新型コロナウィルスとインフルエンザウィルス、どちらの方が手に残りやすいかご存知ですか?

丸山です。
 新型コロナウィルス感染の第3波がやってきましたが、そろそろインフルエンザの予防接種も始まる季節となりました。今回はコロナウィルス とインフルエンザウィルス関連の論文紹介です。タイトルは「Survival of SARS-CoV-2 and influenza virus on the human skin: Importance of hand hygiene in COVID-19」。京都府立医科大学の先生がヒトの皮膚に付着した新型コロナウィルス とインフルエンザウィルスの生存時間を調査した報告になります。
 大変興味深いテーマですね!とはいえ、生きている人の皮膚にコロナウィルスとインフルエンザウィルスをなすりつける訳にもいかないので、今回は死後約1日経過した解剖検体を用いて実験が行われました。ヒトの皮膚では新型コロナウィルス の生存時間が9.04時間、インフルエンザウィルスが1.82時間でした。コロナウィルス もインフルエンザウィルスも飛沫感染(くしゃみや咳など)が主な感染経路だと言われていますが、飛沫がついた手などを介して接触感染することも知られています。この皮膚付着後も長く生存できるという点が新型コロナウィルス が持つ強い感染拡散力の理由の1つなのかもしれません(あくまで個人の見解です)。この研究では同時にアルコール消毒の効果も検証しています。15秒間のエタノール(アルコール)に暴露することでどちらのウィルスも完全に不活化されたとのことでした。15秒というと手にアルコールを吹きかけてからゆっくり揉み込むくらいの時間になります。プラスチックや金属などでは新型コロナウィルス の生存時間は72時間(3日間)との報告もあります。日頃から行われているかと思いますが、外出して色々なものに触れて帰宅した後はしっかりアルコール消毒をすることがウィルス感染予防になります。アルコールがない場合は石鹸手洗いでも十分です。厚生労働省の新型コロナウィルスQ&Aでは石鹸で10秒揉み洗いをして流水で15秒すすぐとコロナウィルスは手洗い前の1/10,000まで数を減らすことができると述べられています。

 新型コロナとインフルエンザの同時流行(ツインデミック)が心配される昨今ですが、既にコロナ流行中に冬を越した南半球の国ではインフルエンザは流行らず激減したとのことです。コロナウィルス 対策に国民全体が取り組んでいるため、インフルエンザなどその他のウィルス感染の予防にもなっているようです。本日の論文では新型コロナウィルス よりインフルエンザウィルスの方が皮膚での生存時間が短いとのことですので、皮膚についたインフルエンザウィルスもコロナ対策の手洗い・うがい、アルコール消毒でバッチリ退散ですね! 

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