2019年5月22日水曜日

うれしい再会!~「いのちを守る」震災語り部のご来院~

町田です。
昨日開催された群馬県赤十字有功会定期総会の中で佐藤誠悦様による特別講演が行われました。その講演タイトルは“東日本大震災活動記録「いのちを守る」”です。


佐藤さんは、震災当時あの大きな被害があった南三陸消防署の副署長をされていて、過酷な環境の中で多くの住民の命を守る活動を行い、そして気仙沼を襲った大火を最前線で食い止めた指揮隊長も務められました。
しかしその活動中に最愛なるご家族を失い、これらの経験から「いのちを守る」大切さを伝えるために、震災語り部として今まで約300回にわたる講演活動を続けています。

僕は昨年春に三陸を旅した時に友人の紹介でお会いする機会をいただきました。
この時は南三陸から気仙沼、陸前高田などを震災時からいままでの経過を詳しい説明とともに案内していただき、そして佐藤さんのご自宅で大切なご家族の写真の前で直接講演を拝聴しました。
救護活動における各機関の連携の大切さ、仲間との信頼関係、そしていのちを守るために防災力を高める必要があることなど、佐藤さんの発する言葉の一言一言が心の奥底まで突きささる感じがしました。そしてその時に教えていただいたことが、その後の様々な災害救護活動時の支えとなっています。


その佐藤さんが昨日の講演後に当院まで会いに来てくれました!

震災語り部 佐藤 誠悦 様(元南三陸消防署副署長)

ドクターヘリを前に「東日本大震災の時にやはりヘリコプターが力を発揮した!」と、震災当時の防災ヘリや自衛隊ヘリとの連携活動についてお話ししてくださいました。
また決断力、指揮官としての決断力、責任感、そして情報発信力の大切さを熱く語ってくださいました。今月の様々な多数傷病者対応を振り返りながら、まさに佐藤さんがおっしゃる通りだと改めて感じました。

またお待ちしています!

久しぶりの再会が終わった後にドクターヘリ要請があり、それぞれ上空と地上からまたお会いすることを心に思いながらお別れしました。

先日のDMORT養成研修、そして佐藤さんとの再会など、「いのち」について改めて考える良い機会をいただいています。
そして佐藤さんにはいつか当院でもご講演をしていただきたいと考えていますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

2019年5月20日月曜日

「DMORT養成研修会」に参加しました。


町田です。
 
皆さんは“DMORT”という言葉を知っているでしょうか?
DMORT(ディモート)とはDisaster Mortuary Operational Response Teamの略で、日本では“災害死亡者家族支援チーム”と呼ばれます。
 
JR福知山線事故災害での対応で、現場でトリアージ区分「黒(死亡または救命困難)」のという黒タグの系統的使用が行われることで、効率的な救急搬送や医療機関の混乱回避につながったといわれています。しかしその一方で「黒タッグの患者の遺族は納得しているわけではない」という報告があり、災害現場での家族(遺族)対応では「日常の救急医療とは異なった災害医療の特殊性を考慮したグリーフケアが必要である」という考えから日本DMORTの様々な活動が始まったそうです。
 
 
今回は主催:一般社団法人日本DMORT、共催:新潟大学医学部災害医療教育センターで519日に新潟医療人育成センター(新潟大学旭町キャンパス)で行われた「DMORT養成研修会」、群馬県からは前橋赤十字病院と原町赤十字病院から1人ずつ受講する機会をいただきました。
 
 
研修会の内容は、午前中はDMORT、警察の業務、精神的なケアに関わる救護班の概要の講義に始まり、災害急性期の心理反応と遺族心理の実際、救援者のメンタルヘルに関わるとても重要な講義が続きました。
 
午後は実際に災害で亡くなった方のご家族に対応について、参加者が5チームに分かれて5つのシナリオを用いてロールプレーが行われました。各シナリオで本当にいろいろ考えさせられることがあり、とても深い学びを得ることができました。
 
 
災害医療のみならず平時の救急医療でも、あらためて生と死は表裏一体であり、死と直面した際にそのご家族に対してどのように向き合うかスタッフ全員がもっともっと考えていかないと感じました。
 
個人的にも昨年に黒タッグを付けなければいけない経験があり、その時の自分自身の行動やご家族への向き合い方について今でもずっと悩んでいます。今回の受講ですべて悩みが解決したわけではありませんが、このようなことにさらに向き合っていくことの大切さをしっかりと自覚できた気がします。

2019年5月18日土曜日

ようこそ、新病院へリポートへ!

