1分でも早く傷病者のもとへ!~2015年度群馬県ドクターヘリ『Total Pre-Hospital Time』~

町田です。
昨晩に日赤災害医療コーディネートチーム(中村センター長、滝沢看護師、太田主事)、本夕に熊本赤十字病院支援スタッフ(小倉医師)が帰還しました。現地での活動お疲れ様でした。
昨日出発した日赤医療救護班のメンバーは本日より本格的に現地での活動を開始しています。また当院でもさらなる医療救護班、支援スタッフの調整を行っています。



毎年この時期は日本航空医療学会に提出するために、前年度の実績をまとめて細かく分析する作業が行われます。
要請・出動数、活動種別、搬送先、疾患分類などは1か月ごとに集計して、毎月ブログやホームページで公開しています。
この時期に最も大変な作業は時間経過のまとめです。「消防覚知~ヘリ要請」「ヘリ要請~離陸」「離陸~場外地着陸」「場外地着陸~場外地離陸(現場滞在時間)」「場外地離陸~病院着」の平均時間を算出し、最終的に群馬県ドクターヘリの『Total Pre-Hospital Time』がでます。

2015年度 群馬県ドクターヘリにおける『Total Pre-Hospital Time』は『59分』でした。
消防覚知~ヘリ要請:10分
・要請~ヘリ離陸:5分
・離陸~ヘリ場外地着陸:12分
着陸~場外地離陸(現場滞在時間):19分
・離陸~病院到着:13分

ドクターヘリにより群馬県はほぼ全域を離陸から20分以内でカバーすることができます。
そのために119番入電(消防覚知)からヘリ要請時間を迅速にすることで『消防覚知から傷病者接触まで30分以内』、さらに現場滞在時間を無駄に延長しないことで『消防覚知から病院到着まで60分以内』にする、それぞれ『30分ルール』『60分ルール』を努力目標として消防、病院が一丸となって取り組むように訴え続けています。
実際には30分ルール、60分ルールともに達成率は5割前後(目標は7割以上)とさびしい限りですが、今回活動時間の平均値では、ぎりぎり30分以内、60分以内に入っていました。

特に重症外傷患者において、覚知から傷病者接触、病院到着がこの目標時間に達成の有無で、成績に差が出ている事実があります。
消防はヘリ要請のさらなる迅速化(消防覚知から8分以内!)、病院は現場滞在時間のさらなる短縮(15分前後が目標!)を目指して、判断力、対応力をさらに磨いていきましょう!


ちなみに運航開始当初から市民の皆様に宣言している『ヘリ要請から離陸まで5分以内』の目標はぎりぎり今年も守ることができました。しかしながら個人差も出てきています。“たかが1分、されど1分”の気持ちを忘れず、傷病者へ「1分でも早い医療介入、1分でも早い決定的治療開始」を目指して関係者一丸となってさらなるレベルアップを目指していきましょう。
1分でも早く傷病者のもとへ!

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