2013年11月30日土曜日

明日から師走です。(群馬県ドクターヘリ&ドクターカー前橋11月活動実績速報付)

町田です。
群馬はずいぶん朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。朝早くにヘリポートにあがると、空気が澄んでいて遠く雪をかぶった浅間山がきれいに見えます。しかし北風も強くなってきていて、11月はドクターヘリが屋上に戻ってこられない日も増えてきています。
 
明日から師走ですね。
救急科医師は院内急変で病棟までダッシュ、ドクターヘリでも要請があればヘリポートへダッシュ、着陸後に患者さんのいるところまでダッシュ・・・走っている機会が多いですね
12月はさらに走る機会が増えそうですが、体力が落ちないように仕事後にランニングをしたり休日に山登りをしたりなど、各自それぞれで健康維持に努めています。
 
 
☆群馬県ドクターヘリ11月活動実績速報☆
〇要請:93件(3.10件/日)・・・先月-9件、昨年同月+22件
〇出動:69件(2.30件/日)・・・先月+1件、昨年同月+9件
 ・現場出動             51件
 ・施設間搬送           5件
 ・出動後キャンセル      13件(キャンセル率:18.8%、1件はドクターカー高崎と同時要請)
 ・その他               0件
〇未出動:24件
 ・重複要請             11件(栃木県ドクターヘリで1件、群馬県防災へリで3件対応)
 ・救急隊現着後キャンセル    7件
 ・天候不良              1件
 ・運航時間外               5件
 ・医師判断              0件
 ・その他               0件
現在群馬は最も日没が短い時間になっています。ドクターヘリ要請受付も16時を切っています。
時間ぎりぎりまで常にスタンバイしていますが、日没との戦いもあるので早期要請をお願いします。
月別要請(上段)・出動(下段)数
 
 
<要請消防本部>要請/出動:93/69件
・前橋市消防             25/21件
・高崎市等広域消防        20/13件
・吾妻広域消防           19/18件
・利根沼田広域消防          6/4件
・渋川広域消防             5/3件
・伊勢崎市消防             4/3件
・多野藤岡広域消防          4/2件
・太田市消防                      4/2件
・桐生市消防                 3/1件
・館林地区消防             2/1件
・富岡甘楽広域消防          2/0件
*北関東広域連携:なし

各地域の医療事情はありますが、ヘリ利用のバランスが少し崩れてきています。要請が多すぎる地域はありません。早期医療介入、そして決定的根治治療の早期開始のために、もっと有効に利用していただいてよいと感じています。


 <搬送先病院>傷病者:56名(多数傷病者事案 なし)
・26名:前橋赤十字病院・・・U-turn率:46.4%
・ 5名 :群馬大学医学部附属病院、高崎総合医療センター
・ 4名 :伊勢崎市民病院
・ 3名 :太田記念病院
・ 2名 :原町赤十字病院、群馬中央総合病院、沼田病院、群馬県立心臓血管センター
・ 1名 :公立藤岡総合病院、日高病院、済生会前橋病院、沼田脳神経外科循環器科病院、西吾妻福祉病院
群馬県内には赤十字病院が2つあります。
こちらは原町赤十字病院で、吾妻地方の災害拠点病院です。
11月は内因性疾患への要請もきちんとありました。
意識障害、胸痛など急変する前に早期医療介入することで、患者さんの予後が大きく変わります。
 
 
☆ドクターカー前橋11月活動実績速報☆

群馬県ドクターヘリの補完事業として行っているドクターカー試行事業(前橋市消防局管内)ですが、11月は日没時間が早くなり待機時間が増えましたが、要請数が試行事業が始まって以来最低数でした。ドクターヘリと同様にスイッチを押していただけないと動けないルールに縛られています・・・救急車を断らずに受けている立場からの意見ですが、この数字はあまりにも少なすぎるのではないでしょうか?
 
<11月>
〇要請:1件
〇出動:1件
〇未出動:0件

2013年11月29日金曜日

前橋から世界へ!

