首都直下地震に空から挑む!?~「令和元年度政府大規模地震時医療活動訓練」~

町田です。
今年度も「政府大規模地震時医療活動訓練」の空路地域医療搬送に企画の段階から関わらせていただきました。本訓練の企画に当院スタッフが関わってだいぶ長くなりますが、訓練で取り入れて検討した内容が実災害時にどんどん活用されてきています。このような大切なミッションに関わらせていただいていることに強い責任感と同時にプレッシャーを感じながら約半年を過ごしました。

今年度は首都直下地震で1都3県(東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県)に甚大な被害が生じた想定での訓練で、当院からは空路地域医療搬送に関わる全体の企画および神奈川県を町田が、埼玉県を藤塚医師が担当し、訓練当日はコントローラーとして小池看護師、滝沢看護師、内林救急災害事業課長にも参加してもらいました。


大規模災害が起こり多数の傷病者が発生してしまったときに、1人でも多くの人々の救命を目指し傷病者を近くの拠点病院やさらに被災が少ない地域の病院に搬送する必要が出てきます。その医療搬送を地域医療搬送と呼びますが、その中でもヘリコプターなど空路を利用した搬送を空路地域医療搬送として取り扱います。
時間帯や気象条件にもよりますが、大規模災害時には消防、警察、自衛隊、海上保安庁、そしてドクターヘリなど多くの機関のヘリコプターが参集し、そして様々な搬送ニーズが発生します。そのニーズと搬送手段、搬送先とのマッチングが空路搬送の有効性に大きくかかわってきます。


災害時には医療搬送のみならず、空路搬送が果たす役割は
多岐にわたり、ヘリ保有各機関の連携がカギになります。

実際に災害時にヘリコプターを飛ばすためには、被災地に参集できる場所があるか?給油できるか?どのヘリがどこに向かうか?など平時からの準備が最も大切になります。
この企画に関わらせていただいてから、訓練当日よりもその前の数か月の準備が大切なことに気がつきました。災害時に参集できる場所がない!給油できる場所がない!という自治体もあり、その場合はその想定のまま訓練に挑みます。その中で本当に災害が来た時に困らないようにこれから何をするべきなのかを関係者の皆様で話し合うことが一番の訓練の成果になっています。

今年度担当させていただいた神奈川県でも、何度も神奈川県、横浜市、ドクターヘリ基地病院の担当の方と話し合いを行い、訓練当日も県庁に横浜・川崎市防災航空隊、神奈川県警察航空隊、海上保安庁、陸・海・空上自衛隊の方が集まり県庁の担当者を中心にヘリコプターの運用を行いました。準備の段階で課題をしっかり把握して、それを踏まえて他機関が一堂に介して意見昂あkんを行うことができたのは大きな収穫となりました!
神奈川県庁に設置された「航空機運用調整班」。
このような機会に集まって顔の見える関係つくりが大切です!

ところで首都圏には狭い範囲に複数機のドクターヘリが配備されています。しかし1都3県は人口密集地であり、少なくとも首都圏のドクターヘリは全機参戦してもまだまだ足りないくらいです。
そのため今回は企画の段階で首都直下地震初動体制を発案したり、実際に参集拠点や給油地点を確保できない地域に対して周辺県よりアプローチするなど、本震災が起こった時に想定される不足の事態を踏まえたうえで訓練に臨みました。

来年は東京オリンピック・パラリンピックがあり、首都直下地震が発生する確率も決して低くはありません。東京都にドクターヘリが導入されていない現状で、空路地域医療に関しては起こってから考えるでは遅いのです。このような訓練を通して万が一のことが起こった時にすぐにヘリによる医療搬送のスイッチが入れられようにすでにシミュレーションを始めています。
非被災地は被災地に勢力をつぎ込むためにどうするか考えるべきです。
大きな災害があってもドクターヘリの応援を渋るここ数年の傾向が心配です。

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