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最前線で命を守る救急救命士のさらなる活躍のために!~「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」への講師参加報告~

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町田です。 ひな祭りですね。街中や自宅でひな人形や桃の飾りを見ると、バタバタした日々の中ですがちょっとだけ季節を感じることができます、季節のイベントをゆっくり笑顔で過ごせる日常に早く戻ってほしいですね。 昨日のドクターヘリに続いてドクターカーの活動実績の報告と行きたいところでしたが、実績をまとめる都合により(完全に僕の都合ですが・・・)、今回はもう数日お待ちください。 世の中には「気管挿管認定救急救命士」というものが存在しています。これは心停止患者に対して、決められた研修を受け知識と技術を有し、そしてMedical control(医師の指示)のもとで気管挿管を行える救急救命士のことです。 群馬県ではさらに追加講習として消防学校で行われる「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」を受講し合格すると、“ビデオ硬性挿管用喉頭鏡”を用いた気管挿管が行えるようになり、一般の喉頭鏡では技術的に困難である一部の症例について気管挿管が可能となります。 今年度も群馬県消防学校で行われた本講習会に、当院より中村センター長、小橋先生とともに講師として参加させていただきました。この講習が群馬県でも行われるようになって、第1回からなんと7年連続の皆勤賞です! 個人的には、気管挿管するときほとんど“ビデオ硬性挿管用喉頭鏡”を使用することはなく、ほぼ全例で昔ながらの直視型喉頭鏡で挿管を行っていますが、いざというときにこの喉頭鏡を使用することで緊急事態を回避できることがあり、毎年講習の講師をしながら自分でもその特徴(良いところも悪いところも)をあらためて確認させていただいています。 この講習会では受講者も講師もともに学ぼうという積極的で前向きな雰囲気が広がっており、講習会終了後の疲労感もなんだか心地よいものです。そしてこれでまた命を救うチャンスが増えました! ちなみに毎回消防学校に心使いをいただき、この講習会の昼ご飯は大好きなカレーライスです! 今回は写真を撮り損ねましたが、カレーの中の肉の種類以外は昨年と全く同じであったので、写真は昨年のものでお許しください(笑) https://drheli-gunma.blogspot.com/2019/02/blog-post_15.html

ショックと低血糖から脳を守る!~「救急救命士処置範囲拡大追加講習」~

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町田です。 3年連続で群馬県消防学校で開催されている消防職員特別教育「救急救命士処置範囲拡大追加講習」のお手伝いをさせていただきました。。 講師は指導救命士を中心に行われますが、群馬県内各病院のMedical control検証医も医師講師として参加しており、当院からは中村センター長、鈴木副部長、雨宮副部長も参加しています。 受講者はすでに「薬剤投与認定(心停止患者へのアドレナリン投与)」を受けている救急救命士で、この講習のために消防学校に入寮し4日間にわたる講義、実習、試験の缶詰生活だそうです。 この講習を受講することで認定される処置範囲拡大は、 ・(ショック患者への)心肺機能停止前の静脈路確保 ・(低血糖疑い患者への)血糖測定、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液投与 の2点です。 群馬県でもこの資格を持っている救急救命士が増えてきており、実際にショックに対する救急隊による輸液投与で病院到着前にバイタルサインが改善したり、低血糖に対するブドウ糖投与で意識が改善していることが珍しいことではなくなってきました。 ドクターヘリ・カーで出動した際も、救急隊よりヘリドクターに対して上記処置の指示要請が来ることも増えてきています。 ショックや低血糖への医療介入が遅れると、頭への血流やエネルギー供給が不十分になり、ひどいときは後遺症が残るような脳障害を起こしてしまいます。だからこそショックや低血糖に対して 早く治療介入することで、脳障害などの合併症の発生率を下げることが期待されており、この勢いで群馬県のすべての救急救命士が積極的に医療介入ができる地域にしていきたいと個人的には高い理想を掲げています。 昨年も同じことを書きましたが、目の前で患者さんが倒れた時に一般市民へのBLSの普及(バイスタンダーの教育)と最も早く患者に接触する医療関係者である救急救命士への教育(薬剤投与、処置範囲拡大認定など)こそ、患者の救命・社会復帰に向けて最も大切なことの1つであり、その教育に救命センタースタッフとして関わってくことはとても大事なことです。