本ブログは今日までに約58万ヒットをいただいておりますが、うち5%ほどは海外からのアクセスをいただいております。前橋で行っていることが世界にすぐに伝わることに驚いているとともに、自分たちが日々活動していることに対する責任も強くなっていることを感じています。

様々な情報ネットで世界中が密接につながっている今だからこそ、もっと前橋からも世界に情報を発信することも必要です。
昨日までダラスで開催されたAHA ReSS 2013について3日間にわたり報告させていただきましたが、今年度は実に5つの国際学会への参加報告をさせて頂いています。小倉医師を筆頭に、宮崎、鈴木、藤塚各医師がヨーロッパ、アメリカ、アジアにわたって、前橋での成果を発表してきています。また世界から最新の知見についてしっかりと学んできています。

日々の診療に追われていると視界が狭くなりがちですが、世界中に自分たちが行っていることを示すことでまた先への大きな道が広がっていきます。そして今この時代にベストと思われる治療を提供することで、患者さんにしっかり還元することが医療者として使命であります。

『前橋から世界へ・・・』これがみんなの合言葉です!


<参考>本ブログで紹介した今年度の国際学会の参加報告です。

☆14th ECTES in Lyon
http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/05/european-congress-of-trauma-and.html

☆EURO ELSO 2013 in Stockholm
http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/06/euro-elso-in-stockholm.html

☆APELSO 2013 in Beijing
http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/10/apelso-in-beijing.html

☆ACEM 2013 in Tokyo
http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/11/the7th-asian-conference-on-emergency.html

☆AHA ReSS 2013 in Dallas
http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/11/aha-ress-2013-in-dallas-vol1.html
http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/11/aha-ress-2013-in-dallas-vol2.html
http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/11/aha-ress-2013-in-dallas-vol3.html

Dr.Miyazaki at ACEM
Dr.Suzuki at APELSO 
Dr.Fujizuka at AHA ReSS
Dr.Ogura at AHA ReSS






2013年11月28日木曜日

AHA ReSS 2013 in Dallas に参加しました。vol.3(最終回)

藤塚です。
先日、当科小倉Drと一緒に、AHA ReSS 2013 in Dallasに参加・発表してきました。

 
Dallasは、ケネディ大統領暗殺場所としても有名で、帰国日に50週記念が開催されていました

現地では、DARTといわれる路面電車を使い移動していました。あまり治安がよくないとのことでしたが…
色々ホテルでのボヤ騒ぎ、時差ボケによる睡眠不足などありましたが、一番僕らを満たしてくれたのは…
『whataburger』! 巨大なバーガーで肉がうまい…下手な現地ステーキよりもうまく、小倉Drともに何度も足を運び、胃もたれと戦いました…

 

 
学会で私は、
『Continuousintravenous administration is the method of epinephrine administration recommended for treating anaphylaxis』
という題名で、アナフィラキシーにおけるエピネフリン持続静注の有効性を発表してきました。今後日本でも拡大研究し発表する予定です。



色々ご質問いただきましたが、拙い私の語彙力もあり、皆さんに理解していただいたかわかりませんが、ぜひ論文にしてくださいとのご意見も頂きました。

また日本の先生方も多く勉強しており、普段話すこともできない上の先生たちとも話ができ、よい機会になりました。

今後も、病気の人を少しでもよくするための研究や発表していき、よりより治療をしていきたいなと感じました。

 
留守中に勤務し頑張ってくれた先生方、現地で色々お世話になった先生たち、どうもありがとうございました。

2013年11月27日水曜日

AHA ReSS 2013 in Dallas に参加しました。vol.2

皆様。こんにちは。救急科の小倉です。

去年に引き続き、今年もAmerican Heart Association Resuscitation Science Symposium 2013 in Dallas U.S.A. (AHA ReSS 2013) にて演題を発表してきました。米国ダラス…秋空が奇麗な都会の街でした。前回のブログでは、AHA ReSSについてご紹介しましたが、今回は私の発表演題についてご紹介します。


昨年は、独自に開発したTraumatic Bleeding Severity Score (TBSS)にて外傷性出血の重症度を定量化し、重症外傷における大量輸血療法の予測精度について発表してきました。TBSSは①患者年齢、②収縮機血圧、③腹部超音波検査所見、④骨盤骨折重症度、⑤血清乳酸値の5項目により、出血の重症度を評価し、大量輸血療法になる可能性を予測します。
iPhone®版のTBSS計算アプリケーションも開発されており、App Storeから無料でダウンロードが可能となっております


https://itunes.apple.com/fr/app/tbss/id641017029?mt=8


今回は、このTBSSをもとに大量輸血のリスクを、低リスク群(TBSS12点:大量輸血療法必要確率3%)、中リスク群(13TBSS16:大量輸血療法必要確率35%)、高リスク群(17TBSS大量輸血必要確率95%)の三群に層別化し、「高リスク群では迷わず大量輸血虜法を施行、低リスク群では大量輸血療法を施行せず、中リスク群では経時的にTBSSを反復評価し大量輸血に備えよ」というClinical Decision Ruleを提唱しました。
☆発表演題:New Clinical Decision Rule to Activate Massive transfusion Protocol
 for Severe Trauma Patients
そして去年に引き続き、今年も小倉はYoung Investigator Award (若手研究者賞)を受賞するに至りました。大変名誉で恐悦至極であります。

