投稿

ラベル(本白根山噴火)が付いた投稿を表示しています

Preventable Disaster Deathはなかったか?~「本白根山噴火災害救急医療検証会」を開催~

イメージ
先日、群馬県庁において  2018 年 1 月 23 日に発災害した本白根山噴火災害における救急医療の検証会を行いました。 この噴火災害では1名の尊い命が失われましたが、それが“Preventable Disaster Death”かどうか、つまり「本当に救えなかった命であったのか?」をしっかり検証する必要があると感じていました。 そこで1年以上たってしまいましたが、消防・医療が中心に約 100 名程度の人が集まった中、災害全体のことではなく、個々の救命活動に焦点をあて、どうしたらもっとよい活動ができたのか話し合いました。 遺されたこの写真の意味はあまりにも大きいです・・・ 発生時刻・場所、その時の環境を踏まえたうえで、消防の時系列・活動内容、医療の時系列・派遣した医療スタッフの質・提供した医療・搬送手段などあらゆる側面を徹底的に検証し、もっと良い活動ができなかったか、次にどのように生かしていくかとことん意見を出し合いました。予定終了時間を軽く1時間オーバーしていましいましたが、それほど重要な機会であったと思います。 消防と医療の連携をもっと密にすることはもちろん、平時救急の活動を充実・向上させることが必要と、改めて認識しました。さらにここのところ災害時にロジスティック力の強化ばかりが表に立っているDMATですが、局地災害で本当に外傷診療ができるDMATの育成が群馬県では必要であることをまざまざと感じました。 また『噴火災害』という特殊災害において、地震災害とは違う対応準備をしていかなくてはいけないということを確認し、今後対策を練っていきたいと思います。

本白根山噴火災害から1年が経ちました…

イメージ
昨年の1月23日に予期せぬ形で草津白根山の1つの本白根山が噴火してから1年が経ちました。 この噴火災害では1名の尊い命が失われ、また11名のけが人が発生しました。亡くなられた方のご冥福を心からお祈りするとともに、ご家族やけがをされた方々の心の傷の回復を願っております。 この災害では温泉で有名な群馬県が、火山噴火のリスクを背負っていることを気づかさせてくれました。もちろん良い温泉がたくさんあるので多くの方々に来県していただきたいと思っていますが、この仕事についている限りは噴火災害時の対応についてもっと準備と対策を進めていく覚悟がなくてはいけません。 特に今回のように外傷患者さんが多く発生した災害では、災害医療に関わるメンバー(消防、日赤救護班・DMATなどの医療救護班)は外傷対応ができるレベルを維持していなくてはいけません。 災害時だけではなく平時の様々な対応からしっかり精進して、いざというときに一人でも多くの大切な命を守ることができる災害対応をめざしてこれからも群馬県一丸となって望んでいきます。

「草津白根山噴火災害にかかる救護活動報告会(@前橋日赤)」を行いました。

イメージ
町田です。 3月29日に群馬県庁で開催された「本白根山噴火災害医療救護活動検証会」に続いて、4月27日に当院にて「草津白根山噴火災害にかかる救護活動報告会」を開催しました。 この報告会では、実際に本災害で各ポジションでどのような活動が行われ、どのような課題があったかを、出動スタッフから院内スタッフへ伝える大切な時間となりました。 実際に活動した場所と報告者は以下の通りです。 ・前橋赤十字病院:「院内災害対策本部」 内林 俊明(救急災害事業課) ・「厚生労働省DMAT事務局」 町田 浩志(集中治療科・救急科) ・「日本赤十字社群馬県支部」 高野里映(事業推進課) ・群馬県庁:「群馬県DMAT調整本部」 伊藤 恵美子(救急外来) ・西吾妻福祉病院:「DMAT活動拠点本部」 藤塚 健次(集中治療科・救急科) ・天狗山第5駐車場:「現場」 高坂 和寿(救急外来) 当院は赤十字の理念のもと活動しています。 日赤の大切な使命の一つが「災害救護活動」であり、災害対応時は病院をあげて活動します。そのためにこのような情報共有はとても重要です。特に災害現場への出動のみならず、院内を支えてくれるスタッフがいること、そして災害全体を大きな視点から見つめる機関があることを忘れずに、これからも病院一丸となって災害対応をしていきたいと思います。

