「人工呼吸器セミナー:中級編を開催しました!」

人工呼吸器にある程度慣れてきた後期研修医の先生方を対象に、「中級編」としてより臨床的・実践的なテーマを中心に講義を行いました。 1. 呼吸器非同調(PVA:Patient-Ventilator Asynchrony) 非同調とは、患者さんの呼吸タイミングと人工呼吸器のサイクルが合っていない状態のこと。波形の読み取りから、トリガーミスやダブルトリガー、フロー不足などを見抜くコツを解説しました。 2. 呼吸努力の可視化と定量評価 ΔPOcc、P0.1、Δ食道内圧などを用いて、呼吸努力を「見える化」し定量的に評価する方法を紹介。呼吸器波形との組み合わせで、より深く患者状態を把握できる手法を学びました。 3. PEEPの個別化(PVツール+Titration) シミュレーターを用いて、PVツールによる肺コンプライアンスの確認から、PEEP設定の調整までを実践形式で体験。肺保護戦略の一歩進んだ使い方に挑戦しました。 4. VILI(人工呼吸器関連肺障害) 肺の過膨張、開閉損傷(atelectrauma)といったメカニズムを整理し、VILIを予防するために必要な考え方と設定の工夫についてディスカッションしました。 5. 横隔膜の超音波評価(Diaphragm US) 横隔膜厚の変化や動きの評価を通じて、人工呼吸管理中の呼吸筋機能を可視化する技術を紹介。呼吸離脱の評価にも応用できる知識を共有しました。 6. その他:EIT・4DCT・動的レントゲンなど 話題のモニタリング技術についてもご紹介しました: EIT(Electrical Impedance Tomography) :肺内換気分布のリアルタイム評価 4DCT :呼吸相に同期したCTで肺の機能的変化を観察 動的レントゲン(ダイナミックX線) :胸郭や横隔膜の運動を動画で確認 講義する側の学びも大きい 当科では勉強会やレクチャーの機会が多く、日々の業務の合間での資料作成は正直大変ですが、「教える」ことで得られる理解の深さは格別です。 今回の講義を通じて、私自身も改めて呼吸器管理の奥深さを実感しました。 参加者の先生方からは鋭い質問も多く、「早く呼吸器を触りたい!」という声も。とても活気のある時間になりました。 次回への展望 「人工...