現在、このClinical Decision Ruleを用いた大量輸血療法による重症外傷患者の予後改善効果の検討が、院内倫理委員会の承認を得て、前橋赤十字病院高度救命救急センターと自治医科大学本院付属救命救急センターにて行われています。
☆自治医科大学救急医学教室HP → http://www.jichi.ac.jp/emer/rinsyou.html
このClinical Decision Ruleを用い、大量輸血が必要な患者さんを適切にかつ迅速に選択し、遅滞なく充分量の輸血を行うことで、彼らの出血死を防ぐことができると期待されているのです。

正直なところ、昨年はAward受賞後、浮き足立って終わりました。我ながらに醜い限りです。しかし私は今、このAwardの受賞を重く受けて止めています。それだけ重要な医学的問題を扱っているだと認識できたからです。次のチャレンジは、もう既に始まっています。今後も診療を重ね、最善の医療が提供できすよう、努力してゆきます。前橋高度救命の誇りと日本男児のプライドを胸に、また来年も世界を土俵に戦ってゆきたいと思います。このような小さな努力の積み重ねにより、医学は確実に進歩してゆくはずですから。

Learn more, and Challenge again.


我々の挑戦に、終焉はありません。

2013年11月26日火曜日

AHA ReSS 2013 in Dallas に参加しました。vol.1

こんにちは。皆様、お久しぶりです。小倉です。

先日、町田先生のブログでちょっと取り上げていただきましたが、小倉は今年もAmerican Heart Association Resuscitation Science symposium 2013 in Dallas U.S.A. (AHA ReSS 2013)で演題発表してきましたので、報告いたします。
 
 
 
American Heart Association Resuscitation Science Symposiumは、代表的な心肺蘇生法であるAdvancer Cardiovascular Life Support (ACLS)Basic Life Support (BLS)の元となる各国の研究データを持ち寄り、皆で議論する場所です。今年はテキサス州ダラスでの開催で、日本を代表とするアジア人の参加が目立ちました。採用演題数からみて、特に日本の研究データの採択率は高い方にあると見受けられました。
小倉は昨年から引き続き二回目の参加となったわけではありますが、今年は当科の藤塚先生と一緒に演題発表してきました。



学会では非常に多くの蘇生分野の議題が機論されており、小倉も非常に勉強になりました。特に、心肺停止蘇生後脳症に対する治療では、驚くべきデータが発表されました。それは、脳低体温療法と脳平温療法とで脳機能予後に有為差がなかったというものでした。この結論のみから判断すると、「心肺停止蘇生後脳症の管理では、脳を低温にして脳代謝を落とすことが重要なのではなく、脳の代謝が上がらないように平温に保つことが重要なのだ」ということになります。

これは我々からすると、大きな発見です。脳低体温療法は我々の施設でも積極的に導入し、心肺停止蘇生後脳症の患者様の脳機能予後改善のため、日々努力しています。しかし実際のところ、脳低体温療法における患者さんの管理は簡単ではなく、低体温にすることによる副作用も考慮しながら、慎重に行っています。低体温に保つと患者さんは非常に寒がりますし、必要以上に利尿がつくことで体内のイオンのバランスが崩れたり、また血圧が保てなくなったり、血液が固まりにくくなったり、感染症に弱くなったり…と、様々なところに低体温の影響が出ます。それら患者さんの変化を、我々はICUでモニターし、遅滞なく対応し、患者さんの脳機能の回復のため、努力するわけです。

しかし、「低体温ではなく、発熱をさせない程度の平温で管理する」、ということとなれば、患者さんに起こる副作用の発現確率も減少するでしょう。非常にメリットが大きいと予想できるのです。これはまだある一国の研究データによる発表であるため、その結果を鵜呑みにすることはできませんが、それでも、我々を驚かせるには十分なデータでした。その他の国における外部検証の結果が待たれるところですが、このデータは間違いなく、次回のガイドライン改訂に大きく影響してくるものと思われます。


