キーワードで動く!~ERリーダーのマネージメント~

町田です。

ERのリーダーをしているときは、目の前のERのことばかりではなく、救急隊との連携、院内の状況を常に考えながら動かなくてはいけません。
急病の患者さんは日常の生活のなかで発生することがほとんどで、すぐそばにいる一般市民の119番通報から救急隊が動き始め、ERでの初療や決定的治療が行われて、最重症患者であれば最終的にICUでさらに治療が継続されます。

特に緊急度の高い患者さんであれば、医療介入の1分1秒の遅れが致命的になってしまうため、特に119番通報で「重症だと思われるキーワード」があれば、躊躇することなくドクターヘリを要請するようにいつも消防本部の通信指令課の方々にお願いしています。
ですがこれはドクターヘリの要請のみならず、救急隊からのホットラインを受ける立場になっても、早く病院に搬送して早期医療介入ができるような対応が必要です。救急隊からのホットラインの中で緊急度が高いキーワードがあれば、こちらから早期搬送をうながすこともあります。つまり詳細情報はあとからでも十分なのです。そしてそのキーワードをもとにERでは救急車が到着する前に必要な緊急処置の医療資器材と“ひと”の招集!そしてそれに続く決定的治療をおこなっていただく専門科、そしてICUのメンバーに連絡を入れます。

例えば、救急隊のホットラインで「接触時、心肺停止。VF(心室細動)です!病院まで5分です。」と言われたら、キーワードは『VF』と『5分』です。VFには早期除細動が有効のため、除細動は絶対に行ってもらいつつも、救急隊が行ってもよいその他の特定行為(点滴、挿管)に関しては、現場滞在時間を延ばすよりも病院での決定的治療開始を早める方が有利と判断し早期搬送を指示します。ERでも『VF』のキーワードから、心肺補助装置の準備とともに心臓血管内科にすぐに心臓カテーテルを行っていただく準備を始めてもらいます。
たった2つのキーワードでここまで動くのです。いえ、動かなくてはいけません!

いつもキーワードから予測したとおりにすべてが流れるとは限りませんが、ERに着いた瞬間から初期診療が始まり、最速で決定的治療を開始、そしてICUに引き継ぐために、ERのリーダーはキーワードからその傷病者にとってその時点でベストと思われるマネージメントを行う必要があります。
すべては1人でも多くの重症患者さんの救命&社会復帰のために・・・

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