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ER 災害が起こったときのFirst Action

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災害が起きたとき、当直医はどう動く?講義レポート こんにちは、ブログ担当の永山です。 今回は、「救急外来の当直中に災害発生の一報が入ったらどう動くのか?」をテーマにした講義についてご紹介します。 災害対応のはじまりは「電話1本」から 夜間の救急外来。当直業務に集中している中、「災害が発生しました」という入電が入ったとき、どんな行動が求められるのか… そんな緊張感のある状況を想定した、 災害初動対応の講義 を行いました。 群馬県独自の情報共有システム 群馬県では、災害発生時に、 消防・医療機関・行政が迅速に連携できるシステム が整備されています。 今回の講義ではこのシステムの使用方法も説明し、災害時にどのように情報が集まり、共有されるかを実際に体験しました。 講義内容のポイント 夜間の災害対応の流れ 病院の災害担当者としての役割 日赤医療機関としての行動 DAMT(災害医療支援チーム)としての初動 「初めての方にはちょっとこってりかも…」というボリュームでしたが、実際の現場では時間との戦いになるため、 あらかじめ知っておくことが大切 です。 当直医に求められる“いざというとき”の行動力 講義をしている自分自身も、正直「本当に自分がちゃんと動けるかな…」と感じるほど、やるべきことは多岐にわたります。 後期研修医を中心に、勤務終わりで疲れている中、講義に参加してくれました。 本当にありがとうございました。 講義は“財産”として動画ストック中! 今回のような講義は、 後日聴講できるよう動画として保存 しています。 参加できなかったスタッフや、今後当院に来てくれる研修医のための資源として、講義動画は当科の大きな財産となっています。 中には、「これ、有料にしてもいいんじゃ?」と思えるほどの質の高い講義もあり、 時間があるときに復習できる 環境は、学び続ける私たちにとって非常にありがたい仕組みです。 まとめ 夜間当直中に災害が起きたときの対応を学ぶ講義を実施 群馬県独自の情報共有システムも紹介・体験 災害時に医療者が担う役割は意外と多い 当科では講義動画を保存し、継続学習できる仕組みを構築 日々の備えが、いざというときの安心につながる—...

開胸術後の急変!?コードハートシミュレーション

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緊急時に備える!コードハート・シミュレーション訓練のご紹介 こんにちは、ブログ担当の永山です。 今回は、 杉浦先生主催の「コードハート・シミュレーション」 をご紹介します。 コードハート・シミュレーションって? 心臓手術術後の非常事態に、医療チームがすぐに的確な対応ができるようにするための訓練が「コードハート・シミュレーション」です。 なぜ普通の心臓マッサージではダメなの? 私たちがよく知っている心臓マッサージ(胸骨圧迫)は、多くの場面で命を救う基本手技ですが、 開胸手術後の患者さんには注意が必要 です。 というのも、無理に圧迫してしまうと 心臓が破裂してしまうリスク があるからです。 そのために必要なことは… 心臓が止まった原因の確認 ペーシング(心臓に電気刺激を与える)や薬剤の使用 人工心肺装置(ECMOなど)の迅速な準備 これらの判断を、 限られた時間の中でチーム全体が連携して行う 必要があります。 訓練は多職種で! 当院では、このような緊急時対応を プロトコール化 し、 医師・看護師・臨床工学技士など多職種で共有 できる体制を整えています。 定期的な訓練があるおかげで、いざというときにも落ち着いて動けるようになりました。 恥ずかしながら、私自身もICU管理を担当するようになるまで、このような対応が必要だとは知りませんでした。 医療従事者でも専門外だと知らない方も多いのではないでしょうか。 当院には、他院から研修に来られる医師も多くいますが、 このシミュレーション訓練は大変好評 です。 なにより、 看護師さんや臨床工学技士さんたちも積極的に協力 してくれることが、当院の大きな強みです。 心臓血管外科の先生方にいつでも相談できる環境があることで、集中治療科でも安心して術後管理にあたることができています。 加えて、定期的に訓練を行い、スタッフ全員が緊急時にすぐにうごけるような環境づくりもつづけていこうとおもいます。 まとめ 「コードハート・シミュレーション」は心臓術後の緊急対応訓練 開胸手術後の心停止には特別な注意が必要 多職種連携での訓練が、実際の現場での安心につながる Facebookページはこちら Inst...