今回の報告では脳低体温療法について取り上げましたが、これ以外にも興味深い発表が多くありました。最新のデータを持ち寄って、各国のスペシャリストが議論するこのAHA ReSSは、我々にとって非常に刺激的な学会です。この学会で議論されていることが、数年後のガイドラインに反映され、世の中に発表されてゆくのです。その現場を見て、議論を聞き、自分の頭で考える。我々も自施設データを積み重ねている施設です。このデータを世界に発信していけるよう、今後とも努力していこうと思います。


次回はこのAHA ReSSに発表した我々の演題についてご紹介します。

2013年11月25日月曜日

自分たちでも何とかする努力!~重複要請にたちむかう~

町田です。

昨日はドクターヘリの広域連携について書かせていただきました。
しかしながら重複要請においては、連携ばかりではなく自県内でも次事案に対応する努力も必要です。

今月もあと5日を残すところですが、ドクターヘリは85件の要請をいただいております。
しかしながら日没が短くなった影響で待機時間ギリギリや少し過ぎた要請に対応ができない未出動が増えており、また11件は重複要請に対して対応不可能となってしまっています。

しかし重複要請の11件すべてに早期医療介入がなされなかったわけではありません。
3件は群馬県防災ヘリ・ドクターヘリ的運用で対応し、他の2件も防災へリ出動の準備が始まっていました(離陸前にキャンセル)。
群馬県ドクターヘリは基本的に1 doctor制であるため、今までは重複要請の際に出動できる2nd doctorがいることを確認し、それからどの手段で行くか検討し、そしてその手段に出動を打診する・・・そんなことをしている間に時間ばかり過ぎていました。
しかし今はちょっと変わってきました。まず重複要請が入ったら、防災航空隊に一報です。そこで準備を始めていただき、救助仕様から救急仕様に帰る時間も含めて約10分ちょっとで離陸です。もちろんキャンセルになったりドクターヘリでピストンになったりして防災ヘリ出動が空振りになることもありますが、防災航空隊の皆さんは「空振りでも気にしなくてよいので、どんどん情報を下さい!」といつも笑顔でおっしゃってくれます。

もちろん広域連携も大切であり、今月も栃木県ドクターヘリに1件応援出動していただきました。


県内の大部分の場所においては、自分たちで第2陣を送った方が早い場合が多いのも事実です。隣県との連携を強化するとともに自県のシステムももっと強化していく必要がありますね、
「直近からのドクターヘリ要請と隣県からの応援要請が同時に来た時に、直近をドクターカーに切り替えて、隣県にドクターヘリが向かう・・・その間に県内からまた要請があった時にすぐに防災ヘリが向かう・・・」このように早期医療介入のために次々と手段を講じれるような強さを持たなくてはいけません。実際に日本にはこのような活動を常に行っている地域がありますからね!

 

===予告===

いよいよ明日から藤塚・小倉両先生が参加した『AHA-ReSS 2013 in Dallas』の報告です。
お楽しみに・・・

2013年11月24日日曜日

ドクターヘリの広域連携の在り方について考える・・・

町田です。

とびっきりの笑顔の1枚!
(給油からの帰りにパチリ)
11月もあっという間にあと1週間を切りました。2年目の初期研修医の皆さんもいよいよ研修も大詰めを迎えています。この時期は各自の選択でローテーションをしている人も多く、当科にもルーチン研修に加えて選択で再び当科での研修を行っている研修医が来ています。
選択で当科を選ぶと、蘇生、外傷初療の勉強、そして救急車同乗実習をへて、当科での研修の最後にドクターヘリ同乗実習を行っています。プレホスピタルの活動を知っていもらうことで、実際に病院で患者さんを受ける立場になった時に、病院前からの活動を意識して病院での診療を継続できる医師に育ってもらいたいですね。


ドクターヘリが全国に配備されてくるとともに、いま大きな話題の一つに「広域連携」があります。
群馬県にドクターヘリが導入される前から、県境に近い消防本部では隣県ドクターヘリと協定を結んでいたり、隣県ドクターヘリ同士が応援協定を結んでいました。そして群馬県、栃木県、茨城県の北関東3県にドクターヘリが配備されてから、『北関東広域連携』というドクターヘリの広域連携としては先駆けとなる協定が結ばれました。
☆北関東広域連携 → http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/01/blog-post_10.html
その後、全国さまざまな地域で広域連携が結ばれてきており、特に重複要請で次事案に対応できない時に隣県ヘリが飛んできてくれることで、さらに一人でも多くの患者さんに早期医療介入が行えるようになってきています。

