“命てんでんこ” ~「自分の命を大切にして、もっと多くの命をつなぐ」~

町田です。
ここのところのあたたかな気候で、群馬県内の平野部での桜が咲き始めていますが、今朝の前橋市内は北からの強風に加えて雪が舞っています。赤城山や榛名山も雪雲に隠れています。
山間部で雪道の運転になるかもしれませんので、いつも以上に安全運転を心がけてください。


皆さんは「命てんでんこ」という言葉を聞いたことがありますか?

「てんでんこ」とは、過去に何度も津波被害をうけた三陸地方に伝わる言葉で、「各自」「めいめい」の意味があります。もともとは「大地震が来たらすぐにめいめいで高台へ逃げろ」という意味で「津波てんでんこ」という教えがあり、そこから「自分の命はなんとしてでも自分で守れ」という意味を込めた「命てんでんこ」という言葉が生まれたようです。
こうした言葉が受け継がれてきた背景には、過去の地震・津波の際に家族や知人を助けにいったことで避難が遅れ、大切な命を落としてしまった方が多くいらっしゃたからです。

大地震が起きたら取るものもとらず各自てんでんばらばらに高台に逃げることで、結果として全員が助かるというという意味が「津波てんでんこ」「命てんでんこ」には含まれていて、もし結果として他人を助けられなかったとしても、それを非難してはならないという不文律もこの言葉には含まれています。

そして、いざというときにおのおので避難してもいい状況を平時からしっかり準備しておくことが大事だということも、この「命てんでんこ」という言葉には含まれているとのことです。
これは病院という組織だけではなく、家族ともしっかり話しておく必要があります。いざというときに家族がバラバラで避難しても、あとできちんと連絡が取れたり再会できるように事前に約束事を決めておく必要があります。


被災地の方々とお話しすると、「生きている」ことの大切さいつも教えていただきます。僕の知り合いで東日本大震災の際に津波や火災を目の当たりにした元消防職員の方からも、「まず生き延びて、次に何ができるか考える。生きていることでもっと多くの命を救うことができる。」と何度も語っていただきました。
医療者にとっても「患者さんを目の前にして逃げていいのか?」という葛藤があります。ここのところ多くの自然災害が発生し、そのような決断を迫られることがないとは言い切れません。東日本大震災では市民や患者の命を助けるために最後まで勇敢に活動して命を落とした方々も多くいらっしゃいます。その勇気をたたえ後世に引き継ぎながら、いざそのような時には「命てんでんこ」という言葉を思い出し、これからも多くの命を救うために“自分の命を守る”ための決断をしたいと思います。


僕にとっての「命てんでんこ」は、「自分の命を大切にして、もっと多くの命をつなぐ」ことです。このことを大切にして、これからも家族や医療にかかわっていきたいと思います。
皆さんも「自分の命を大切に」して、いまのこの大変な状況をのりきっていきましょう。

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