第44回呼吸療法医学会学術集会

 皆様、こんにちは。本日は第44回呼吸療法医学会学術集会に参加されました当科 高橋先生からの報告です(以下高橋先生からの報告)!!

 今回、私が発表したのは「Corynebacterium ulcerans肺炎をV-V ECMOで救命した症例」です。要約すると、特に既往のない女性が、飼っている猫からCorynebacterium ulcerans肺炎に罹患し、通常の抗菌薬治療に反応するも、経過中に下気道閉塞を来し緊急V-V ECMO導入により救命し得たという内容です。

特に既往のない肺炎の患者さんの喀痰からCorynebacterium属のみが検出されたとき、皆さんならどのように判断されるでしょうか?一般的には常在菌として判断し治療対象とされることは少ないと思います。しかし、同菌種のなかでもCorynebacterium ulceransという恐ろしいものがいるというのはあまり知られていないと思います。この菌は動物から感染し、ジフテリア毒素を産生、気道に偽膜を形成することで、無気肺を主体とした呼吸不全を来します。この呼吸不全は多くの抗菌薬に反応を見せますが、重症例では、偽膜により下気道閉塞を起こし、死亡したという報告もあります。そのため、疑ったら早期に抗毒素薬を投与すること、気道緊急に備えてV-V ECMOが可能な施設への転院も検討することが大事となります。しかし、このような知識がなければ、適切な診断および加療をすることは難しいです。原因不明の肺炎で入院した患者の気管支鏡で偽膜形成があり、加えて動物との接触歴があるならば、本感染症を疑うきっかけになるかもしれません。

当日の発表でも多くの建設的な質問を頂き、座長の先生からも非常に有意義なご意見を頂きました。また会場の雰囲気も和やかで非常に気持ちの良い学術集会でした。

前橋赤十字病院は、県内各所から重症例が集約されるため、このような貴重な症例を多く経験でき、臨床のピットフォールとなる知見を明らかにすることが可能です。

ぜひ一度見学にいらしてみてはいかがでしょうか。


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