しかし、そのような中で大きな問題が生じてきていることも事実です。
『北関東広域連携』では、「自県ヘリが出動できない時に隣県ヘリを要請してよい」という文言が入っています。これは①北関東3県が横並びで、②各基地病院が各県の真ん中にあり、③基地病院から50Km圏内の重なった部分にちょうど県境がある、という条件のもとで成り立っています。つまり県内のほとんどの地域でまずは自県ヘリを呼んだ方が早いので、自県ヘリがいけない時は隣県を呼ぼうというルールが成立するのです。

しかしこのルールは必ずしも他地域では当てはまりません。
基地病院の近くに県境があり、隣県の直近の地域の医療圏が基地病院側であったとします。消防との応援協定により隣県でもその地域に迎えたドクターヘリが、広域連携の「自県ヘリがいけない時に隣県ヘリを要請してよい」という文言により急に時間がかかる自県のヘリが要請されるようになることがあります。
10分で行ける隣県ヘリ、30分かかる自県ヘリ・・・重症な患者さんの立場であれば隣県も自県も関係ないと思うのが現場サイドの考え方です。しかしそうもいかないのが事実のようです。もちろんドクターヘリの運用予算の半分は道府県が負担しているので、自治体の意見にも耳も傾けなくてはいけないのですが、同じ医療者から「自県が手薄になるから隣県に行くな」等という意見が出ると正直悲しくなります。
群馬県西部は広域連携の範囲から外れていますが、「群馬県のヘリが栃木県に行ってしまい手薄になってしまう」ということよりも、「栃木県のヘリが東部に応援してくれることによって、西部に群馬県のヘリが出動できる可能性が広がる」ことを理解してくれています。


「自県内でも他県からやってきていた傷病者であったら消防はヘリをキャンセルするでしょうか?」「県医師会に登録している先生は県外の人は診察しないでしょうか?」「市民病院はその市以外の人を診ないでしょうか?」「赤十字病院は社費や寄付金を払っていない人を診ないでしょうか?」「国立病院は外国人を診ないでしょうか?」・・・そんなことは決してしていないはずです。

県境はありますが、ひとは自由に動いています。そして僕たちにはその患者さんがどこ出身であろうと関係ありません。病気やけがで困っている人に手を差し伸べるのが僕たちの役目です。


現在中国地方では知事会が主導で推し進めたドクターヘリの広域連携が運用されており、県境関係なく一番近いドクターヘリを要請するルールになっています。この流れこそ本当に見本とすべき広域連携だと感じています。
紙上では埼玉県も北関東広域連携に加わる予定で動いている書かれてありました。そうなってくると北関東広域連携ももっと複雑な50Km圏内の重なりになります。その時に思い切って県境関係なく近いドクターヘリが要請できるシステムになれば、そして周囲の各県も含めた大きな広域連携になれば、それが患者さんにとって最善の道になるように思います!(もちろんその時は『北関東』という言葉を外すことになると思いますが・・・)


厚労省、行政、消防、病院、地域住民と様々な部門に関わる問題なので一概にこの内容が正しいとは言えないことは分かっています。でも「一番近いところが行けばいいですよね!」と単純に思いませんか?
北関東広域連携はやはり他の地域に当てはめてできるものではありません。そのかわりに中国地方の広域連携はすべての地域に当てはまってできるものだと感じています。いつの日かオールジャパンで連携できることを目指して・・・



*参考までに・・・(HEM-Net報告書より抜粋)

<ドイツにおける救急ヘリコプター(ADAC,DRFなど)>

ドイツの救急制度で「15分ルール」とでもいうべき規則がある。救急法の施行規則の中に初期治療は15分前後の時間内に着手しなければならない旨の制限が定められている。 

救急ヘリコプターは最大15分、平均8分で医師を患者のもとへ送りこむ。したがって各機の担当する出動範囲は半径50km以内で、必ずしも行政区画にしたがっているわけではない。むしろ山や峠など自然の障害によって決まることが多く、市町村の境界を越えて飛行している。

南部の国境付近、アルプスを越えた地域への飛行は、スイス(REGA)との間に協定を結び、ヘリコプター救急を依頼している。

2013年11月22日金曜日

ドクターヘリ&カーに動態監視システムを導入しました!

中村です。
 
群馬県ドクターヘリは,117日から,ウェザーニューズ社のFoster co-pilotを研究事業の一環として搭載を開始しました.


