完璧な対応ができることはありません。そのなかでいかにダメージを少なくするように活動を行うかが大切になっていきます。 そのためにあらゆる事態を想定してその対応法をある程度イメージしておくことが大切です。 一般的に安全といわれる診療においても、マニュアル通りやれば問題ないという思いは捨てて、常にリスクを評価して、予定外のことが起こっても落ち着いて“トラブルシューティング”を実行できるようにしていかなくてはいけません。 写真はイメージ(訓練)です。 今のご時世だからこそ、今回のジャーナリストの方のお話が胸に響きました。 確かに以前在籍していた病院で、手術中に先輩から「手術はトラブルシューティングの繰り返しで、そのダメージを最小限にすることで安全に終了できる」とご指導い...

なんちゃって“気象予報士”!~五感で天気を予想できます!?~

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町田です。 今日は朝からとんでもない強風(あまりの強さに恐怖です)が吹き付けていて、屋上の風速計では最大で26m/sec(約50ノット)を記録しました。ちなみに台風とは「北西太平洋または南シナ海に存在する熱帯低気圧で、かつ低気圧域内の最大風速が約17 m/s(34ノット)以上にまで発達したものを指す呼称」とのことで、超大型台風並みの風が吹きつけていたことになります。 今日も青空が広がっていて前橋市ですが、ドクターヘリは終日運休で、救急外来の中にいても「ビュービュー」と風の音が聞こえていました。 ドクターヘリは有視界飛行のため、視界不良時や夜間は運航していませんが、それ以外にも特に群馬県の場合では冬の北風や夏の夕立にもかなり気を使わなくてはいけません。そのため運航クルーが様々な気象サイトも駆使しながら、運航の可否や運航エリアを常に確認しています。 このようにして天候判断は運航クルーに医療スタッフは従うことになりますが、ドクターヘリ業務に10年以上かかわっていると、何となく天気の変化や風の状況が五感でわかることがあります。 北風の強さに関しては、北の山々の見え方である程度分かります。 今日は谷川岳は見えず赤城山の頂には雪雲が流れ込んでいました。 前橋が晴れている状況で、県北の谷川岳まですっきり見えていると風はさほど強くなく、飛行中の揺れなどによるストレスもほとんど感じません。しかし、赤城山・榛名山は頂まで見えるけど、谷川岳が見えないときはやや風が強く、飛行中の揺れに対する患者への配慮が必要になります。そして赤城山・榛名山の頂に雪雲がかかっているときは・・・その日のヘリ運航はあきらめないといけないような状況です。 社会の教科書に載っているように、大陸からの強い風が越後山脈にぶつかり新潟に大雪を降らせ、雪を降らせた後の乾いた風が関東に吹き付けるのが典型的な冬の天気ですが、その風が弱ければ新潟県境の谷川岳まではっきり見え、北風が強く雪雲が流れてくれば県南部に近い山々まで雲に隠れてしまします。ちなみにこの越後山脈からこぼれた雪雲のおかげで、群馬県北部は一大スキーリゾート地となっています。 それ以外にも、冬であれば「病院近くの清掃工場の煙突の煙が斜めならまだ運航可、真横なら運休」、「南風が吹けば天気が崩れる」、夏であれば「昼過ぎに空気のにおいが変わ...

