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「平成30年度第4回群馬県ドクターヘリ症例検討会」を開催しました。

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町田です。 2月26日に今年度最後の「群馬県ドクターヘリ症例検討会」を開催しました。 前日に佐久総合病院佐久医療センターで行われた「信州ドクターヘリ事後検証会議(症例検討会)」に吉野先生を連れて参加しましたが(後日報告予定)、そちらはすでに第160回という回数を重ねており、それに比べてこちらは38回目・・・まだまだ学ぶことがたくさんあります。 ちなみに前日の会で多数傷病者や現場医療スタッフ派遣のことが話題に出ており、ちょうどその話題をテーマにしていたため、そこで学んだことも本会で共有することができました。 今回も120名近い方々に参加していただきました。県内11消防局・本部、各病院のみならず、隣県基地病院である埼玉医科大学総合医療センター、佐久総合病院佐久医療センター、そして隣県消防である児玉郡市広域消防本部、そして群馬県警察本部からなど、他機関からご参加いただきありがとうございました。 会場は新病院の講堂です。(開始前の一コマ) 今回は以下のような内容でした。 ☆事案1:「重複要請に対して医師 1 名追加して出動した事案」 医師 2 名体制により重複要請に対応することができた。前事案の場所、救急隊到着時間、 RP 安全確保時間によっては、次事案にも対応するために医師 1 名を追加して出動することがある。 小 児の食餌性アナフィラキシーの場合はさらに症状が進行することがあり、現場からの積極的なアドレナリン投与が必要となることが多い。 ☆事案2: 「現場医師派遣対応の遅れによりドッキング遅延が生じた事案」 現場医療スタッフ派遣の決断は RP にヘリ着陸前に!その依頼を受けた指令課は「支援隊には救急現場位置」、「救急隊には医師派遣が行われること」を確実に伝える。 途中 ドッキングの場所は基本的に消防で決定する。確実なドッキングのために指令課、救急隊、支援隊の三者間でしっかり情報共有を行う。 ☆事案3:「 司法解剖により死因が救命した外傷性心肺停止症例」 原因究明のために解剖結果の共有を行った。 死因を共有することは今後の現場での観察にとって大変有用である。 ☆事案4:「 頚髄損傷が疑われた小児外傷症例」 小児 の頚髄損傷は骨傷を伴わず損傷部位が広範囲にわたる場合が多く、後遺症に対するフォローが成人に比べて大変である

「北海道ドクターヘリ災害時運用における机上訓練」に参加しました!vol.2 ~ヘリ参集から医療搬送実行までみんなで考える…~

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町田です。 前回に引き続き「北海道ドクターヘリ災害時運用における机上訓練」に関する報告第2弾です。  会場の旭川赤十字病院と道北ドクターヘリ (旭川赤十字病院ホームページより) 僕の「大規模災害時におけるドクターヘリ運用」のレクチャー、住田先生司会の「北海道における大規模災害時のドクターヘリ体制構築」が終わり、いよいよ「机上訓練」の始まりです。 今回は「旭川市を中心とした直下型地震災害」を題材に、住田先生の総監督、町田の運営の元でドクターヘリの運用に特化した動きについて時系列に沿って一つ一つ確認しながら行う方法をとりました。 ~~~訓練開始!~~~ 発災直後、まずはに札幌医科大学から統括DMATが道庁に入りDMAT北海道調整本部を設置し、さらに道庁の航空運用調整班にドクターヘリ担当として札幌のドクターヘリ基地病院である手稲渓仁会病院からスタッフを派遣することとなりました。そして今回の災害における患者の陸路・空路での搬送フローを作成してもらいました。(最初に道庁にドクターヘリに精通したチームが入り、搬送プランの作成やヘリ調整部門の立ち上げに関わることが重要です。) 続いて被災状況から道庁が被災地の道北ドクターヘリ以外の応援も必要と判断したため、厚労省からの指針に則ってドクターヘリ北海道ブロック連絡担当病院である旭川赤十字病院に連絡し、旭川赤十字病院は参集するヘリの調整を行いました。調整の結果は道央・道南・道東ドクターヘリすべての参集が必要で、3基地病院に参集を依頼することとなりました。 それに伴い道庁内にドクターヘリ調整部が立ち上がり、その下部組織として実際のドクターヘリ運航調整を行うドクターヘリ本部の設置が決まりました。 参集にあたって考えないといけないことが、ヘリ参集場所、そしてヘリ給油地点・・・これが決まらないとヘリは集まってこられません。また北海道の場合は参集までに長距離の飛行を要するために参集場所の給油が欠かせなくなります。被災地近くでドクターヘリを優先に給油ができる参集場所・・・なかなかないのが現実です。しかしドクターヘリ調整部で場所の調整を行い、さらに参集場所の格納庫内にドクターヘリ本部を行うこととしました。 【イメージ】ヘリ参集拠点をどこにするか?何機まで止められるか? (旭川赤十字病院ホームページより

