病院災害対策本部長の反省~前橋で震度5弱~

町田です。

本日12時28分頃、茨城県南部を震源とする地震が発生しました。

僕はそのとき病院内のATMに並んでいましたが、ドンッという強い衝撃とともに周囲から『緊急地震速報』の警報音が響き渡りました。
すぐに救急外来に走っていくと、すでにERリーダーの大瀧先生が情報収集をはじめて、ICUから応援で出てきた中村先生がてきぱきと指示をしています。


地震から2分、情報収集チームたち上げを正式に宣言し、テレビ、県内各消防本部、県内各救命救急センターに被害状況の確認を続けます。
しかしそこで「まずは院内の状況だよ!」という声が・・・そうでした。大事なことを後回しにしそうになってしまい、「すぐに各病棟に被害状況の報告を 。」と思っていたところで、「すでに全病棟安全確認が済んでいます。」という川井看護副部長からの報告を頂きました。こういう時の看護部のネットワークの強さをあらためて感じました。

情報収集を進めていく中で立川にある災害医療センターの小笠原先生から電話がかかってきて、「群馬の状況はどうですか?」という連絡がありました。実は群馬県庁が素早い判断ですでにEMIS(Emergency Medical Information System)を災害モードに切り替えてあったため、災害医療センター内にある日本DMAT事務局も動き出していたのです。
県庁への連絡、そして日本DMAT事務局への一報が遅れたと感じ、しかも当院のルールである「10分以内に災害対策本部を立ち上げるかどうか判断する」という10分も過ぎてしまっており、12時43分に災害対策本部立ち上げを決定して、12時45分に災害対策本部を設置しました。

その後すぐに不測の事態を想定して県内DMAT待機要請をメールに流し、各災害拠点病院が病院の被災状況をEMISに入力している情報、各消防本部への問い合わせ、日本赤十字社群馬県支部からの情報をもとに対応をしました。
EMISが入っていない病院への状況確認、被災者が発生したという情報が入った消防本部と情報共有しながら、発生した傷病者(当院本部が把握した人数は3名)が各病院に最終的に収容されたこと、全災害拠点病院の通常診療が可能であること、特に揺れの強かった東毛地区の各病院の被災がないことを確認し、14時25分に災害対策本部を解散しました。

もちろん一報が遅くなった反省から、群馬県庁、日本DMAT事務局への定時連絡は忘れずに行いました。


今日のポイントは「災害対策本部長を経験しての反省」です。
・災害対応マニュアルを早く完成して検証しないといけない。
・まずは自分の病院の被災状況を確認する。
・群馬県庁や日本DMAT事務局と素早くコネクションをとる。
・災害医療コーディネーターの活用を忘れない。
・とくに広範囲の災害のときは速攻で災害対策本部を立てる。

今回は上司のサポートがあり何とか本部の運営ができましたが、もし自分だけだったらと思うと反省点ばかりです。まだまだ修行が足りません・・・
今回の地震では被災者は少数でしたが、隣県では重傷者が発生したとのことです。皆様の1日でも早いけがの回復をお祈りいたします。


コメント

  1. お久しぶり?です~✌
    前橋市も地震で大きく揺れてましたね~。
    テレビの画面に前橋市の様子が映っていて、町田先生~大丈夫~と叫んでいました��ご無事で良かったです。
    ぐんまちゃんとドクターヘリの模型?被害に。��
    まだ安心はできません、余震などがいつ起きるか分からないのでねぇ。
    本日はお疲れ様でした。

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    返信
    1. ご心配いただきありがとうございます。
      災害対応の基本である『指揮命令系統』『関係各機関との連携』の確立について、まだまだ甘さがある自分の実力を痛感しました。これからはよりしっかり対応できるように努力いたします。
      ちなみに最近の地震続きで、医局の棚はだいぶぐちゃぐちゃになっています。身の回りの安全確保もきちんと行います。

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