「手洗い!うがい!無理をしない!」~あたり前のことをしっかりやりましょう。~

町田です。 先日仕事で西吾妻福祉病院に行くことがありました。この時期になると2年前の本白根山噴火災害を思い出します。 その時は雪の中での現場活動が行われましたが、今年の冬はその時とは景色が違うようです。今週も初めに雪が降りましたが、その後の陽気で今年は西吾妻福祉病院の付近も全然雪がなく、そこから見える本白根山も山肌がかなり露出していました。 亡くなられた自衛隊員の方のご冥福を心から祈るとともに、吾妻地域での災害対応のさらなる充実化を図っていく必要性を改めて感じています。 昨晩 ようやくWHO(世界保健機関) は、新型コロナウイルス について「国際的に懸念される公衆衛生 上の緊急事態」と判断し緊急事態宣言 を出しました。 このような感染症の拡がりも‟災害”としての対応が必要になる場合がります。そのためには初動がとても大切ですが、そう考えると宣言を出すのがすこし遅かった気もします・・・(政治的な話はこれ以上は避けたいと思います。) とはいえ一人一人が行うことは極めて単純です。 この時期はもともとインフルエンザウイルスやノロウイルスの流行期であり、毎年「うがい、手洗い」を励行するように言われていると思います。それをしっかり実行することが一番の予防になります。 それに加えて「無理をしない」ことが大切になります。 体調が悪いときはこういう時だからこそ決して無理はせず、ゆっくり休養することで体調回復を図り、さらに他人への感染のリスクを減らすことができます。もちろんマスク装着も大切ですが、咳や熱があるけどマスクをしたから出かけてOKではありませんよ! 新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルスであれ、そもそも風邪の予防も、「手洗い、うがい、無理をしない」が基本となります。 明日から当院で2日間にわたってJATECコースが開催されますが、まずは参加される皆様自身による感染対策、体調管理のほどをお願いします。当院としてもマスク、アルコール消毒などの準備はさせていただく予定です。

久しぶりの銀世界…!?

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昨晩は群馬県の平野部にも雪が降りました。今シーズンはたぶん初めてだと思います!? 当直帯も佳境を迎えて日付が変わろうとしたあたりでふと外を見ると…ER入口に続く救急車専用道路が真っ白に! 朝までにどれくらい積もるかドキドキしていましたが、夜中の間に銀世界はすっかりと消えて冷たい雨の降る朝となっていました。 今日もずっと雨が降り続いているため雪が積もることはないと思いますが、気温の下がり方によっては夜に道路が氷結したり、また明日は暖かくなるようなので雪崩などのリスクが高まっています。 交通事故や転倒によるケガ、そして温度差による体調不良に十分気を付けてください。 谷川岳や浅間山をはじめ県北西部の山々の真っ白な姿が見られることを期待して、次の晴れた朝が来ることを待ちたいと思います!

2020年もよろしくお願いします!

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新年を迎えました。 群馬では青空のもと新春恒例の「ニューイヤー駅伝」がスタートし、たすきリレーが始まりました。 救命センターでもおだやかな天気とは裏腹に、早朝よりホットラインが鳴り響き命のリレーをすべく急患対応が続いています。 今年も開始早々から落ち着かない様子ですが、この1年も皆様の命を守るべき砦としての役割を果たせるように地域の医療機関と連携を強化していくとともに、あらためて「オール群馬」として救命率や社会復帰率の向上を図れるよう、高度救命救急センター・基幹災害拠点病院として大きな動きを起こしていきたいと考えています。 この1年もどうぞよろしくお願いいたします。

2019年も大変お世話になりました。

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2019年もいよいよ大晦日を迎えました。 今年も災害対応が多く、落ち着かない1年でした。 今年を振り返るとやはり災害のことが真っ先に頭に浮かんでしまいます。異常なほど日本列島を次々と襲う強力な台風に、あらためて自然の驚異に対して人間社会は非力であることをまざまざと見せつけられました。 当県でも被害が出ましたが、それ以上に多くの被害が出た近隣県の災害対応の支援を行いつつも、それ以上に被災県の方々の災害対応に多くのことを学ぶ機会をいただきました。 来年はオリンピック・パラリンピックも開催されますが、災害がない平穏な1年になってくれることを願うばかりです。 今日も今年を象徴するように天気が荒れています。予想最高気温も18度と季節外れの数値を示していますが、今年一番ともいえるものすごい強風が吹きつけていて(ドクターヘリは運休です…)体感温度はものすごく寒く感じています。 来年はもっと明るい年になりますように! 救急外来も年末は予想していた通り大混雑しています。また悲しい事故もたて続いています。 日当直スタッフと救急外来スタッフで精一杯対応していますが、どうしても待ち時間が長くなります。どうか病院にかかることがないように健康かつ安全に過ごしていただき、年始の連休を笑顔あふれる日々でお過ごしください。 関係者の皆様にはこの1年も多大なるご迷惑をおかけすることもありましたが、皆様の叱咤激励のおかげで新たなフライトドクターやカードクターも誕生させることもできました。 本当に今年も1年にわたって大変お世話になりました。皆様、良いお年を!

