「エラーは宝」から始まる医療安全:救急・ICUの現場が育てる安全文化

救急外来および集中治療室(ICU)は,生命の危機に瀕した患者を救命し,早期に適切な医療介入を行うための最後の砦です。

しかし,高度な治療技術や機器が集まる一方で,医療安全への配慮が不十分だと,二次的な事故や合併症が発生しやすくなります。
例えば,気管挿管や中心静脈ラインの挿入,人工呼吸管理など侵襲的処置が多いため,感染管理やデバイス関連合併症のリスクが常に存在します。

これを防ぐには,手技ごとのチェックリスト運用,ダブルチェック体制,超音波ガイド下穿刺の標準化などが有効です。

さらに,チーム医療の徹底が医療安全の要です。
救急外来からICUへ移行する際に,患者状態や治療経過,リスク要因を漏れなく伝達することで,継続した安全管理を実現します。

また,多職種カンファレンスの定期開催により,看護師や臨床工学技士,薬剤師らがそれぞれの視点で危険因子を指摘し,予防策を練ることが可能となります。

さらに,医療機器の取扱い教育やシミュレーショントレーニングを通じて,緊急時の手順ミスを減らし,スタッフ全体のスキルと連携を向上させることが求められます。

これらの取り組みが循環することで,救急医療・ICUにおける患者安全文化が醸成され,質の高い医療提供と職員の心理的安全性の両立が図られます。

今回2025年度医療安全推進月間の標語に応募し,採用されました。

『エラーは宝.隠さず活かす,学びの力』

マイナスイメージである『エラー』をプラスのイメージに変えることを考えました。
エラーを起こさないことが最も大事ですが,起こしてしまったエラーを活かして次につなげることが重要であると考えます。

救急医療および集中治療を行っていく上で,常に医療安全を念頭に活動をしていきたいと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

先日ブログでご紹介した新型コロナワクチン筋注方法について訂正があります

新年度集合写真

OB/OGからのコメントをいただきました。