「北海道ドクターヘリ災害時運用における机上訓練」に参加しました!vol.1 ~過去の経験から学びこれから準備することを考える…~

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町田です。 先々週は4日間北海道に滞在させていただき、5つの検証会、会議、訓練などに参加させていただきました。 前回は2/13-14に札幌で開催された「平成30年胆振東部地震災害救護活動報告検討会(@日赤北海道支部)」について書きましたが、2/14夕方には雪深い石狩平野を特急電車で1時間半北上し、ドクターヘリ関連の会議や訓練が開催される旭川に移動しました。今回は2/15に旭川で開催された「北海道ドクターヘリ災害時運用における机上訓練@旭川赤十字病院」について報告します。  災害時のドクターヘリ運用に関しては、平成28年12月に厚生労働省医政局から各都道府県に念願の「大規模災害時におけるドクターヘリ運用体制構築の係る指針」が通知されました。 その後も日本には多くの災害が起こりましたがなかなかこの指針が使用されることがなく、たった一度だけ昨年1月に群馬県で発生した噴火災害で使用されたのみです。しかしこの指針が通知される前から様々は大規模訓練の企画に関わったり実際にこの指針を使った経験から、今回は旭川赤十字病院の住田副院長よりお声掛けいただき今回の机上訓練に関わらせていただく機会をいただきました。 実は訓練のアイデアを出すことと、訓練の最初にレクチャーすることだけだと思っていたのですが、訓練の企画も依頼されていたことをすっかり失念し住田先生には直前にいろいろな準備をさせてしまう大失態から始まりました・・・しかしながらここは自称“追い込まれるほど力を発揮する男”としてはそのままで終わらせるわけにはいかず、直前にお願いして訓練の企画・運営をさせていただきました。 今回の訓練には北海道内にあるドクターヘリの4つの基地病院・関連病院、3つの運航会社、そして基幹災害拠点病院である札幌医科大学、そして北海道庁の関係者の皆様が集まりました。 僕の地元が北海道ということもありますが、本当に知っている方々ばかりでうれしさとともにものすごい責任感に急に襲われました。しかし高校の同級生が優しく声をかけてくれたおかげで肩の力が抜けて、とても良い雰囲気で訓練を進めることができました。 最初に僕から「大規模災害時におけるドクターヘリ運用」について、過去の災害での経験、指針の運用上の課題から、災害時にドクターヘリ連携活動をするために考えなくてはいけないことについてレクチ

「平成30年胆振東部地震災害救護活動報告検討会@日赤北海道支部」に参加して…

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町田です。 一昨日晩に最大震度6弱の地震が北海道胆振地方を中心に起こりました。ちょうど病院にいたので5か月前のことを思い出しながら情報収集チームを立ち上げて活動を開始しました。幸い大きな被害がなくほっとしたところですが、やはり地元で起こったことなのでとても心が痛みました。けがをされた方々の1日も早い回復をお祈りします。 ところで昨年9月に発生した「平成30年北海道胆振東部地震」では、日赤災害医療コーディネーターとして5日間にわたって日本赤十字社北海道支部と北海道庁で活動させていただき、そのこともあって本震災の活動を振り返る会にいろいろ参加させていただいています。 昨年12月には札幌で開催されたDMAT技能維持研修に、今年1月には日赤本社、2月には日赤北海道支部で開催された日赤の活動の検証会に顔を出させていただきました。 特に2月13,14日に日赤北海道支部で開催された「平成30年胆振東部地震災害救護活動報告検討会」では、北海道・東北および本社の日赤関係者が【現地災害救護実施対策本部機能について】【医療救護活動について】【被災者支援(支援者支援)について】という3つのテーマに関して、それぞれの部会に分かれて2日間かけてグループワークを行い、今後の展望について発表を行っていました。 いままで災害対応に関する振り返りに関しては、災害救護活動に参加したメンバーが発表を行っうだけで終わる印象しかありませんでしたが、今回は次にどうするか徹底的に話し合っている参加者の北海道・東北地区の日赤支部・各日赤救護班の皆様の姿をみて、ただ助けてもらうだけではなく災害救護も自助共助が大切であることを改めて感じました。 いろいろな振り返りの会に参加させていただきとても勉強させていただくことばかりでしたが、ロジスティック強化、システムの確立という話が全面に出すぎていて、熱い思いをもって現地に駆け付けてきた各救護班の立場を考える必要性を改めて感じました。 特に日赤救護班の多くのメンバーは平時は地域医療を支えていて、必ずしも救命救急センターに勤務していたりしているわけではありません。それでも平時の活動が災害時にも被災者への心が通った対応ができる素晴らしい土壌があると感じています。 僕自身は日赤、DMAT、日本災害学会など様々な立場で現地にこーディネーターとして派