「本白根山噴火災害医療救護活動検証会(@群馬県庁)」が開催されました。

イメージ
藤塚です。 3/29  群馬県庁にて、医療・消防・警察・自衛隊・県医務課が集まり、「本白根山噴火災害 医療救護活動検証会」が開催されました。 約 100 名の参加となり、下記次第で発表・ディスカッションがされました。 ・県災害対策本部( DMAT 調整本部)の活動について(群馬県医務課 小久保) ・西吾妻福祉病院( DMAT 活動拠点本部)の活動について(前橋赤十字病院 藤塚) ・災害現場の様子および消防活動の振り返り( 渋川広域消防本部警防課 岸) ・草津国際スキー場青葉山レストラン現地本部活動について(利根中央病院 関原)   私個人として、活動拠点本部でおこなった活動を報告し、秀逸点・問題点などを発表させていただきました。 災害コーディネーターの中野先生からは、これまでの災害経験から群馬県は進歩し、本活動に生きている。一人でも多くの人を救えるよりより活動になるために、今後も細かいところまで検証して訓練していきましょうと言われました。 活動の安全について、救命するための手段・外傷知識とスキル、各組織間連携、外国人対応などなどまだまだ事前に検討しておくべきことがあります。近いうちに、再度もっと核心をついた検証会をしていく予定です。 今後も災害時に救命・支援していくために、普段から色々な活動をしていきたいと思います。

「平成29年度第4回群馬県ドクターヘリ症例検討会」を開催しました。

イメージ
町田です。 現在年4回開催している群馬県ドクターヘリ症例検討会ですが、今年度最後の第4回目(通算34回目)を2月27日に当院で開催しました。 忙しい平日日中の開催にもかかわらず、今回も100名を超える多くの関係者に参加していただきました。心より感謝いたします。 群馬県ドクターヘリ症例検討会の最近の傾向として多数傷病者事案の対応をほぼ毎回取り上げていますが、やはり様々な課題があがります。しかしこのような機会で課題をあぶり出し、その解決に向けての共通認識を持つことで、次に同じような事案にあったときに前回よりも確実にレベルアップした活動に結びついていっています。 しかしながら時には医療と消防の連携がうまくいかずお互いフラストレーションがたまる事案もあり、あえてそのような事案を取り上げて直接顔の見える機会にお互いの考えを知ることで、両者が納得した共通概念を見いだすこともできます。 群馬では県を高速道路が十字、新幹線がY字に縦断・横断して走っており、また長野県との県境である碓氷峠でも数多くの重症患者が多数発生する事故が高頻度で起こっています。また先日も草津白根噴火災害でも多くの外傷患者が発生しました。 このような症例検討会で「明日からの実践に役立つ共通概念を形成し実践することの繰り返し」 が、より多くの患者を救命することにつながると信じています。 尚、草津白根山噴火災害対応の検証が未開催(3月29日に県庁で開催予定)のためまだ速報レベルですが、2月26日の信州ドクターヘリ事後検証会議にて群馬DMAT,日赤救護班、ドクターヘリの活動について報告させていただきました。信州ドクターヘリ佐久にはすぐに応援出動の打診をさせていただいたとともに長野県も災害対応の準備にすぐ入っていただいたことへの感謝の気持ちを伝えることができたとともに、平時からの連携強化が災害時の県を超えた活動に有用であることを再確認させていただきました。 また群馬県ドクターヘリ症例検討会には、本災害時に当県まで応援出動していただいた栃木県ドクターヘリのフライトドクターの先生に来ていただき、直接報告をすることができました。