また,1119日には,各消防本部や県医務課にそれぞれアカウントとパスワードを配布し,ドクターヘリの動態を確認出来るようにしました.これにより,無線でしか把握出来なかったドクターヘリの動向がリアルタイムにパソコン画面で把握出来るようになりました.
ドクターヘリの位置【MAEDH】がリアルタイムでわかります。
これはとある日のドクターヘリの軌跡(青線)を表示したものです。

また,前橋赤十字病院 高度救命救急センターは,ドクターヘリの補完的事業として前橋市消防局の協力のもと,ドクターカーを運用しています.ドクターカーには,104日から同様なシステムを搭載しています.
ドクターカーのリアルタイムの位置【MAEBASHI】と軌跡(青線)を同時に表示することもできます。

 今後,ドクターカーとドクターヘリが同時に出動するようになれば,どちらが傷病者や患者にとって有効な手段であるかを判断することが可能となるのではないかと期待しています.


広域災害医療搬送訓練では,同システムを用いたDMAT参集(車両+ドクターヘリ)や搬送状況(陸路+空路)をリアルタイムに確認することが可能であり,安全面においても有効であると検証されています.個人的には,局地災害時でも救急車両やDMAT車両,ドクターヘリに搭載し,現場指揮本部で確認が出来るようになると救護所の運営計画等を事前に立てることが可能となりより適切な運用が出来るようになるのではないかと考えています.
今年度の内閣府広域医療搬送実動訓練でも試用されました。
千葉県南部ドクターヘリ(君津中央)【KIMDH】と群馬県ドクターヘリ(前橋日赤)【MAEDH】が名古屋に向かう途中で、
長野県西部ドクターヘリ(信州大学)【SHINDH】と災害調査ヘリ【SAIGAI2】はすでに現地で活動中の様子です。


2013年11月20日水曜日

合言葉は『30分以内で接触&60分以内で病着』です!~ドクターヘリ症例検討会を開催しました。~

町田です。

10月に台風が続いた日々がウソのように11月は風が強い日はあるものの比較的穏やかな日々が続いています。東京では例年の倍以上の小春日和が記録されているようです。
と言うことを書いていたら、あっという間に強風で屋上ヘリポートから群馬ヘリポートでの待機となりました。群馬の冬期間の強風に悩まされる時期が始まりました・・・


昨日は当院で『平成25年度第3回群馬県ドクターヘリ症例検討会』が開催されました。今回も多くの方に集まっていただきました。

<内容>
①群馬県ドクターヘリ活動実績報告

全国における群馬の活動レベルもお話させていただきました。
もちろんまだまだ一層の努力が必要です。
 
②症例検討(5例)

いつも現場出動した救急隊とドクターヘリスタッフからの発表がほとんどでしたが、
今回は防災航空隊や通信指令課の方々にも発表していただきました。
今回は症例検討の中に防災ヘリとの連携や連続要請に対する対応など、連携の大切さについて主眼を置いた事例も取り上げました。

③日本航空医療学会の演題紹介
ドクターヘリによる予後の成績をこれからもっと消防関係者に示していきます。
予測生存率50%以下の重症外傷では、消防覚知から30分以内と30分を超えた場合では生存退院率に有意差をもって差が付きました。とくに予測生存率25-50%の範囲では、消防覚知から30分以内にドクターヘリスタッフが傷病者に接触していた場合、当院に搬送した全例で生存退院しています。


群馬県は離陸から20分以内で全県域をカバーすることができるため、要請が早ければほとんどの症例において覚知から30分以内に傷病者に医療スタッフの接触が可能です。特に大量出血などでは何も治療されないと30分で約半分の方が亡くなってしまいます。
また医療スタッフの現場活動時間も出来るだけ短縮することで、決定的治療を行える病院までの搬送を消防覚知から60分以内で行うことができます。

高エネルギー外傷では、決定的治療(手術や止血術など)を開始するまでの時間が1時間を超えるか否かによって生死が分かれると言われています。この最初の1時間はGolden Hourと呼ばれています。消防の覚知から要請までの時間短縮、医療の現場活動時間の不必要な延長を避け、『消防覚知から30分以内での傷病者接触、60分以内での病院到着』を合言葉に、消防と医療が連携して活動していきましょう。

2013年11月18日月曜日

まだまだ続いています。~福島から宮城へ足を延ばして~

町田です。

伊豆大島やフィリピンでの台風被害に対して、今この時間でも緊急援助隊や自衛隊など多くの方が災害救護活動を続けています。まだ行方が分からない方が1日でも早く見つかること、そして1日も早い復興を祈っています。


先週末の福島での日本航空医療学会における懇親会では復興のシンボルである『フラガール』の皆様も登場し、全国から参加した方々の心をいやしていただきました。
 フラガールの登場(左写真)に会場も一気に明るくそしてさらに温かい気持ちになりました。
今年度会長の福島県立医大田勢教授(中写真)と、来年度会長の大阪大学嶋津教授(右写真)とともに!
 

