投稿

10月, 2019の投稿を表示しています

‟僕が救急医になった理由”~みどり市立笠懸小学校「キャリア講演会」~

イメージ
町田です。 ようやく秋らしい青空が広がるようになりましたが、朝晩の冷え込みから紅葉が鮮やかになる前に少しずつですが冬の足音も近づいてきているようです。 みどり市の小学校の先生との出会いをきっかけに、その先生からのご依頼でみどり市の小学校で特別授業を10年間行ってきました。 笠懸東小学校に始まり東小学校、そしてここ何年間は笠懸小学校で、「命」「ドクターヘリ」「災害」{体の仕組み」「差別と偏見」など様々なテーマで講演、時には理科や道徳の特別教師として授業も行いました。 そして10年目の今年は“キャリア講演会”とのことで、「その命、絶対に助けるんだ~僕が救急医になった理由~」というタイトルで小学校5,6年生にお話させていただきました。 僕が救急医になった理由はここでは書きません。あえて一つ書けばアメリカのドラマ「ER」の影響はめちゃくちゃ受けました。 子供たちに伝えたかったことは、あわてて‟職業”を決めるのではなく、「このようなことをしたい」「こういう夢がある」という強い思いを持ち続けることで、そのひとに最適な職業が見つかることがあるということです。 僕自身は「人とのかかわりを持ちたい」「チームワークで難敵に立ち向かいたい」という思いを持っていたので、小さいときに見たドラマ「ER」の印象がずっと残っていたのだと思っています。 そして講演の最後に、「仕事でも生きていく中でもうまくいかないことがあったとき、‟できななかった言い訳を考える前に次はどうしたらできるか考えよう”。」とメッセージを送って10年間の集大成とさせていただきました。 僕は救急医として働いています。それを支えている基本的な考えは「攻めの医療で命を守る」ことです。いまは救急外来やドクターヘリ・カーで戦っていますが、自分の立場、年齢に応じてきっと「攻めの医療」の形は変化するかもしれません。 自分自身も数年後はどこで何をしているかわかりませんが、どんな形であれ「攻めの医療で命を守る」という思いは変わらずに医師人生を進んでいこうと思います。

季節の移り変わりと景色の一変!

イメージ
町田です。 先週末の大雨で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りします。復興に向けて活動されている皆様がけがや病気なく日々お過ごしできることを願っています。 烏川の増水により一時的に水没した河川敷の高崎へリポート。 使用再開となりましたが、一部でまだ水が残っています。 すでに10月末です。 異常気象の影響で、ここ数年は紅葉の色の付き方があまり美しくないといわれています。群馬でも山の方は紅葉が始まっていきましたが、今年は鮮やかな彩を見せてくれるでしょうか? 患者さんが同乗していない時は、他の航空機など医療スタッフも監視しながら、同時に季節に合わせた景色の移り変わりを体感しています。 比較的標高の高い山々の頂から少しずつ色づき始めました。 しかし今回ばかりは「移り変わり」ではなく、『急変』という言葉が当てはまる光景に驚かされました。報道でもいろいろな形で取り上げられていますが、「八ッ場ダム」の周囲の景色が台風19号の通過前後で本当に一変しました! ダムの効果の有無については検証されていないのでここでは何も書きませんが、過去には一気に水が貯まることで大きな災害が導かれたことがあり、今回は今のところ大きなトラブルが発生していないことに、あらためてこの景色の変化を見て逆にぞっとしました。  台風19号通過前の八ッ場ダム 台風19号通過後の八ッ場ダム 景色の一変にもびっくりしつつも、景色は秋から冬に向けて確実に進んでおり、すっかり朝晩も冷え込み通勤でジャンバーや薄手のコートなどを着ている人が増えましたね。 朝晩の冷え込みに伴い急病の患者さんも増えてきています。災害が続き心身ともに疲れているときほど、知り合いやご近所同士で声を掛け合ってお互いの健康を気にしてあげてくださいね。

