第2回群馬県MCLS標準コースが開催されました

ご無沙汰しております.救急科 専攻医 原澤です.
町田先生が夏期休暇ということもあり,upさせていただきます.

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7月23日,前橋赤十字病院にて「群馬県MCLS標準コース」第2回目が開催されました.

◎MCLSってなんだっけ?聞いた事ないよ?という方は下記記事をご覧ください.
 http://drheli-gunma.blogspot.jp/2012/06/mcls.html

丸一日かけたコース,運営に関わられた皆様,受講生の皆様,お疲れさまでした.
今回,いち受講生として参加させていただきましたので感想などを.

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このコースの目的は「現場で関わるメンバーの共通認識を作ろう」ということ.

救急医療というのは,基本的には,一人の患者さんに対し,可能な限り最も良質な医療を提供する,ということが求められます.
これには,関わるメンバー全員の認識が近いレベルにあることが必要とされます.
そもそも救急医療には,救急救命士,消防士,看護師,医師,臨床検査技師,臨床工学技師,放射線技師など...複数の職種が関わります.
複数の,立場の各々異なる職種が,同一の疾患の治療についての共通認識を持っていること,これが重要になりますが,なかなか難しいため,同一の職場内で何度も議論して擦り合わせをしておく事が必須といえます.

災害医療でも同様の事が言えますが,さらに難しいことに,救急医療と異なり「医療需要が医療供給を上回ってしまう」という状況が生じます.
また,普段関わらない職種(レスキューや警察など)やメンバー(他の地域/病院のスタッフなど)と共に活動しなければなりません.普段「あれやって」とか「これだしといて」とか,ツーカーで伝わることも...伝わらないのです.

そこで,災害対応のときに「どういう事を考えて」「お互いにどのような情報を共有して」「誰にどういう事を任せて」「自分はどのように動くのか」などという基本的な項目を,共通認識として理解し,それを理解している前提で活動する,という事が,迅速かつ良質な対応を可能にするのです.

うーん,言葉にするとわかりにくいですねー.
とまぁそんな目的で災害対応の基本を学び,他の職種との協調/共同作業が可能となるようなプログラムとなっております.

主な参加者は救急救命士さん,消防職員さん,あと看護師,医師が複数名,という,現場に出場する職種を中心とした編成でした.グループ毎のディスカッションを軸に,活発な議論が展開されており,有意義なものであったと思います.

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災害時に活動する医療チーム“DMAT”が少しずつ知名度を上げているように思います.しかしDMATだけでは災害急性期の医療は完成しません.
現場で活動する消防や警察,自衛隊といった組織が,DMATを橋渡しにして,現地医療圏の病院群と連携し,果ては医療圏外の医療施設とも協力し,一人でも多くの被災者を救えるように.
災害急性期の医療についての整備が進むいま,このコースはますます普及していくことになるのでは,と思います.

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災害なんて起こらない方がいいんだよ,といって目を背けていてはなにも始まりません.
つい先日もサンフランシスコでの航空機事故や,スペインでの列車事故が起こりました.
これらも局所「災害」です.そして,これらの事故を対岸の火事としてはならないのだと思います.
少しずつでも準備をしていけたら,と思いました.

文字だらけの記事ですみませんでした.可能なら写真は後日追加致します.
最後までお付き合いいただきありがとうございました.

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