病気やけがのない年末年始をお過ごしください。

昨晩は一瞬先走りすぎた投稿をしてしまいました。関係者の皆様、期待させてしまった皆様、大変失礼いたしました。 世の中では仕事納めも終わり、最長で9連休ともいわれる年末年始が始まりました。 テレビでも空港や新幹線ホームに人がごった返している様子が映し出されております。 今年は全国でインフルエンザが猛威を振るっており、人が集まるところでより感染のリスクが高くなります。 手洗い・うがいを徹底し、無理ないスケジュールを組んで、平穏に新しい年を迎えてください。 尚、いろいろなクリニックや病院の外来が休診することに伴い、年末年始は1年で最も救急外来が混雑する時期の一つです。インフルエンザや嘔吐下痢症などの感染症の患者も多く、待ち時間もかなり長くなりことから、感染症が蔓延するリスクが高くなります。 不要不急の救急外来への受診はできるだけ避けていただきたいとともに、もし受診する際はマスク着用を徹底するようにお願いします。 まずは病気やけがにならないように十分気を付けてよい年末年始をお過ごしください。

実習の医学部生と救急医療について語った夜!

町田です。 以前は当院に実習に来る医学部生の担当をしていた頃もありましたが、いまはあまり病院にいないこともありなかなか実習中の医学部生と話す機会が少なくなっていました。 ところが昨晩、救急外来での当直で医学部生の当直実習と重なり、久しぶりに学生さんと長く一緒にすごす時間がありました。といっても当直開始の17時半から朝4時過ぎまで患者さんが途切れることなく、15分間の夕食の弁当を食べているときや救急車到着を待っている時くらいしか話すことはできませんでしたが・・・ 本来であれば病態や鑑別疾患などを教えるところなのかもしれませんが、実習最終日であったということもあり僕もなんだか気合が入ったのか、 ・救急医が一番力を発揮するタイミングを逃すな! ・地域全体を巻き込んで救急医療を展開しろ! ・ドクターヘリやドクターヘリでは救急外来とほぼ同じレベルの医療を提供しろ! ・残された家族の気持ちを真っ先に考えろ! ・・・ のような個人的に「救急医療のホットな部分」と思っている内容を、私見がかな~りたっぷりではありましたがバンドマンである学生さんに元バンドマンの熱いノリで語っていました。 学生さんの心にどこまで響いたかわかりませんが、話しているときは興味深く聞いてもらえました。さすがにずっと休みなしで救急対応をしていたので、朝4時に救急外来が鎮まった時にはだいぶぐったりしていましたが、当直明けの帰り際に「とても充実した実習でした」という感想をいただきとてもうれしかったです。 いまは若手スタッフを中心に学生実習の担当をがんばってくれていて完全にお任せ状態でしたが、おじさんの経験談も学生さんにうける時もありそうなので、あらためて実習に来た学生さんにいろいろ絡んでいこうと思います。しつこくない程度に・・・(笑)

インフルエンザに注意しましょう!~あっという間に秋も終わり…~

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町田です。 10月は大型台風被害の対応に追われる日々でしたが、ここのところようやく気候が穏やかになりふと周りを見渡すと、気が付くと街の木々がすっかり赤やオレンジに色づいていました。 さらに山の上に行くとすでに落葉が進んでおり、群馬県の紅葉シーズンは今年もあっという間に過ぎていってしまいそうです。 とはいえ、この時期は赤とオレンジが美しく映える季節です。 木々の紅葉はもちろんですが、群馬を囲む山々を浮き出すような夕日の美しさは、海に沈む夕日とはまた違った味わいがあります。 しかし紅葉が進み夕日がきれいに見えるということは、朝晩の冷え込みが強くなってきたということを表しています。 11月に入り朝晩はコートを羽織らないと寒さを感じるようになりました。しかしながらまだ日中は20度前後に気温が上がることもあり、日中の温度差に体調を崩す人も増えてきています。 しかも今年はインフルエンザが早期より流行の兆しを見せており、朝晩が冷え込みが強くなってきたこの時期から一気に流行が進む可能性があります。 気温に合わせた洋服の調整、手洗い・うがいの励行で、インフルエンザに負けないようにしていきましょう! ちなみに注射嫌いの僕も涙目でワクチン接種を受けました。ここ数年、接種後に数日体調がやや悪くなることに、ワクチンの効果とともに自分の体力低下を感じる今日この頃です・・・

季節の移り変わりと景色の一変!