救急救命士ができることを増やしたい!~「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」~

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町田です。 “救急救命士ができることを増やしたい!”というテーマで、前回は「心停止前の末梢静脈路確保」と「血糖測定、低血糖に対するブドウ糖投与」の追加講習について書かせていただきました。 https://drheli-gunma.blogspot.com/2019/01/blog-post_18.html 今回はその第2弾です。 世の中には「気管挿管認定救急救命士」というものが存在しています。 これは心停止患者に対して、決められた研修を受け知識と技術を有し、そしてMedical control(医師の指示)のもとで気管挿管を行える救急救命士のことです。 しかし心停止患者全員に対して行えるわけではなく、患者さんの条件によっては行わないで早期搬送すべきであったり、逆に気管挿管をしたいけど普通の喉頭鏡で行うには技術的に難しい場合などは適応になりません。 群馬県消防学校で開催されている「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」に今年度も講師として参加させていただきました。この講習が群馬県でも行われるようになって6年連続の皆勤賞です! この講習に合格すると「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡」を用いた気管挿管が行えるようになり、一般の喉頭鏡では技術的に困難である一部の症例について気管挿管が可能となります。  http://www.pref.gunma.jp/05/p016_00027.html  救急患者さんでも気道(A:Airway)トラブルは最も緊急度が高く、呼吸(B:Breathing)や循環(C:Circulation)の異常よりも迅速な処置によるトラブル回避が求められます。ちなみに救急医も重症患者であればあるほどA→B→Cの順番で評価と対応を行っていきます。 そのような緊急事態にドクターヘリ・カーが要請されても、ほとんどの場合は救急隊の方が先に現場に到着します。現場で活動する救急救命士が欧米のようにいろいろな手技をできるようになれば、もっともっと多くの命が救われる可能性が高くなりますよね。 その他にも心停止患者に対する静脈路確保、薬剤(Adrenalin)投与を救急隊の連携活動を通して確認する「薬剤投与連携確認」の試験監督などを行いながら、地域の救急救命士と救急医の連携強化にもつながっていくこのような講習会について、これからも当科スタッフは全...

救急救命士ができることを増やしたい!~「救急救命士処置範囲拡大追加講習」~

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町田です。 昨年に続いて今年も群馬県消防学校で開催されている消防職員特別教育「救急救命士処置範囲拡大追加講習」の講師に参加しています。 講師は指導救命士を中心に行われますが、群馬県内各病院のMedical control検証医も医師講師として参加しており、当院からは中村センター長、雨宮副部長、町田が参加しています。 受講者はすでに「薬剤投与認定(心停止患者へのアドレナリン投与)」を受けている救急救命士で、この講習のために消防学校に入寮し4日間にわたって講義、実習、試験の日々となります。 この講習を受講することで認定される処置範囲拡大は、 ・(ショック患者への)心肺機能停止前の静脈路確保 ・(低血糖疑い患者への)血糖測定、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液投与 の2点です。 まだ今月末に次期講習があるため詳細や会場の写真は今回は割愛させていただきますが、この「処置範囲拡大追加講習」は我々救急医にとってもとても大切なことです。 昨年に第1期生の講習を受講した救急救命士により、ドクターヘリ・カーが患者に接触する前に救急救命士の静脈路確保&輸液投与によってショック状態が改善したり、病院到着前に救急救命士よる血糖測定&ブドウ糖投与によって低血糖による意識障害が改善していることをすでに経験しています。 ドクターヘリ・カーがどんなに早く出動しても、救命センターがどんなに早く救急車を受け入れても、ほとんどのケースで救急医より先に救急救命士が患者に接触します。より早く患者に治療開始できることに越したことがありません。 目の前で患者さんが倒れた時に一般市民へのBLSの普及(バイスタンダーの教育)と最も早く患者に接触する医療関係者である救急救命士への教育(薬剤投与、処置範囲拡大認定など)こそ、患者の救命・社会復帰に向けて最も大切なことの1つであり、その教育に救命センタースタッフとしてこれからもしっかり関わっていきたいと思います。

