救急科勉強会
2025年11月4日、前橋赤十字病院で「救急セミナー」が開催されました。
今回は、飯塚病院からお二人の医師をお招きし、救急・集中治療の現場で注目されている2つのテーマについて講演が行われました。
第一部:「“治せる”だけで立ち向かえない時に」——救急医が知るべき緩和ケアの視点
講師は、飯塚病院 緩和ケア科 河内咲先生。
私たち医療者は「患者さんにより良い医療を提供すること」を使命としていますが、すべての患者さんが“治る”わけではありません。
ときには、どんなに最善を尽くしても回復が難しい状況に直面することもあります。
「緩和ケア」という言葉は一般の方にもなじみがありますが、必ずしも「看取り」と同義ではありません。
病気による身体的・精神的な苦痛を和らげ、患者さんがその人らしく過ごせるように支えるのが緩和ケアです。
しかし、救急医療の現場は一分一秒を争う状況が多く、患者さんご本人が会話できないほど重症であることもしばしば。
その中で「患者さんにとって何が最善か」を考えるのは容易ではありません。
河内先生は、医療者がどのようなステップを踏みながら、患者さんの価値観や希望を尊重し、
それに合った医療を提示していくのかを、実例を交えてわかりやすくお話しくださいました。
“治すこと”と“支えること”の両立を考える貴重な時間となりました。
第二部:「明日から実践できるECPRの患者選択戦略」
続いては、飯塚病院 集中治療科 河内章先生による講演です。
テーマは、ECPR(体外式心肺蘇生)の患者選択について。
ECPRでは、「誰に適応するのか」「どのタイミングで導入するのか」といった判断が非常に重要になります。
一般的には、ELSOガイドラインで示される心電図波形、発症から搬送・治療までの時間、年齢などが指標となります。
しかし、実際の臨床現場では、病院到着後に“元気に帰宅できる患者さん”にはどのような特徴があるのかを見極める必要があります。
河内先生は、2025年夏に国際学会で発表された自身の研究内容をもとに、現場での判断ポイントを具体的に解説されました。
さらに講演の後半では、「国際学会に挑戦してみよう」というメッセージと、発表に向けた実践的なアドバイス(Tips)も紹介。
後期研修医だけでなく、スタッフ全体のモチベーションを高める内容となりました。
終わりに
今回の勉強会には、当院の緩和ケア科 小谷先生、心臓血管内科 佐々木先生にもご多忙の中ご参加いただき、
大変盛況な会となりました。
河内章先生、河内咲先生、貴重なお話をありがとうございました。


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