新病院に移転してからあと2週間ほどで1周年を迎えます。そろそろ“新”という接頭語は卒業ですね。強風と給油問題に悩まされていた旧病院時代が懐かしく思います。(新病院の地上へリポートでも風に悩ませることはありますが・・・)

皆さんもすでにご承知の通り、群馬県と近隣県ではドクターヘリの連携や応援出動が積極的に行われています。現場に協力することはもちろんですが、応援に来ていただいたヘリの受け入れを積極的に行うことも大切な連携の一つです。
群馬県ドクターヘリが隣県に応援出動した時はもちろんですが、県内の出動でも医療圏が県を超えるときがあり、その時に隣県基地病院をはじめ多くの病院にお世話になっています。

圧倒的に当県ドクターヘリが隣県の基地病院にお世話になることが多いのですが、今回は当院地上ヘリポートに飛来した隣県ドクターヘリの写真を集めてみました。
佐久ドクターヘリ(EC135 中日本航空)
栃木県ドクターヘリ(EC135 本田航空 )
埼玉県ドクターヘリ(MD902 朝日航洋)

群馬県ドクターヘリの基地病院として積極的に受け入れの協力をさせていただきますので、これからも連携活動、応援出動のご協力のほどよろしくお願いします!


ちなみに当県ドクターヘリが隣県基地病院にお世話になった時の写真です。
@佐久総合病院佐久医療センター
@獨協医科大学病院
@埼玉医科大学総合医療センター




2019年5月17日金曜日

他から多くのこと学ぶ!~「高崎ドクターカー症例検討会」~

町田です。
5月14日の前橋ドクターカー事後検証会議(症例検討会)の開催に続いて、16日は高崎総合医療センターで開催された「高崎ドクターカー症例検討会」に参加しました。
本症例検討会では2例の事案について現場で活動した救急隊よりプレゼンテーションがあり、それに対しての質疑応答があり、最後に基地病院からコメントをおこなうスタイルで行われていました。


昨年度までは当科スタッフも高崎ドクターカーに時々搭乗させていただき、群馬県の病院前診療ができるだけ同じ共通認識で行えるように調整したり、また高崎総合医療センターのスタッフと一緒に活動することで当院にはないより良い方法やアイデアを教えていただくこともありました。

患者さんにとって大切なことは、その時最も早く医療介入ができるドクターヘリまたはドクターカーが要請され、どの医療チームが来ても共通の概念のもとでの質の高い医療を提供することです。
残念ながら今年度から当院の都合により高崎ドクターカーに搭乗する機会はなくなりましたが、症例検討会に参加させていただき意見交換することで群馬県の病院前診療がより高いレベルに向かっていくと考えています。


症例検討会の後は、高崎総合医療センター救急科の小池先生、新里先生と一緒においしいお酒と肴をつまみながら、患者さんの救急外来の滞在時間を短縮する方法(他科との連携、入院病棟との連携など)や地域連携のあり方など、とても有意義となるアドバイスをたくさんいただきました。
前橋ドクターカー、前橋赤十字病院のやり方に固執することなく、他から多くのことを学びそれを活かしていくことがとても重要だと再認識した良い夜となりました。

2019年5月14日火曜日

確実にレベルアップしています!~月2回の「前橋ドクターカー事後検証会議」~

町田です。
院内では“働き方改革プロジェクト”を立ち上げる動きがあるようですが、今日は18時半から21時15分までという長丁場の症例検討会を行ってしまいました。
明るいうちになかなか帰れない日々です・・・

毎月2回、前橋市消防局、群馬大学医学部附属病院、前橋赤十字病院のドクターカーに関わるスタッフが集まって「前橋ドクターカー事後検証会議(症例検討会)」を開催しています。
群馬大学も基地病院となって1年が過ぎてから、毎月開催のうち3か月ごとに群馬大学でも行うようになっています。

毎月2回行っている理由は、消防職員の勤務がほぼ1日おきであるため、2日間行うことであらゆる職員が参加できるようにするためです。そして要請をいただいた全症例を取り上げて、ドクターカーの要請や活動に関わる内容に加えて、その患者さんの経過をフィードバックする大切な機会になっています。

全例検討を始めてから3年目に突入しましたが、確実にドクターカーの活動の質が向上するとともに、より適切な処置、適切な搬送先選定が行われ、また確実に成績の向上も認められるようになっています。

