最近うわさのデルタ株ってどんなもの?ワクチンは効かないのか!?

こんにちは、丸山です。
新型コロナウィルス感染症は第5波に突入し、全国に再び緊急事態宣言が発令されてしまいました。昨今ニュースで耳にする「デルタ株」。これが第5波の原因だ!なんて言われたりしますが、実際のところ今までのものと何が違うのでしょうか?一番気になる”ワクチンが効くのか効かないか問題”含め、論文の紹介をさせていただきます!

まず一つ目は「デルタ株の特徴」についてです。今まで日本で流行っていたのはアルファ株と呼ばれるタイプでした。このアルファ株とデルタ株を比較した研究の紹介です。(The Lancet Infectious Diseases [Internet]. 2021 Aug 27 [cited 2021 Aug 28];0(0).)
今回の研究はイギリスのPHE(公衆衛生庁)が国全体から集めたビッグデータを用いて解析を行なわれました。2021年3月29日から5月23日までの間にアルファ株が34656例, デルタ株が8682例収集されました。時期が後になるほどデルタ株が増え、感染の主体となったようです。14日以内の入院リスクはデルタ株の方が2.26倍(調整後)高く、予防接種を受けていない人もしくは予防接種後21日未満の人の方がワクチン接種を済ませた人達よりデルタ株で入院するリスクが2.32倍(調整後)高くなっていました。ワクチン接種を済ませた人の間ではアルファ株とデルタ株で入院リスクの差はありませんでした。
前述の通り、デルタ株は罹患すると重症化しやすいですが、ワクチン接種によって重症化は抑えることができるようです。

デルタ株は今までのものより移りやすくて重症化する!という情報はニュースで頻繁に紹介されていると思いますが、ワクチンは効くのでしょうか?効かないという報道を時々耳にしませんか?
次の論文はそんな疑問に答えてくれます(N Engl J Med. 2021 Aug 12;385(7):585-594.)。
この研究もイギリスのビッグデータを用いて行われました。期間は2020年10月26日から2021年5月16日までで293393例のデータから調査されています。ファイザー製とアストラゼネカ製のワクチン両方合わせた結果になりますが、1 回接種後の有効性はアルファ株が48.7%、デルタ株が30.7%とデルタ株で顕著に低くなりました。2回接種の場合、ファイザー製の有効性はアルファ株で93.7%、デルタ株で88.0%と少し効きが悪いですが十分有効です。対して、アストラゼネカ製ではアルファ株への有効性は74.5%、デルタ株への有効性は67.0%とこちらもデルタ株で少し低下していました。さて、65%の有効率というのは”効かない”ということなのでしょうか?
実は私たちが毎年予防接種しているインフルエンザウィルスワクチンの有効率は50%程度で、WHOはワクチンの有効率について『50%』を基準として設定しており、有効率65%であれば十分効果のあるワクチンということになるのです!むしろ、開発された新型コロナウィルスワクチン達が優秀すぎるということになります。

以上、まとめますと
①デルタ株は罹患すると重症化しやすい!
②デルタ株でもワクチン接種すれば重症化は防げる。
③デルタ株は1回のワクチンでは予防効果不十分。
④デルタ株は感染力が強いけれど、ワクチンを2回接種すれば十分予防できる!

と考えていただければと思います。

また、上毛新聞で「群馬県のワクチン接種率が全国一!」という記事を見かけました。
『群馬県内の新型コロナウイルスワクチンの接種状況で、12~64歳の1回目接種率が26日時点で47.41%と全都道府県で最も高いことが27日、政府データに基づく県の集計で分かった。高齢者を含む県全体の接種率は1回目が60.98%で3位、2回目が46.52%で12位。今後は特に最近の新規感染者の4割を占める20~30代の接種率向上に力を入れる。県によると、12~64歳の1回目接種率は本県に次いで山口46.84%、熊本45.79%、和歌山45.26%などと続く。』(2021/08/28 上毛新聞より引用)
12-64歳の1回目ワクチン接種率が1位とのことで、大変誇らしく思います。
みんなでしっかり2回ワクチン接種を行い、集団免疫をつけて、このパンデミックを乗り越えていきましょう!
それまで、私たちは罹患した患者さんの治療に全力を注ぎたいと思います!


 

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