『第21回日本救急看護学会学術集会』に参加しました。

イメージ
お久しぶりです、小橋です。 『第 21 回日本救急看護学会学術集会』に参加してきました。 日本救急看護学会は救急領域に関わる看護師の多くが所属する学会です。 本学術集会は看護師対象なのですが、今回は病院前医療関連のシンポジウムへの依頼をいただき、発表を行ってきました。 今回、私が発表させてもらったのは、パネルディスカッション「高齢社会に向けた病院前救急診療活動の現状と展望」というテーマで、「病院前救急診療の目的を改めて考える 〜プレホスピタルケアの向かう先はどこか〜」について話をさせてもらいました。 群馬県の病院前救急診療体制について、また、いかにして早期医療介入・医療搬送を行うかについて考察し、現在の高齢社会で病院前医療はどのようにあるべきか、また、病院前医療に関わる看護師として求められることは何か、について他の発表者の方々とディスカッションをさせていただきました。 今回、発表をさせていただいて、やはり医師の目線と看護師の目線は違う、ことを実感しました。 医師は「医学的適応」を基に活動することがほとんどですが、看護師はどちらかというと「患者背景」などを重視しながら活動することがすることが多いように感じます。病院前医療に携わる人間として、看護師の目線も大事にしないといかんな、と思いました。 日本救急医学会学術集会の翌日で体力的につらかったですが、勉強になりました。

台風19号被害への当院の対応。vol.2

イメージ
ここ最近の目まぐるしい空模様の変化に秋を感じます。雨の日は肌寒さも感じることがあり、今年も秋は短くあっという間に冬の気配が近づいてくるのでしょうか・・・ 被災地の復興のためにはしばらく晴天が続いてほしいと思ってしまいます。 台風19号ではたくさんの地域で大きな被害が出ましたが、そのうちの福島県いわき市に本日当院から「日本赤十字社群馬県支部第3救護班」を派遣しました。 今朝早くにいわき市に向けて出発しさっそく現地で活動を開始しています。 当科からは雨宮医師(班長)、髙橋医師がメンバーとして出動し、現地の医療の復興状況に合わせて関係者と打ち合わせをしながら救護所運営を4日間行う予定となっております。

『第47回日本救急医学会総会・学術集会』に参加しました。

イメージ
中林です。 先日東京の国際フォーラムで「第 49 回日本救急医学会総会・学術集会」 が開催されました。 当院からはスタッフ8人が計 11 題の報告を行い、 5人 が座長を務めさせていただきました。 内容としては日常臨床で遭遇した珍しい症例の報告をはじめ、より効果的な病院前診療のあり方、熱中症の新しい初期治療、スタッフ自身に生じたメンタルヘルス、救急外来に来た小児患者から社会的な支援を要する患者家族の抽出する方法等、オールラウンドな救急診療を目標に診療を行っている当院の活動をそれぞれのスタッフが報告してきました。 <発表>12演題 ・丹下副院長 ランチョンセミナー:不整脈診断における救急科と循環器内科の連携 「失神(一過性意識消失(T-LOC))に対する正当な評価と対処ー前橋赤十字病院の試みー」 ・中村センター長 ランチョンセミナー:不整脈診断における救急科と循環器内科の連携 「一過性意識消失の鑑別は救急医の腕のみせどころ!」 口演:地域医療連携 「「地域で診る」を目指して」 ・町田医師 口演:その他 「「友人に黒タグをつける」~メンタルヘルスに関する災害対応前のリスク評価と直後からの専門医による介入の重要性~」 ・中林医師 ポスター:ER診療 「当院救急外来でチェックリストを用いて社会的リスクを有すると評価された患者のまとめ」 ・藤塚医師 パネルディスカッション:VV-ECMOを駆使して 「前橋赤十字病院ECMOセンターの現状」 ポスター:高齢者の救急 「地域で取り組む,救急医療と在宅医療連携」 ・小橋医師 口演:病院前医療 「ドクターカーとの連携における,ドクターヘリの効率的な運用を考える」 口演(シンポジウム関連セッション):不断前進,病院前診療 「病院前救急診療の目的を改めて考える~予後改善のためにできることは何か~」 ・丸山先生 ポスター 「外傷性腹部大動脈解離を来したシートベルト症候群の一例」 ・土手医師 ポスター:感染症・敗血症 「原発性水痘肺炎をきたした播種性水痘の1例」 ・山田医師 口演:環境異常 「重症熱中症に対するcold water immersionによる冷却法の検討」 <座長>6セッション ・中野院長 パネルディスカッション:救急科専門医試験