福島での学会に引き続きそのまま宮城に足を延ばしました。そこで出会ったのは震災で家族を失った方のまだ残る心の深い傷と、震災後に試練と戦い続けた方の魂の記録でした。
東北に足を運ぶとまだまだ震災の傷が残っています。そしてそこで暮している方々の本当の願いを遠くにいるよりも感じることができます。まだまだ東日本大震災の支援は続けていかないといけないですね。物資の資源だけではなく皆さんの声に耳を傾けることも・・・

宮城に行くことを誘っていただいた東日本大震災直後の石巻で一緒に活動した先生の言葉が耳に残っています。『被災地に入って活動したけれども、被災地の方々の思いをどれだけわかってあげられているのだろうか・・・』 まだまだ続いています。

2013年11月17日日曜日

第20回日本航空医療学会に参加しました。

町田です。

ただいま藤塚先生、小倉先生の2名はアメリカ合衆国のダラスに滞在しています。2013年度のAHA-ReSS(Resuscitation Science Symposium)で前橋での実績を発表しています。先日のアジア救急医学会に続き前橋から世界へ発信中です。この様子は帰国後に報告してもらう予定です。


日本では11月15,16日の2日間(前日のビジネスミーティングを入れると3日間)、福島市で第20回日本航空医療学会総会・学術集会が開催されました。主催は福島県立医科大学医学部救急医療学講座でした。福島県立医大の皆さんには、東日本大震災発災直後よりDMAT活動や原発事故対応の拠点となり、特に震災直後は大学病院自体が水が使用できないなど大変であったのにもかかわらず参集したDMATやドクターヘリスタッフに本当の細やかな気配りのいき届いた受け入れ態勢を整えていただいており、いまでもスタッフの皆さんには頭が下がる思いです。
今回の学会でもその当時にお世話になった皆様との再会がありなんとも胸が熱くなるとともに、学会自体も福島の皆様の温かいおもてなしにあふれた会となりました。


当院からも中野センター長、中村先生、小池看護師、城田看護師、町田が、評議員委員会、座長、演題発表などで参加しました。また群馬主担当で東日本大震災で東北に出動した機長、CSからもワークショップで発表がありました。
<群馬県ドクターヘリスタッフからの発表>
・中野センター長:【一般演題】災害時の活動
 座長
・中村先生:【パネルディスカッション】地域におけるドクターヘリの有用性と課題
 『防災ヘリ、県警ヘリとの連携』
・小池看護師:【基地病院ポスター発表】
 座長
・城田看護師:【基地病院ポスター発表】
 『群馬県ドクターヘリ』
・鶴本機長:【ワークショップ】災害時におけるドクターヘリ-運航会社からの提言-
 『広域DMATにおけるドクターヘリの位置付け』
・小野寺CS:【ワークショップ】災害時におけるドクターヘリ-運航会社からの提言-
 『DMATとCS』
・町田:【一般演題】外因性疾患
 『重症外傷症例に対するドクターヘリの効果』
     【一般演題】運航システム
 『群馬県において救急現場9割、J-turn6割が意味すること』
 


今回の学会のテーマは『災害とドクターヘリ』ということで、特に運航会社の皆様のいろいろな意見が聞くことができたのは大きなことでした。また学会の前日には運航会社向けの災害対応講習会が開催され、当院スタッフも講師として参加しました。災害対応のみならず普段の活動においても医療と運航会社で同じ認識を持つことは、その活動をより安全に行う上で大切なことですね。

また会場では全国の皆様方からたくさん声をかけていただき、ドクターヘリを通じてより顔の見える関係が気づけたことを実感しています。実際に活動している方々にはすでに県境の壁はありません。ドクターヘリの活動も早く県境を気にせず、一部地域の連携で導入されている一番早く現場にたどり着けるヘリが要請できることが日本中に広がる時代が早く来てほしいですね。

2013年11月15日金曜日

ドクターヘリ研修で伝えること!

