ショックと低血糖から脳を守る!~「救急救命士処置範囲拡大追加講習」~

町田です。
3年連続で群馬県消防学校で開催されている消防職員特別教育「救急救命士処置範囲拡大追加講習」のお手伝いをさせていただきました。。
講師は指導救命士を中心に行われますが、群馬県内各病院のMedical control検証医も医師講師として参加しており、当院からは中村センター長、鈴木副部長、雨宮副部長も参加しています。

受講者はすでに「薬剤投与認定(心停止患者へのアドレナリン投与)」を受けている救急救命士で、この講習のために消防学校に入寮し4日間にわたる講義、実習、試験の缶詰生活だそうです。

この講習を受講することで認定される処置範囲拡大は、
・(ショック患者への)心肺機能停止前の静脈路確保
・(低血糖疑い患者への)血糖測定、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液投与
の2点です。



群馬県でもこの資格を持っている救急救命士が増えてきており、実際にショックに対する救急隊による輸液投与で病院到着前にバイタルサインが改善したり、低血糖に対するブドウ糖投与で意識が改善していることが珍しいことではなくなってきました。
ドクターヘリ・カーで出動した際も、救急隊よりヘリドクターに対して上記処置の指示要請が来ることも増えてきています。

ショックや低血糖への医療介入が遅れると、頭への血流やエネルギー供給が不十分になり、ひどいときは後遺症が残るような脳障害を起こしてしまいます。だからこそショックや低血糖に対して
早く治療介入することで、脳障害などの合併症の発生率を下げることが期待されており、この勢いで群馬県のすべての救急救命士が積極的に医療介入ができる地域にしていきたいと個人的には高い理想を掲げています。


昨年も同じことを書きましたが、目の前で患者さんが倒れた時に一般市民へのBLSの普及(バイスタンダーの教育)と最も早く患者に接触する医療関係者である救急救命士への教育(薬剤投与、処置範囲拡大認定など)こそ、患者の救命・社会復帰に向けて最も大切なことの1つであり、その教育に救命センタースタッフとして関わってくことはとても大事なことです。

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