“呼吸ECMOの将来性”~広島大学 大下慎一郎先生ご講演~

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増田です. 2 月 13 日,当院で恒例行われており今回 138 回目となる地域連携学術講演会が開かれました.今回は,当科・呼吸器内科合同での企画で,間質性肺疾患に対する ECMO を含めた集学的治療に焦点を当てた会でした. 僭越ながら一般演題を増田が担当させていただきました.当院で間質性肺疾患による重症呼吸不全に対し,ステロイド投与に加え深鎮静筋弛緩・ ECMO ・ PMX + CHF ・ rTM ,といった手段を用いて寛解へ導けた 2 症例の報告と,当院 ECMO センターの取り組みの紹介をしました. その後の特別講演に,広島大学から大下慎一郎先生をご招きして ,『呼吸 ECMO の将来性』と題した最新の知見をお話いただきました. 大下先生は呼吸器疾患のみならず救急・集中治療をも専門とされており,広島県ドクターヘリのフライトドクターでもあります.そして国内の ECMO プロジェクトにも関わり,今年 3 月に広島で行われる ECMO シミュレーションのディレクターとなられています. 広島大学 救急集中治療医学 准教授 大下 慎一郎 先生   従来,間質性肺疾患による重症呼吸不全は主に緩和の方針となることが通例でした.しかし,ダメージを受けた肺を“休める”ために ECMO を用いて生命を維持し,その間に上記のような治療を行う.これにより,もう一度患者が自宅に帰って穏やかに過ごす時間を作れる可能性が広がる,と思いました.     終了後は懇親会が開かれ,ワインをお嗜みになるという大下先生を囲み,赤ワイン片手に盛り上がりました. “前橋日赤の若手の先生 は臨床,学会発表,論文作成など非常に生き生きと頑張っている”とのお言葉をいただきました.うれしく感じたと同時に,これに甘んじず,当科・当院が救急・集中治療を学びたい医療者にとってさらに好ましい環境となるにはどうすべきか,今後も考え続けていかなければと思いました.

「日本DMAT隊員養成研修@立川」に参加しました。

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丸山です。 この度、 2019 年 2 月 12 日 ~15 日の 4 日間に渡り「日本 DMAT 隊員養成研修」 に参加させていただきました。以前は 3 日間の研修だったようですが年を重ねるごとに内容が増え、とうとう 4 日間かかるようになったとのことでした。そして、なんとそのうち 3 日間は毎日 8 時半から 19 時半まで約 11 時間に及ぶ講義および実習が開催されました! 受講した研修生の皆さまお疲れ様でした。そして、インストラクターの先生方、ご多忙の中ありがとうございました。 こんなハードスケジュールでしたがシミュレーションが豊富に含まれた講義・実習で、能動的且つ楽しく学ばせていただきました。 私は E 班所属となりましたがメンバーにも恵まれ、この 4 日間大変仲良くさせていただき、団結感も生まれました。 その団結感が試されたのは「 SCU シミュレーション」。 SCU とは「 Staging Care Unit 」の略称であり、災害時の「広域搬送拠点臨時医療施設」と呼ばれるもので、被災地の患者さんを一度そこに集め、そこから被災地外の病院へドクターヘリや自衛隊航空機を用いて患者さんを搬送する臨時施設です。 今回は名誉なことに私がその診療リーダーを務めさせていただきました。しかも E 班のメンバーに主要ポストを担当してもらえ密に連絡を取り合うことが出来たため、約 1 時間の実習で 16 人を受け入れ、 8 人搬出済、 4 人搬出先確定という好成績を修めることができました。 E 班および共にシミュレーションに取り組んだ 31 名の皆さん、大変お疲れ様でした!! また、今回群馬県からの研修生は自分 1 人で少し寂しく思っていたところ当科の小倉先生が声をかけてくださいました。全体講義・実習では小倉先生からドクターヘリの講義と SCU での診療実習をご教授いただき、なんと最後は無線の実技テストで偶然小倉先生に審査していただくこととなりました。 平時のドクヘリ OJT の無線対応を改めてテストされたような気分で余計に緊張した気がします。そんな濃厚な 4 日間も思えばあっという間で、大変充実した研修となり災害医療への自信が湧いてきました。しかし、閉会の言葉で災害医療センターの近藤先生より「まだこれは災害の最低限の知識・手技を学んだ