災害医療マネージメント

高度救命救急センター長・集中治療科部長・救急科部長の中野実です。

ブロク初登場です。部長も何か書いてみませんかとの町田副部長のお誘いにより少し古い話題となりましたが、東日本大震災への救護の話をさせていただきます。

院内災害対策本部

3/11の発災直後よりほぼ二週間近くは、前橋赤十字病院の災害対策本部内で、当院の救護班10班の出動・帰還させるにあたっての後方支援にかかりきりでおり、現地出動はしませんでしたが、災害急性期から亜急性期へと移行して後方支援業務も安定した4/9~4/14に日赤救護班として釜石地区で活動してきました。この出動・帰還の様子は、すでに町田副部長がブログに書かれたとおりです。
http://drheli-gunma.blogspot.com/2011/04/12.html
http://drheli-gunma.blogspot.com/2011/04/icu.html


その後、5/21~5/25まで石巻赤十字病院の中にある石巻圏合同救護チームの本部支援として2回目の出動をしてまいりました。石巻圏の状況は、復旧のされた地域とあまり進んでいない地域の二極化が激しいのが特徴でした。

復旧の進んでいない旧北上川以東。
まだ田んぼに車や船が置き去りです。満潮時には水没するからです。

女川地区です。
左上の沖から津波がやってきて、撮影した50m近い高台まで水没したそうです。
当然、写真の建物は全て水没したそうです。

本来医療救護チームの本部は行政主導で行政の建物の中に設置されることが一般的ですが、石巻市では市役所や市の職員も多大な損害を被ったために、地域で唯一医療機能が残った石巻赤十字病院内に設置され、石巻赤十字病院の石井正先生が宮城県災害医療コーディネーターという立場で統括をされており、その補佐が仕事でした。

石巻の医療救護体制派は、中野が支援に行った時で、常時25チーム分の医療班が救護に来ており、それぞれのチームに、石巻の状況を説明し、どの地域の診療をしてもらうか采配するのが本部としての仕事で、今回中野は実際に被災者の診療は行いませんでした。しかし、災害医療は被災者の診療だけが全てではありません。災害医療では診療は「医療支援」であり、「『医療支援』を行う前に『医療マネージメント』を確立すべき」というのが災害医療の鉄則です。


当院は群馬県における基幹災害医療センターであり、災害時には災害医療支援はもとより、災害医療マネージメントもできる集中治療科・救急科医師が到達目標であります。

福島県内の患者さんを受け入れる活動の際に、参集したたくさんの群馬DMATの
統括を当院DMATが担当させていただきました。



☆訂正の連絡です。

町田です。
6月1日のブログで群馬県ドクターヘリ5月実績速報を報告させていただきましたが、数値に一部誤りがありました。

<要請元消防本部>要請/出動
・前橋市消防 18/13件→17/12件・・・1件減りましたがこれでも圧倒的に要請数が多いです!
・渋川広域消防 7/5件→8/6件・・・大変失礼しました。
(他消防本部については誤りはありませんでした。)

<搬送先病院>
・前橋赤十字病院 13名→21名・・・自分の病院の数を間違えるとは?
・総合太田病院 2名→1名・・・1名でも受入れ感謝しております。
・館林厚生病院 0名→1名・・・大変失礼しました。
(他病院については誤りはありませんでした。)

6月1日のブログの数値も訂正させていただきました。本当に申し訳ありませんでした
尚、詳細な実績につきましては週明けに群馬県ドクターヘリホームぺーーじに更新する予定です。

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