「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」に講師で参加しました。

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町田です。 2 月 7 日に群馬県消防学校で開催された「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」に講師として参加しました。 5 回目を迎えた本講習会に僕は初回から参加しています。今年は昨年に続いて中村センター長、小橋先生、そして僕の 3 人が、群馬大学麻酔科と集中治療部の 3 名の先生とともに参加しました。 僕個人的には昔ながらの喉頭鏡が使い慣れていて、実際にドクターヘリ・カーなどの活動でビデオ喉頭鏡は使用したことがありません。しかし毎年この講習会に参加することで、自分の知識と技術が確認できており、実際に院内で通常の喉頭展開が難しい患者さんにビデオ喉頭鏡を使用して安全に挿管が出来たことがありました。 また資格を持った救急救命士が気管挿管を行うためのプロトコールや、それにビデオ喉頭鏡が加わったときのプロトコールをあらためて確認する良い機会となっています。 講習会は受講対象の救急救命士 ( 消防学校なので“学生” )4 名に対して医師 1~2 名と指導救命士 1 名がついて主に実習がメインで進んでいきます。最後にシナリオベースの実技試験があるのですが、すでに受講している学生は静脈路確保、気管挿管の資格を持っている方々ばかりのため、現場活動のデモンストレーションを見ているような素晴らしい活動を披露していただきました。僕は試験官という立場で無理なくビデオ硬性挿管用喉頭鏡を使用して挿管が必要なシチュエーションを想定しながらシナリオを作成しましたが、実際に体験した大変だった症例をベースに作ったために学生もとても苦労をしながら試験を受けていました。でもこの経験は必ず現場で大きな助けになると信じています。 ちなみに昼食は 1 年前からリクエストしていた「ポークカレー」でした!オムレツまでついていましたよ!! 医療スタッフが病院前にどんどん出ていく時代になりましたが、それでも発症直後から医療を開始できるわけではないため、これからも救急救命士やバイスタンダーへの教育にさらに力を入れていきたいと思います!

『第26回全国救急隊員シンポジウム』に参加しました。

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町田です。 11月21-22日に千葉市の幕張メッセで開催された『第26回全国救急隊員シンポジウム』に、シンポジストとしてお招きいただきました。 せっかくの機会であったため救急隊員の思いや病院前活動をより深く知るために、2日間共に参加させていただく時間を頂き、初日の朝から会場入りしました。 まずびっくりしたのが朝一のセッションからすでに立ち見が出るほどの盛り上がりで(医学会ではありえない・・・)、1日目だけで6000人を超える参加者がいたとのことです。 僕は2日目の朝一のシンポジウム「回転翼航空機の 効果的運用~ドクターヘリ・防災ヘリ等のより一層の活用に向けて~」で、『群馬県では6機関のへりによる病院前活動が可能である』というタイトルで発表をしました。 先日行われた日本航空医療学会ではおもに隣県ヘリとの連携に関して話をしたのですが、今回は防災ヘリとの連携に重きを置かせてもらいました。 群馬県では速やかな防災ヘリの出動、さらにドクターヘリとの強固な連携を強みに、防災ヘリドクターヘリ的運用の活用について少し自信を持っていました。しかしアドバイザーの先生に「群馬県防災ヘリにはなぜ救急救命士が乗っていないのか?救急救命士のっていればもっと防災ヘリだけでもできることがあるのではないか?」というご指摘を頂きました。連携強化の前にまずやることがることを気が付かされました。 今うまくできていることはそのまま生かしていきながら、うまくできていないところ、特に消防管轄、MC、県境などによって制限されることがないようの、行政、消防、そして関係医療機関にもっと働く掛ける必要があることを痛感しました。 ところで群馬県から6名の救急隊員による発表がありましたので、演題名だけですが紹介させていただきます(発表順)。 ・山口さん(館林地区消防組合消防本部) 「走行中の救急車ににおける胸骨圧迫の現状」 ・池田さん(多野藤岡広域消防本部) 「機械的CPR装置(ルーカス2)を使用した、群馬県防災航空隊との連携活動について」 ・伊藤さん(高崎市等広域消防局) 「女性救急隊員のあり方を考える」 ・増田さん(館林地区消防組合消防本部) 「群馬県における局地災害に対する試み」 ・岸さん(渋川広域消防本部) 「組織の枠を超えた救急隊員教育の取り組みについて~群...

救急救命士のスキルアップ!~「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」への講師参加~

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町田です。 救急救命士の処置拡大が進んでいます。これは本当に素晴らしいことだと思います。 いまはドクターヘリ・カーが世間でどんどん広がっていますが、それでもほとんどの場合は救急隊が先着します。そこで救急救命士ができることがどんどん増えれば、それだけ患者にとって良いことになるのは当然です。 群馬県でも3年前から気管挿管認定救命士を対象に「ビデオ挿管用喉頭鏡講習」をおこなっていますが、今年も例年通り通算4回目の講習が行われました。 今回は初回から全出席の群馬大学門井教授と僕とともに、昨年から中野院長のあとを引き継いだ中村センター長、さらに2回目から参加している群馬大学神山先生(兄は僕の大学の同期!)、そして小橋先生が初参戦しました! 普段病院前やERで顔の良く知れた救急救命士の方々ですが、さすがに受講生ともあって緊張の面持ちでした。会場が消防学校というのも影響したのでしょうか・・・(笑) しかし講習が進むにつれて技術の練習とともにいろいろなディスカッションができて、教えている立場の僕自身も毎年勉強になっています。 今回の講習により得た資格を現場で存分に発揮して、患者の救命・社会復帰の一助になることを心より願います。そのためには技術をさらに磨いてくださいね! ちなみに毎年この講習の楽しみは昼のカレー。 今回は全出席の特権で「薄切りポーク」のリクエストをかなえていただきました!