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町田です。 先週末の大雨で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りします。復興に向けて活動されている皆様がけがや病気なく日々お過ごしできることを願っています。 烏川の増水により一時的に水没した河川敷の高崎へリポート。 使用再開となりましたが、一部でまだ水が残っています。 すでに10月末です。 異常気象の影響で、ここ数年は紅葉の色の付き方があまり美しくないといわれています。群馬でも山の方は紅葉が始まっていきましたが、今年は鮮やかな彩を見せてくれるでしょうか? 患者さんが同乗していない時は、他の航空機など医療スタッフも監視しながら、同時に季節に合わせた景色の移り変わりを体感しています。 比較的標高の高い山々の頂から少しずつ色づき始めました。 しかし今回ばかりは「移り変わり」ではなく、『急変』という言葉が当てはまる光景に驚かされました。報道でもいろいろな形で取り上げられていますが、「八ッ場ダム」の周囲の景色が台風19号の通過前後で本当に一変しました! ダムの効果の有無については検証されていないのでここでは何も書きませんが、過去には一気に水が貯まることで大きな災害が導かれたことがあり、今回は今のところ大きなトラブルが発生していないことに、あらためてこの景色の変化を見て逆にぞっとしました。  台風19号通過前の八ッ場ダム 台風19号通過後の八ッ場ダム 景色の一変にもびっくりしつつも、景色は秋から冬に向けて確実に進んでおり、すっかり朝晩も冷え込み通勤でジャンバーや薄手のコートなどを着ている人が増えましたね。 朝晩の冷え込みに伴い急病の患者さんも増えてきています。災害が続き心身ともに疲れているときほど、知り合いやご近所同士で声を掛け合ってお互いの健康を気にしてあげてくださいね。

日没との戦いが始まりました!

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町田です。 まだ日中は汗ばむときはありますが、朝夕はすっかり涼しさを感じるようになりました。 秋は空がより高くより青く感じます。群馬もすっかり秋の気配が広がってきています。 秋になると毎年始まる戦いがあります。相手は「日没時間」です。 現在の群馬県の日没時間は17時半ちょっとすぎです。だいぶ早くなりました。 群馬県ドクターヘリは「日没時間までに基地病院に帰還する」という運航規程に則って運用しています。 すでに太陽は山に隠れようとしています・・・ 「ヘリで搬送するか?」「陸送に切り替えるか?」 そこで夕方に要請が入ると、日没時間から所要時間を逆算して「出動できるか否か」を判断します。 もし出動できたとしても、「行きの飛行時間+救急車からヘリへの載せ替え時間+エンジン始動時間+帰りの飛行時間」を日没までの時間から引いた時間が「現場で活動できる時間」となります。 もしその時間がなければ、医療スタッフのみを置き去りにしてヘリは帰還する場合もあります。その際は逆に現場で活動する余裕があるのですが、現場で時間の余裕がなくても早期に病院で決定的治療を行わないといけない場合は、現場でごくごく最低限の活動だけしてすぐにヘリで患者を搬送しなくてはいけません。 いつも日没ぎりぎりまでお疲れ様です。 日没ぎりぎりの要請では、行くまでの間に現場で十分な活動するために残るか、病院搬送を最優先に現場活動をより洗練させておこなうか・・・無線から入ってくる情報と時計の針とにらめっこしながら頭の中で様々なシミュレーションして現場に向かいます。 日没時間は変えることができず絶対に守るべき時間だからこそ、あらためてドクターヘリ要請から基地病院到着までに1分たりとも無駄にできないことを実感します。