JATECコースにインストラクター参加 萩原Dr in 東京科学大学

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こんにちは、萩原です。 先日、 JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)コース に インストラクターとして参加してきました。 今回の会場は 東京科学大学 。私は初めて訪れましたが、 御茶ノ水駅から徒歩3分というアクセスの良さに驚きました。 都会のど真ん中で、地方出身者の私はそれだけで目を丸くしてしまいました。 本当はERやICUも見学したかった… 非常に興味があったのですが、 時間の都合で見学は叶わず 。 次回チャンスがあれば、ぜひ施設見学もセットでお願いしたいところです。 JATECとは? JATECコースは、 「外傷による防げる死を限りなくゼロに近づける」 ことを目的とした 医師向けの初期診療トレーニングです。 今回も、全国から集まった 情熱あふれる若手医師たち と交流することができ、 私自身も多くの刺激を受けました。 当科の取り組み 私たちの所属する診療科では、 6名のJATECインストラクター が在籍しており、 日常から 実践的な外傷初期診療 を学べる環境が整っています。 重症外傷の現場で即戦力として活躍できる力、 ここで一緒に身につけてみませんか? 最後に 教育は「教える側」にとっても大きな学びです。 私自身も初心を忘れず、これからもアップデートを続けていきたいと思います。 Facebookページはこちら Instagramページはこちら X(旧Twitter)はこちら

ECMO トランスポートについてのご紹介(訓練様子)

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こんにちはブログ担当の永山です。 ECMOってなに? ECMO(エクモ)とは、重い肺や心臓の病気で呼吸や循環がうまくできなくなった患者さんの体を、人工的に助ける装置のことです。 正式には「体外式膜型人工肺」と呼ばれ、肺や心臓の代わりをしてくれる機械です。救急や集中治療の現場で使われています。 なぜECMOトランスポートが必要なの? ECMOが必要な患者さんは、設備やスタッフが整った専門の病院で治療を受ける必要があります。でも、すべての病院にその体制があるわけではありません。 そこで、今いる病院でECMOをつないだ状態のまま、専門施設へと患者さんを安全に移動させる必要が出てくるのです。これが「 ECMOトランスポート 」です。 患者さんがいるところに出向いて、ECMOを導入して搬送するパターン(primary transport)やECMOが導入された患者さんを集中管理ができる病院への搬送を行う(seconary transport)があります。 どんなふうに運ばれるの? ECMOを使っている患者さんはとても繊細な状態なので、通常の救急搬送とは全く違う慎重さが求められます。 当院では、専用のECMO Carを導入しており、ECMOがついた状態でも搬送するこができます。 そして 移送には、医師、看護師、臨床工学技士など、ECMOを扱える専門チームが同行します。 どんなチームが関わるの? ECMOトランスポートには、以下のような多職種の連携が不可欠です: 職種 役割 救急医/集中治療医 全体の判断と管理 臨床工学技士 ECMO装置の操作とトラブル対応 看護師 患者さんの状態管理と処置 搬送チーム(消防・自衛隊など) 安全な移送の実施 どんなリスクがあるの? ECMOトランスポートは、安全に行われるよう十分な準備と訓練が必要です。 主なリスク: 移動中の血圧低下や出血 装置のトラブル これらを防ぐため、事前に綿密な打ち合わせとシミュレーションが行われます。 写真は訓練様子です。搬送元から搬送依頼があり、患者さんの情報をあつめて、全体共有を行い、搬送準備を行いました。 ご参加いただいた、スタッフのみなさんありがとうございました。 当院のホームページ に、ECMO...

前橋市でも猛暑続く!熱中症予防で命を守ろう

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こんにちは、ブログ担当 永山です。 ここ数日、全国的に記録的な暑さが続いていますが、群馬・前橋市も例外ではありません。 ★6月14日~20日の前橋暑さ指数(WBGT)推移★ 21 → 30 → 28 → 30 → 28 → 28 → 27 複数日が「厳重警戒〜警戒」ゾーンに達しています。 夏本番を前に、急激な暑さに体が追い付いていない今こそ、熱中症のリスクが高まっています。 こまめな水分補給・室内の温度管理・無理しない行動で、健康を守りましょう。 ■ 熱中症の深刻な現状 全国の搬送状況(週別) 総務省消防庁によると、2025年6月9日~15日の全国の熱中症による救急搬送者は 966人 (速報値)でした。 全国の搬送例と傾向(2024年夏) 2024年7月29日~8月4日の1週間では、熱中症による救急搬送が 12,272人 に達し、前年同期(11,284人)から8.8%増加。65歳以上の高齢者が60.3%を占め、死亡は21人(0.2%)、重症(3週間以上入院)は386人(3.1%)という深刻な内容でした。 ■ 熱中症になるとお金がかかる? 重症熱中症では入院が必要となり、1件あたり数万円〜数十万円の医療費が発生することがあります。 死亡や後遺症が残った場合、長期的な医療費負担や家族への影響も発生します。 ■ 熱中症を予防する3つのポイント 暑熱順化(暑さに慣れる)は1〜2週間が目安 環境省「熱中症環境保健マニュアル」では、暑熱順化には1〜2週間の時間が必要とされています。 運動や外出も、涼しい時間帯から徐々に強度を上げていきましょう。 喉が渇く前のこまめな水分補給を 日本スポーツ協会の指針では、運動中は15~20分おきに150~250mlの水分補給を推奨。 起床時や就寝前、1時間おきの水分補給や塩分入り飲料を取り入れるようにしましょう。 体調に変化を感じたら、すぐ休む めまい、けいれん、意識障害など初期症状が出たら、涼しい場所への移動・体を冷やし・水分補給が最優先。 重症の場合はすぐに救急車を呼びましょう。 ■ 特に注意したい人 65歳以上の高齢者(搬送者数の約60%) 乳幼児や持病を持つ人(糖尿病・心疾患など) 肥...