町田です。

週前半に山間部で雪が降り、北部にヘリで出動すると手前が紅葉の山、奥が雪をかぶった山と、何とも不思議な景色に出会えます。しかしこの秋は寒暖の差が大きく木々もそろって色づくことができないようで、例年に比べて紅葉の美しさが足りない気がしています。


当院では現在救急医師10名でフライトドクターを担当していますが、もちろんさらなるフライトドクターの育成が必要です。
当科内の規定でフライトドクターの同乗研修を始めるためには、様々な知識・技能、そして資格が必要です。

☆当院のフライトスタッフの資格はこちら
http://www.gunma-redcross-icuqq.com/dr-heri/content06.html

つまり研修を始める時点では、患者さんの診療に関してはほぼ問題なく対応できる状態です。
しかしドクターヘリは診療だけではミッションは成り立ちません。離陸から患者接触までいかに時間を短縮するか、患者さんにとってより有効な搬送先をどう選択するかなど、運用面でのコントロール力も求められます。


群馬のドクターヘリ片道平均時間は約8分です。その中で医療情報のために医療スタッフが使用できる時間も限られています。(長々と医療スタッフが無線を占有していると、現場上空についたのになかなか直陸出来ないことがあります。)安全と早期着陸を優先にしながら、機内で準備したり着陸してからの活動方針を決めるための必要最低限の医療情報を短時間に入手するコツが必要です。
また着陸した地点からその地域の医療圏と病院所在地が頭に思い浮かぶくらいの地理・地勢の知識も必要です。(ということで当院では群馬県および近隣のメディカルコントロールに精通していることもフライトスタッフの資格に入れています。ここはとても大事です!)

医療以外のことを教えるためにもちろん指導医の高いレベルも求められます。ただ救急診療が出来るだけでは良いわけではありません。指導する立場では、診療とともに他機関との連携、診療以外の面での調整をすべて含めて育てていかなければいけません。
現在独り立ちしているフライトドクターも常に勉強中です。

2013年11月14日木曜日

『医師救急医療業務実地修練』に参加しました。~“合同研修”編~

町田です。
平成25年度医師救急医療業務実地修練に参加させていただきました。
11/7,8の札幌医科大学附属病院での“施設研修”に引き続き、11/11-13の3日間は国立病院機構 東京医療センター内の研修センターでみっちりと講義とワークショップが行われました。

☆本修練の目的と施設研修(札幌医科大学付属病院)の様子はこちらをご覧ください。
http://drheli-gunma.blogspot.jp/2013/11/blog-post_8.html



<プログラム>
~1日目~
・講義&ワークショップ:救急医療の法的問題
・講義&ワークショップ:救急部門の管理運営

~2日目~
・講義:小児患者の標準治療と最新治療
・講義:病院前救護体制と救急体制
・ワークショップ:災害対策
・ワークショップ:テロ対策

~3日目~
・講義:地域救急医療とメディカルコントロール
・講義:地域において救急医療施設が果たすべき役割(総務省消防庁)
・講義:地域において救急医療施設が果たすべき役割(厚生労働省医政局)
・講義:外傷患者の救急医療機関への振り分け
・実技:救急医療における外傷患者の観察と判断
・ワークショップ:地域における外傷救急医療体制の構築
・講義:救急医療の感染症対策について


3日間びっちりと講義とワークショップが続きましたが、どの項目もすべて大切なことであっという間に時間が過ぎていきました。救急医療は様々な機関や法律、決まり事を知っておかないことが多々あることを改めて気がついたとともに、そのことを知っていることでより地域の救急体制を充実させる可能性もあるような気がしました。
全国各地の救急の先生方と意見を交えながら顔の見える関係が出来た事も本研修の大きな成果であったと思います。
夜は昼よりもさらに熱いディスカッションが・・・
いろいろな地域のことを知ることで、自分たちの地域の実情がより見えてきます!
救急医療は一つの病院だけの問題ではなく、消防や他病院との連携が絶対に必要です。地域全体が一体となって初めて市民の皆さんの安全を守ることができることを実感しました。まさに『救急医療は地場産業』ですね!

群馬は大きな問題を抱えています。救命救急センターが3病院、2次医療圏が10地域に対してまさかのメディカルコントロール協議会が11もあります。今回の研修でも2次医療圏よりメディカルコントロール協議会の数が多いことをしっかりと突っ込まれました。群馬に戻ったらやや希薄とも思える病病連携の強化(まずは顔の見える関係作り!)と、メディカルコントロールの枠を超えた県全体で手を取り合った救急体制の確立に向けて何かアクションを起こしたいと考えています。

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