夏の思い出…~『集中治療』と『呼吸療法』の学会参加報告~

イメージ
鈴木です。  秋らしくなってきた今日この頃ですが、この夏、‟集中治療”と‟呼吸療法”の2つの学会に参加してきました。その思い出を・・・ ①「日本集中治療医学会第 3 回関東甲信越支部学術集会(@甲府)」 Pros. vs. Cons. セッション で、「いつ ECMO を開始するか?今でしょ?!」というタイトルで発表しました。 今回は 2 ラウンド制という珍しい形式で、第1ラウンドで Pros と Cons の立場からそれぞれの主張をした後、第2ラウンドではお互いに Pros と Cons の立場を交代して再び主張をぶつけ合うというものでした。‟自分は今、どの立場?!”と少々混乱しますが、面白い経験でした。 ちなみに、学会当日は夜明けとともに車で前橋を出発し、甲府へ向かいましたが、途中、相模原付近で事故渋滞につかまり、まさかの遅刻?!という状況に追い込まれました。急遽、八王子から電車移動に切り替えギリギリ間に合いました。 みなさん、学会へは余裕をもって出かけましょう。 ②「第 41 回日本呼吸療法医学会学術集会(@大阪)」 教育講演「分かりやすく説明!肺保護換気戦略」の座長を担当しました。学会前日から余裕をもって大阪入りしました。 今回は、特に自発呼吸、 PEEP 、 ARDS など僕の知的好奇心を刺激する講演が盛りだくさんでした。聞きたい講演の時間が被って聞けなかったものもあったので、学会員限定で視聴可能なオンデマンド配信が待ち遠しいです。興味のある方は、ぜひ呼吸療法医学会へ入会しましょう。勉強になること間違いなし! はるばる大阪まで行きましたが、学会内容の充実に加えて、あまりにも暑すぎたため、学会会場とホテル以外に出歩くことはありませんでした。大阪らしさといえば学会会場で振舞われた「たこ焼き」を食べたことぐらいでした。 今年の夏も充実していましたが、 2020 年も学会に、オリンピックにと充実した夏にしたいですねぇ。

北の大地で病院前外傷診療を学ぶ!~「ITLS Advanced Course」受講報告~

イメージ
後期研修医の土手です。 2019/9/15-16 に北海道は釧路で開催された「 ITLS Advanced Course」 を受講して参りましたのでご報告致します。 当院、町田先生もインストラクターとして参加されていました。   ITLS(International Trauma Life Support) は世界発の病院搬入前の外傷処置教育訓練コースであり、パラメディック ( 救急救命士 ) や救急医療関係者向けに 1982 年より開始されたコースです。 今回は Advanced ということで、緊急脱気や骨髄路確保、対面挿管や瓦礫の下での挿管、喉頭蓋触診に基づく盲目的挿管など発展的な内容も含んでいました。対面挿管や瓦礫の下で挿管はめったにないことだと思いますが、今回の研修でイメージがつき、有意義でした。 2 日目は熱傷、高齢者、妊婦外傷と、身構えてしまうような、シミュレーションもあり、勉強になりました。   JPTECではどちらかというと 「お作法」を学ぶような印象をうけたコースでしたが、こちらはより実践的な内容で、ある程度の基礎知識があることを前提に、チームとして無駄を省いて診療していくことを強調しているように感じました。 具体的な内容は書ききれませんが、基礎知識をある程度身に着けた段階で、ぜひ受講しておきたい教育コースだと思います。 ER もそうですが、より時間の限られた病院前でも、過不足なく活動することが大事だと感じます。自分の日々の診療に無駄がないか、何を優先すべきだったか、今後も振り返って行くつもりです。   町田先生も「循環」の講義を担当されており、スライドの内容のみならず、「輸液・輸血だけ入れて止血をおろそかにするな !! 」と、実践的なレクチャーをされていました。 最終試験には無事合格し、 IP( インストラクターポテンシャル ) も取得し、インストラクターコースに進む資格も得ることができました。インストラクターもとろうと思います。       <余談> これは申し込んだ当初、想定していなかったことですが、毎年、「釧路大漁どんぱく花火大会」がこの時期に開催されており、懇親会は炉端焼きをしながらの花火鑑賞となり、教育コースではありますが、夏休みのような錯覚を覚えました