救急救命士教育に積極的にかかわっています!

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前橋赤十字病院 集中治療科・救急科 原澤です。 1 月 2 月と、救急救命士教育に関わるイベントに参加してきたので、その報告をさせていただきます。 (写真はイメージです) 当院では救急救命士の院内研修を積極的に行っています。 1 月 29 日、雪の降る中、渋川市で行われた「症例検討会」に参加してきました。 もともとは昨年の 9 月に行われる予定だったのですが、ちょうどその時期に栃木県での豪雨・河川氾濫への対応が重なってしまい、順延となりましたが、この度無事に開催されました。 実際にどのようなものだったかというと、救急隊の方に、実際に対応した症例についての発表をしてもらい、それについての意見を交換する、というものでした。こういったところで検討する症例は、ほとんどが心肺停止かそれに近いような重症の患者さんのことになるのが通例で、今回も3症例中2症例が心肺停止の患者さんについてのものでした。内容は非常に難しいものでしたが、こういった議論の積み重ねや、消防・救急・医療の連携が取れる関係づくりは、地域の医療をより良くしていくために大切なのだと感じました。 続いて 2 月 3 日、同じく渋川市の消防学校で行われた「第3回ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」に参加しました。群馬大学より門井教授(麻酔科)、神山先生(麻酔科)、大嶋教授(救急科)、当院より中村センター長、町田副部長が講師として参加されていました。 救急救命士は、様々な処置を患者さんに対して行えるよう訓練をしていますが、その中でも実地訓練を病院などで行い、認定を得なければならない処置が幾つかあります。その一つが、気管挿管という処置です。文字通りなのですが、気管(空気の通り道)に管を挿し入れ、気道を確保し、確実な人工呼吸ができる状態を作る、という処置で、一般的には全身麻酔の時や、呼吸状態が悪く人工呼吸器を用いた治療が必要な状態になった患者さんに対して、医師が行うものです。見よう見まねでいきなりできる処置とは言い難く、現場において一人で実施できるようになるには十分な訓練が必要です。その認定を受けた救急救命士が受ける、「ビデオ硬性喉頭鏡」というものを取り扱えるようになるための講習でした。 通常は肉眼で(直視下で)気管への入り口(声門)を確認しながら管を入れるのですが、その操作に際しては首を大...

3年連続で『ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習』に講師で参加しました。

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町田です。 今日は群馬県消防学校で行われた『消防職員特別教育 第3期ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習』に3年連続で講師として参加しました。 平成23年3月から厚生労働省医政局長名で救急救命士がビデオ硬性挿管用喉頭鏡を用いた気管挿管を行うことができる事になっています。 その資格については、『気管内チューブによる気道確保の実施のための講習及び実習を修了している救急救命士で、気管内チューブによる気道確保の実施のための実習を修了しているものについては、追加の講習および実習を受けてビデオ硬性挿管用喉頭鏡を用いた 気管挿管を行うことができるものとする』というものです。 今回は講師として群馬大学から門井教授、大嶋教授、神山先生、当院から中村センター長、原澤先生、そして町田が参加し、21名の救急救命士が受講生として参加しました。また今回から初めて4名の救急救命士が指導側に入って指導のサポートに入っていただきました。 講義はできるだけ短時間で行い、技術の取得とプロトコールの理解に多くの時間をかけました。最後には『ビデオ喉頭鏡による気管挿管プロトコール』を確認しながらOSCEも行い技術と知識の習得を確認しました。 講習の詳細に関しては昨年の講習のことを原澤先生が報告していますのでそちらをご参照ください。⇒ http://drheli-gunma.blogspot.jp/2015/04/blog-post_19.html ところでこの講習での楽しみが一つあります。それは昼食の時間です。 3年連続で大好きな「カレーライス」です!今年も普通盛りでも十分すぎるボリューム!! ちなみに医師と消防職員が集まっているので、あっという間に食べ終わていました。医療関係者は早食いでよく注意されますが、消防職員の方々の速さにはかないませんでした。 朝から夕方まで丸々1日かけての講習でしたが、こちらとしても改めて救急活動プロトコールの再確認をできたとともに、プロトコールの課題についても講師間でディスカッションすることができました。

『ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習』参加報告。~救急救命士の処置拡大に関して~

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皆様,いかがお過ごしでしょうか.前橋赤十字病院 集中治療科・救急科 原澤です. 今回は,本年 2 月に開催された『ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習』に参加して参りました.だいぶ前の出来事となってしまい恐縮ですが,救急救命士の皆さんの活動への理解を深めていただくという意味もあり,記事を書かせていただきました.     … 救急救命士は,患者さんに対する様々な処置を行いながら,医療機関まで患者さんを搬送してきてくれます.その処置の中に,「気管挿管」というものがあります.高度な医療処置で,口の中を直接覗き込みながら,気管の中に専用の管を入れ,肺に直接空気を送り込むことができるようにする,というものです.我々医師はこの処置を様々な場面で行います.全身麻酔をかけておこなう手術のとき,呼吸状態が悪いとき,意識状態が悪いとき,などなど … ですが,ある程度の技術が必要な処置ですので,当然トレーニングが必要です. 救急救命士は,この処置を「心肺停止状態」にある患者さんにのみ施行して良いこととなっていますが,施行できるようになるには「認定」をもらうことが必要です.各地域で救急救命士の処置の質を保障するために,基幹病院での「気管挿管実習」などをおこなっています.皆さんのご理解とご協力をいただきながら,いざという時の備えをしているわけですね. この「気管挿管」という処置に関係してくるのが,タイトルの中にある「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡」というものです.   一般的な気管挿管に使用する「喉頭鏡」という器具があります.これは,舌と下顎を動かして(持ち上げて)気管の入口が見えるようにする,というものですが,この処置に際してはどうしても首を大きく動かす必要があるため,頸部が動かせない理由がある患者さんにはおこないづらいことがあります.それ以外にも,喉頭鏡での操作では気管の入口が確認できない患者さんがいます.こういった患者さんにも処置をする必要がある時に,その補助として「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡」が有効な場合があります.これはビデオカメラが先端についた喉頭鏡で,喉の奥の正しい位置に喉頭鏡を入れれば,カメラの先端が気管の入口を映し出してくれ,そこをめがけて管を入れる,という処置が可能となるものです.比較的新...

教える側でも学ぶことが多かった1日!~ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習に参加して~

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町田です。 今日は朝から群馬県消防学校で行われた『ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習』が開催されました。群馬大学の門井教授、神山先生、当院中野救命センター長、中村先生とともに講師として参加しました。 群馬県では今回が初開催となります。 平成23年3月から厚生労働省医政局長名で救急救命士がビデオ硬性挿管用喉頭鏡を用いた 気管挿管を行うことができる事になっています。 その資格については、『気管内チューブによる気道確保の実施のための講習及び実習を修了している救急救命士で、①現行の採点基準での新国家試験合格者であること、②気管内チューブによる気道確保の実施のための実習を修了しているものについては、追加の講習および実習を受けてビデオ硬性挿管用喉頭鏡を用いた 気管挿管を行うことができるものとする』というものです。 今回の受講生は②にあたる救急救命士19名が対象でしたが、県内ですでに指導的な立場にある方ばかりで群馬県の救急医療に関わる大先輩の方々に囲まれて僕のほうが緊張気味の1日でした。 講義は短時間で実習に多くの時間をとり、最後には『ビデオ喉頭鏡による気管挿管プロトコール』を確認しながらOSCEも行い技術と知識を確認しました。  それにしても様々なデバイスがあります。 それぞれに利点・欠点があり、使い比べる機会もあり僕自身もいろいろ勉強になりました。 今回は講師としての参加でしたが、経験豊富な救急救命士の皆さんに教えるだけではなく、様々な場面を想定しながら疑問点や問題点を丸1日ディスカッションできたことはとても自分にとって貴重な経験となりました。 救急医療において良好な結果を残すためには、病院だけではなく病院前の救急救命士の活動から継続した診療で考えなくてはいけません。今回の講習会のみならず様々な機会で経験豊富な救急救命士の先輩方と救急医療のさらなる発展のために顔を合わせる機会は大切です。病院にいるだけではわからない現場の状況、救急隊の実際の活動などとても勉強になることばかりでした。 ちなみにお昼ごはんは消防学校の食堂でいただきました。牛スジカレーがとても美味しかったのですが、それよりもみなさんの食べるスピードの早さにびっくりです。救急科医師も「食べられる時に食べ、眠れるときに眠る」という格言があったくらいの生活を送っている人も多いで...