2025年 救急外来災害訓練 「群馬県内で大雨特別警報がでたらどうしよう・・・」

おはようございます。ブログ担当の永山です。

2025年も、いよいよ残すところあと3週間となりました。
秋らしい過ごしやすい季節がほとんどないまま、いきなり本格的な寒さになりましたね。
物価高の中、暖房の電気代が心配…という方も多いのではないでしょうか。
さらに、インフルエンザの流行もあり、体調を崩しやすい時期が続いています。
どうか皆さま、無理せずあたたかくしてお過ごしください。

さてさて、今回のブログのテーマは、救急外来で行った「災害訓練」についてです。
「また訓練の話かぁ…」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ブログ運営で悩ましいところではあるのですが、 実際の診療内容については、患者さんのプライバシーの問題があるため、詳しくご紹介することはできません。
また、実際の災害対応についても、被災された方、ご家族がいらっしゃる中で、安易に話題にできないという事情があります。
ご拝読いただいている皆様には大変申し訳ございませんが、ご高配いただけると助かります。

とはいえ災害への備えはとても大切です。
石川の地震のときはもちろん、先日の青森・岩手の地震の際も、夜間にもかかわらず当科のスタッフはすぐに集合し、情報収集を行いました。
これは、DMAT(ディーマット)と呼ばれる災害医療チームの「自動待機基準」に基づく行動です。
※DMATとは「災害派遣医療チーム」のことで、大きな災害の際にすぐ出動できるように訓練された医療チームです。
日頃の訓練の積み重ねが、こうした迅速な行動につながっていると実感しました。

それでは今回の訓練の内容と、あわせて「警報」についてご紹介します。


まずお伝えしたいのが、「災害が起きている」と認識することの難しさです。
今回のように大きな地震が起これば、多くの方がすぐに「これは災害だ」と共通の認識を持てます。
しかし、**津波・火山の噴火・大雨・大雪**などは、人によって「どこからが災害なのか」という受け止め方に差が出やすいのが実情です。
これは一般の方だけでなく、実は医療従事者でも同じなのです

そこで重要な役割を果たすのが、気象庁などから発表される「警報」です。
警報には、次の3つの段階があります。
① 注意報(気をつけましょう)
② 警報(危険が迫っています)
③ 特別警報(命の危険があるレベル)

上図のように、段階的に危険度が高くなっていきます。図はウェザーニュースHPからの引用


ただし、地震・津波・噴火には「特別警報」という区分がなく、それぞれ震度や規模、名称などによって危険度が判断されます。ここは少しわかりにくいポイントです。

DMATは、この「特別警報」が出た場合、自動待機といって、すぐに病院へ向かい、県からの要請があれば即座に出動できる体制をとります。

図はDMAT自動待機基準より参照

今回の訓練では、「群馬県内に大雨特別警報が発令された」という想定で、私たちがどのように動くべきかを確認しました。
実際に体を動かす「実働訓練」ではなく、机の上でシミュレーションを行う「机上訓練」の形で実施しました。

後期研修医、看護師さん、事務当直の皆さんに参加してもらい、
EMIS(*Emergency Medical Information System:イーミス)という災害医療情報を共有するシステムの操作も体験してもらいました。
※EMISとは、災害時に全国の医療機関が被害状況や受け入れ可能人数などを共有するための情報システムです。

私たちは「災害基幹病院」であり、さらに「日本赤十字社(日赤)」の病院でもあるため、災害時には多くの役割が求められます。
決して簡単な訓練ではありませんでしたが、参加してくださった皆さんが協力し合い、とても有意義な時間となりました。

改めて、ご参加・ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
これからも「もしも」に備えた訓練を大切に続けていきたいと思います。

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