「片付け」は次の始まり!

町田です。
新年度から新天地に移るスタッフの引越しが始まっています。医局の机から物がなくなるのは何とも寂しい姿ですが、また新しいスタッフを受け入れるための準備でもあります。
ひと昔前にドラマか歌謡曲で「この別れは新しい出会いのためさ」というフレーズを思い出してしまいました。でも別れはやっぱりつらいですね・・・


前回はかなり私見ではありましたが「準備」の大切さを書かせていただきました。
そして今回のテーマは「片付け」です。

何かを行うときに準備も大切ですが、行った後の「片付け」にその人柄を感じることがあります。
特に医療現場では針やメスなどの取り扱いを間違うと自分や他人を傷つけてしまうものを使用することがしょっちゅうあります。救急外来では注射針や縫合針を使用しない日はありません。そしてこのような危険物を使用した後は、専用のごみ箱に捨てることになっています。

ここで重要なことは「この危険物を誰が捨てるか?」になってきます。
手術室のように専門の看護師さんとの役割分担ができている部署を除いて、“使用した医師”が自ら捨てるのが大原則です。

しかしながら時々処置室をのぞいてみると、処置台に縫合器、鑷子、鋏とともに無造作に針やメスが置きっぱなしになっている姿を見かけます。
「きっと誰かが捨ててくれるだろう」という思いがあるのかもしれませんが、針やメスの刃は小さいものでごみ箱に捨てる時に指先に刺さるリスクがあります。本人が自ら捨てればリスクを背負うのは1人だけですが、他の人に捨ててもらおうとするとその人もリスクを背負わせることとなります。

また処置の後に危険物だけではなく、その他のごみもしっかり片づけて医療器材がしっかりまとまっていれば、片付けも早まりすぐ次にその場所や処置台を使うことができます。


実はドクターヘリでの活動にこのことがとても重要となります。
ヘリは救急車内や現場そのもので医療行為を行うことがあります。万が一そのような場所に針を忘れたり血の付いたガーゼを置きっぱなしにすれば、救急隊員のみならず一般市民がけがや感染をする可能性があります。また現場で必要な診療が終わり次第すぐに患者さんを病院に搬送するため、ゆっくり片付けの時間をとる暇はありません。「診察と同時に片付けをして搬送に向けて準備をする」ことが求められます。

またドクターヘリは早期治療開始のため要請が入ったらすぐに出動することができるように、事案が終了し基地病院に戻ったらすぐに機内の片付け、掃除、資器材の補充、給油をしていつでも要請に応えられるようにしています。


救急医療において「片付け」をすることは、次の準備を始めていることになります。
ドラマなどでは華やかそうに見える緊急処置や手術ですが、そのためのきちんとした「準備」「片付け」があってはじめてできるもので、そのことをいつでも怠ってはいけません(でも「準備」「片付け」のシーンはドラマでは絵になりませんけどね・・・)。

新年度に向けてスタッフと自分への戒めを込めた2回にわたる連載でした!

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