「関東呼吸ECMOネットシンポジウム 2019・夏」に参加しました。

集中治療科・救急科の丸山です。

令和元年69日に開催されました「関東呼吸ECMOネットシンポジウム2019・夏」にさんかしました。
本シンポジウムは「関東」の名を関しておりますが京都や岡山の施設の先生方も交え全国から有志が集まり開催され、50人に満たない程度の比較的小規模な研究会ではありますが、逆に少数精鋭で顔の見える関係の中、学会では語り合えないディープでより実臨床的な議論がなされ大変興味深い会となりました。

また、ゲティンゲグループ・ジャパン株式会社が主催され、同会社のエクスペリエンスセンターが会場であり、会の最後は最新のECMO機器のシミュレーションも行われ、学術的な点でも実臨床の点でも今後につながる会でした。


本会の第1部は「ICUにおける呼吸ECMO管理」がテーマで、私自身も一般演題枠で「ECMO管理中のピットフォールとなりうる薬剤性好酸球増多症候群/DRESSについて」1例報告を口演発表させていただきました。
この部では他院でのECMO管理や珍しい症例報告を聞くことができ当院との違いを感じさせられました。それ以上に勉強になったことは、質疑応答で「自施設ならこうやる」や「こんな検討はされたのか」など大きな学会ではなかなかできないようなエビデンスとエクスペリエンスを交えた議論で、会場も大変盛り上がりました。
 
2部は「ECMO transport」、特に「primary transport」つまり「呼吸不全患者がいる紹介元の病院へECMO specialistが赴き、その場でECMOを導入してECMO施行下で自施設に搬送し集中治療管理を行う」ことが主なテーマとなりました。
当院にはECMO Carが導入されており、今後この「primary transport」を積極的に行うべくECMOプロジェクトメンバーで話し合いを行っている最中であるため、大変参考になりました。
ECMO transportの難しさは「搬送」という過程における医学的な問題に留まらず、他院との共同作業となるため保険を含めた経済的・社会的な解決すべき問題も多く存在することを知りました。また、演題の一つに「群馬県内で発症した呼吸不全に対し、ドクターヘリ搬送も考慮し当院と情報共有しながら最終的に埼玉県内の病院にECMO transportで対応していただいた症例」がありました。この演題はまさにこの「関東呼吸ECMOネット」の存在意義であり、「県を超えてECMO specialist達が協力し合い、患者にとって最善の呼吸管理を目指す」上で必要なことは何か議論しあう叩き台となり、大いに盛り上がりました。
 
3部のテーマは「Euro ELSO 2019 ハイライト」で海外学会に参加された各施設の先生方から世界最新のECMO事情についてご報告いただきました。
日本では(もしくは世界でも)常識とされていた管理方法から逸脱した新しい管理法の提案を聞いて驚かされた一方、ECPRというECMOを用いた心肺蘇生はまだ世界的にはマイナーであり、日本から発信していけることがたくさんありそうだということも分かり学術面でもモチベーションを高めることができる内容でした。
 
4部はゲティング ジャパンの紹介する最新デバイスを含めたシミュレーションでこちらは掲載させていただいた写真の通り、人気のブースには人だかりができ、最後まで充実したシンポジウムとなりました。
 
 
今回初めて本シンポジウムに参加させていただきましたが大変実りの多い会だったため、今後も本シンポジウムに参加させていただき、自分自身も発信しつつ、たくさんの新しい情報を受信し当院の臨床に還元していきたいと思います。

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