ICUってどんなところ? 〜当院の集中治療室をご紹介〜

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おつかれさまです。ブログ担当の永山です。 本日は当院の集中治療室(ICU)についてご紹介させていただきます。 ■ ICUとは? ICUとは「Intensive Care Unit」の略で、命の危機にある重い病気やケガの患者さんを、24時間体制で見守る特別な病室です。 ここでは、心臓や呼吸の動き、血圧、意識状態などを細かくモニターしながら、医師・看護師・リハビリスタッフなど、専門チームが一丸となって治療にあたっています。 ■ どんな患者さんが入るの? 大きな手術のあとにしっかり回復を見守る必要がある方 脳出血やくも膜下出血など、急な脳の病気で意識が悪くなった方 敗血症などで全身状態が不安定な方 交通事故や転倒などで重いケガをされた方 心肺停止(心臓が一時止まってしまった)後に救命された方 どの方も、今この瞬間の判断と治療が命を左右する状況です。 ■ 前橋赤十字病院ICUの特徴 前橋赤十字病院のICUは24床で、集中治療医が常勤する Closed ICU です。 年間患者数:847人(2022年) → 1073人(2023年) 術後管理だけでなく、敗血症、熱傷、外傷など多様な疾患に対応 全国と比較しても多くの重症患者を受け入れており、専門チームが連携して診療にあたっています。 地域の方が安心して診療を受けられるように、チーム一丸となって患者さんの回復を支えられるよう、これからも努力を重ねてまいります。 Facebookページはこちら Instagramページはこちら X(旧Twitter)はこちら

ECMOを対応したときに困らないために~ECMOことはじめ~

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お疲れ様です。ブログ担当の永山です。 6月に入り、新しく当院に加わったスタッフの皆さんも、徐々に日々の業務に慣れてきた様子がうかがえます。 この時期は、実際の現場での経験を積みながら、知識や技術を深めていく大切なタイミングでもあります。 ただ、現場で突然重症の患者さんを受け持つことになった場合、「どんな点に気をつけて観察や評価をすればよいのか分からず、不安になってしまう」という話もよく耳にします。もちろん、上級医がすぐに相談できるような環境をこころがけていますが、常に全員に目を配ることは難しいのが現実です。 こうした背景もあり、当科では積極的に勉強会を開催しています。あらかじめ知識を整理し、仲間と一緒に疑問点を解消しておくことで、いざという時に落ち着いて対応できる力を身につけてもらいたいと考えています。現場経験と勉強会での学び、両方をうまく活かして成長していただければ嬉しいです。 さて、今回は藤塚先生による「ECMO実践編」とめいうって、ECMOの担当になったときに、どうやったらいいのか?をとりあげた勉強会が行われました。 ECMO(体外式膜型人工肺)は、カニューレという管を使って体外に血液を循環させ、重症患者さんの心臓や肺の働きを一時的にサポートする装置です。 患者さんの命を守る重要な治療法ですが、大量の血液を体外で管理するため、機器トラブルや出血といったリスクも大きく、慎重な取り扱いが求められます。 今回の勉強会では、以前のブログでも紹介したサーキットチェック(回路の問題がないか全体をチェックする方法)や、急な回路停止時のハンドクランク、圧モニターなどの機器の役割、膜やポンプの評価方法についても、短い時間の中で分かりやすく解説していただきました。藤塚先生の豊富な経験に基づく具体的なアドバイスもあり、大変実りのある勉強会でした。 今後はさらに一歩踏み込んだ設定の工夫やトラブル対応など、より実践的な内容の勉強会も予定しています。 みんなで一緒に成長し、安全で質の高い医療を提供できるチームを目指していきましょう!