草津白根山(本白根山)噴火から1か月が過ぎました。

今年1月23日に発生した草津白根山(本白根山)の噴火災害から昨日で約1か月がたちました。 12名の負傷者が発生し、うち1名の尊い命が失われました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、けがをされた方々の1日も早い回復を願っております。 群馬県は温泉天国と言われるほど良質な温泉地がたくさんありますが、まさにそれは自然からの贈り物であり、このような火山と隣り合わせに生きていることをあらためて感じさせることでした。 尚、本白根山と草津温泉街は5キロメートル以上、万座温泉地区は3.2キロメートル離れており、現在のところ被害やその他の影響はございません。入浴、宿泊、食事などの各施設は通常通り営業しております。尚、周辺の観光情報の詳細については、各ホームページでご確認いただくか、直接お問い合わせください。 (群馬県ホームページより引用 http://www.pref.gunma.jp/01/g35g_00027.html ) 本災害対応では、群馬県からの自衛隊派遣要請、消防・警察・医療の協働、そしてスキーパトロールの皆様の現場での活躍がありました。やはり自然災害には他機関の連携が必須です。 今週群馬県庁で行われた図上訓練でも他職種間の連携を意識した活動が行われ、明日も局地災害対応をメインとした災害研修会が開催されます。また来週の信州ドクターヘリ事後検証会議、群馬県ドクターヘリ症例検討会でも活動報告をさせていただく予定です。 今回の災害対応を経験して、やはり噴火災害に対する訓練や準備が足りなかったことを痛感しました。群馬県にはいまも山頂から噴煙をあげている浅間山もあり、ほかにもいくつも火山があります。噴火の怖さを知りつつ火山の恵みに潤わされている当県にとって、やはり大規模な噴火災害対応訓練を早急に考えないといけません。

本白根山噴火対応について(日赤群馬県支部からの報告)

イメージ
昨日の朝に本白根山噴火対応についてご報告させていただきましたが、日本赤十字社群馬県支部より日本赤十字社としての活動がアップされました。 ~以下、日本赤十字社群馬県支部Facebookより転載(一部)~   【草津白根山噴火災害の対応について】   1月23日(火)発生した草津白根山噴火により1名の方の尊い命が失われました。心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、けがをされた方々の1日も早い回復をお祈り申し上げます。 さて、当支部では本災害対応において、群馬県庁に設置された群馬県DMAT調整本部に前橋赤十字病院の災害医療コーディネートチーム(医師1名、看護師1名、業務調整員2名 計4名)と支部職員1名を派遣し、現地に参集させるDMATやドクターヘリ、救援物資の調整等を行いました。また、現場近くの西吾妻福祉病院に設置されたDMAT活動拠点本部に前橋赤十字病院DMAT3チーム(医師5名、看護師5名、業務調整員4名 計14名)、原町赤十字病院DMAT1チーム(医師、看護師2名、業務調整員2名 5名)、支部職員2名を派遣し、参集した県内のDMAT(17チーム)の指揮をとるとともに、西吾妻福祉病院の支援やドクターヘリ・救急車での医療搬送、天狗山第5駐車場において下山してきた負傷者のトリアージ等を行いました。   群馬県庁:災害医療コーディネートチーム 西吾妻福祉病院:初動救護班(DMAT)

本白根山噴火対応について(DMAT、ドクターヘリ活動報告)

イメージ
昨日発生した本白根山噴火により1名の方の尊い命が失われました。心よりご冥福をお祈りするとともに、けがをされた方々の1日も早い回復を願っています。 前橋赤十字病院では本災害対応において、統括DMATを派遣して群馬県災害対策本部のもとに群馬県DMAT調整本部、現場近くの西吾妻福祉病院にDMAT活動拠点本部を設置し、そして患者さんの治療や搬送のために救急車やドクターヘリでDMATを派遣しました。 群馬県としてDMATは20チームの派遣、そして約1年前に厚労省より発出された「大規模災害時のドクターヘリ運用に関わる指針」に則って栃木県ドクターヘリにも参集していただきました。 また日本DMAT隊員養成研修の講師でちょうど当科スタッフがDMAT事務局にいて、事務局のスタッフの皆様、他の講師の方々のご協力を頂きながら周辺県のサポートもいただくことができました。 本災害対応に関する情報は県庁ホームページをご参照ください。 → http://www.pref.gunma.jp/ 今回の活動に対する関係各機関の多大なるご協力と、本災害に対する多くの方々のご支援に心より感謝いたします。