一般市民の声から要請を判断する通信指令課の思い、現場救急隊の活動状況、ドクターカーが提供できる医療について、消防、医療がそれぞれ共有することで、よりシームレスな活動をおこなうことができます。
また群馬大学と前橋日赤が同じコンセプトで活動することによって、どちらのドクターカー(ドクターヘリも!)が来ても前橋消防は内容を変えることなく同じ活動方針をとることができます。


時間外に長時間にわたる症例検討会を行うことは時代に反しているかもしれませんが、患者の救命・社会復帰のために真剣にディスカッションするこの時間は、確実に市民のためになっていると確信しています。
ちなみに救急部門の働き方改革を達成するためには、院内全体や地域の医療連携の仕組みからメスを入れないかぎり「命の最前線で戦う面々」の環境はそう簡単に変わらないでしょうね~~

2019年5月11日土曜日

局地災害対応時こそ平時のドクターヘリ連携が生かされます!

町田です。
皆様の報道等でご存知かもしれませんが、昨夕群馬県内でバスの転落による多数傷病者対応がありました。亡くなられた方がいらっしゃらなかったことが何よりでしたが、けがをされた方々の1日も早い回復を心より願っております。


事故の詳細については本ブログでは特に書きませんが、この災害対応においてはかく関係機関の多大なる協力があったことを紹介させていただきます。

群馬県ではもう当たり前となりましたが、消防指令センターから局地災害発生情報が「統合型医療情報システム」に通知され、その情報を受けた各病院ではすぐに傷病者受入可能数とDMAT出動可否を本システムに入力することで、あっという間に県内の医療体制の概要をつかむことができました。

今回は消防覚知とほぼ同時にドクターヘリ要請、DMAT要請通報があり、ドクターヘリ要請から8分で当院からDMAT 4名をのせて現地に向かいました。またドクターヘリ離陸から数分後には“平時から現場地域で連携活動を行うことがある長野県西部ドクターヘリ(佐久ドクターヘリ)に応援要請”しました。
最終的に群馬県ドクターヘリで4人(医師2・看護師2)、佐久ドクターヘリで3人(医師2・看護師1)のDMAT隊員が今回の事故による傷病者の集積場所としたランデブーポイントに集結し、さらに前橋赤十字病院ドクターカーで3人(医師1・看護師1・業務調整員1)のDMAT隊員が駆け付けました。
消防の指揮隊長と救急隊長、佐久医療センターの医師と何度も活動方針の確認を行いながら、最終的に14名の傷病者を日没までに病院に搬送することができました。

今回の活動で当院災害対策本部でバックアップしてくれたスタッフの方々、現場で多くのアドバイスをいただいた佐久医療センターのスタッフの皆様、ドクターヘリ2機で安全にピストン搬送していただいたヘリクルーの皆様、傷病者の受け入れにご協力いただいた各病院のスタッフの皆様に心より感謝いたします。また傷病者の待機場所としてランデブーポイントにある施設を使用させていただいた行政の方のご協力にも感謝いたします。



活動する場所を撤収する前に現場に残った指揮隊長をはじめとする消防の方々と当院DMATで警察、報道の方も交えてきっちり15分近いデブリーフィングをおこない、次回さらに良い活動するためにアイデアを出し合った後に帰還しました。
消防・警察・医療が一体になって活動する姿は
群馬ではすでに見慣れた光景になってきました!

今回の活動では平時より基地病院間で連携強化を行っている佐久総合医療センターと佐久ドクターヘリの協力をいただきました。すでに遠慮せずに応援要請できる良好な関係、お互いのドクターヘリ症例検討会に参加していることによる強い顔の見える関係、なによりもちょっとの会話だけで共通の活動方針を理解できる関係が存在しています。
災害時のドクターヘリの運用については、やはり平時から行っている連携活動が生かされることを今回まさに強く実感しました。
今回応援に駆けつけていただいた佐久ドクターヘリ!

さらに重症者が増えた場合でも、広域連携エリア外ではあるものの平時の連携活動を行っている栃木県・埼玉県ドクターヘリも応援要請しうまく協働できるイメージも浮かんでいました。実は本災害対応中の県内ドクターヘリ事案に広域連携として埼玉県ドクターヘリが駆け付けてくれました。


平時行っていないことを災害時には急にできません。そのために災害時は平時からちょっとだけ応用した形でできるようにもっと平時からの連携関係を推し進めていきたいと思います。