事故にあった子供たちを助けたい!~「ITLS Pediatric Course」指導報告~

町田です。
9月に北海道釧路市で開催された「ITLS Advanced Course」について土手先生から本ブログで紹介させていただきました( https://drheli-gunma.blogspot.com/2019/10/itls-advanced-course.html )。そのコースの懇親会中に「そういえば北海道でしばらく小児外傷のコースやってないですよね・・・」とちょっとつぶやいてしまったら、あっという間に2か月後に「ITLS Pediatric Course」が北海道帯広市で開催されることとなり、今週末はそのコースにもインストラクターとして参加させていただいたので報告します。


「ITLS Pediatric Course」とは、“外傷を負った子供のかけがえのない命を守るため、小児に特化した外傷初療を学ぶコースで、小児に対する正しい観察の方法や観察手順、小児の外傷処置や固定方法を学ぶ(ITLS日本支部ホームページより)”です。
日本には救急医療や外傷診療に関する様々な教育・研修コースがありますが、実は小児の外傷患者に関わるコースはほとんどなく、僕自身も平時の病院前診療や救急医療で小児の重症外傷患者や虐待を受けている児の対応にここのコースが学んだことがとても役立っており、そのためにこのコースの指導者として定期的にコース参加して知識のブラッシュアップを行っています。

今回の会場は帯広厚生病院でした。
2年前にJA北海道厚生連の初期研修医セミナーに講演させていただきましたが、実は当院と同じ時期に新病院に移転していて、今回はその新病院でのコース開催となりました。
JA北海道厚生連帯広厚生病院(救命救急センター側から)。
土手先生が初期研修を受けた病院です!

日本の食糧自給を支えている地域の病院ということもあって、コース会場の壁に十勝名物の小豆や大豆が飾ってあったのが印象的でした。

小児の重症外傷は成人に比べて頻度がとても少ないです。そのために実際に対応する救急隊員や医療スタッフが苦手意識を持っている場合が多いのが現状です。
小児の場合は成人よりももともとが元気であるため、病院前や病院での初期対応がしっかり行われればどんな重症患者さんであっても、奇跡的に元気になってくれることがあります。しかしながら体が小さいため呼吸や循環の予備能が少なく、病院前から迅速な評価とそれに対する適切な処置を積極的に行わないと大切な小さな命を失ってしまうことになります。
また事故が起こった背景や児の様子から今世間を騒がせている虐待を見落とさないことも救急隊や医療スタッフには課せられています。

このコースは救急隊員・救急救命士のみならず病院前診療に出動する医療スタッフ、そしてその患者を引き継いで対応する救命センターのスタッフの受講を勧め、小児外傷への苦手意識の払しょくとともにを子供たちにとって安全な地域を作ることも推し進めていきたいです。



ちなみに本ブログに「北海道ネタがやや多いのでは・・・」という突っ込みを時々いただきますが、管理者の僕が北海道出身であることだけが理由ではなく、当科スタッフで北海道内の大学を卒業し初期研修を行ったスタッフが4人もいて、僕を含めてスタッフの1/4が北海道に絡んでいるということで仕方がありませんね(笑)
ちなみに個人的には往復の飛行機の窓から外を見ながら、この大地の上にもドクターヘリを飛ばしたいと強く感じました。

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