やっぱり「準備」が大切なのです。

町田です。
桜の便りがちらほらどころか一気に伝えられる今日この頃ですが、群馬では相変わらず強風が吹きつけており、先日ドクターヘリで山間部に出動したときも山々から煙が昇るかの如く花粉が飛びかっていました。


ここのところ訓練、学会、研修会、教育コース等の参加報告が続いていましたが、たまには違うことを書こうと思います。

医師になってなんやかんやでそろそろ20年目を迎えるところですが、当然のことながら20年前と指導や教育方法が変わってきています。僕自身は教育コース(BLSやJATECなど)では‟成人教育”の基本を守って行っていると思いますが、臨床現場で目の前の患者さんの命がかかっていると、いまだに後輩に(時には先輩にも)に厳しい言葉をかけてしまうことがあります。
「見て覚えろ!」「自分できちんと鍛えろ!」といまだに行ってしまう癖がありマニュアル作りや勉強会開催も苦手なため、教育者としては失格の烙印を押されることが多い今日この頃ですが、あえてここ数年思い続けていることを今回は書かせていただきます。


僕は医師になって出身大学病院に勤務し始めた時に、恩師の先生方に「準備が大事」「準備ですべてがわかる」と口酸っぱく言われてきました。手術や手技をしようとするときに、準備が甘いとさせてもらえなかったことがあります。いまこのようなことをすると逆に指導者が注意される時代になっていますが、患者さんの立場を考えれば当然のことで、その時にしっかりとそのようなことを教えていただいた大学病院の先輩方には今でも感謝しています。

現在はどのような手技を行うにも使用するモノがパッケージング化されており、「〇〇セットを出して」で手技を始めようとする光景をしょっちゅう見ます。手技を始める前の準備(体位、消毒、麻酔)をどうするのか、具体的にどのような資器材が必要なのか、処置中の患者容態の監視はどうするか、トラブルシューティングはできるか…などきちんとイメージできているか心配になります。

これは病院の中だけではなく、ドクターヘリ・カーの同乗研修、さまざまな研修などでも、その研修がはじまる前にしておくべきことをおろそかになっている傾向があるように感じます。
研修中に多くのことを学ぶことは素晴らしいことですが、その研修が始まる時点で最低限知っておくべきことがあるはずです。(例;ドクターヘリであれば、群馬県内の消防本部や災害拠点病院の場所、ヘリ内の無線の取り扱い方など。)

医療者は時として患者にメスで体に傷をつけたり、体の深い部分に針を刺したりなど、とてもリスクの高いことを行わないといけません。もちろん患者さんに実際に手技を行う前にシミュレーターなどで訓練を重ねられれば良いのですが、実際のところはすべての手技がシミュレーターで訓練できるわけではなく、患者さんに手技をさせていただきながら上達していくことが求められます。
そのなかでも事前にしっかり「準備」をおこたらず、‟事前にリスクを軽減する努力”、‟トラブルを防ぐ努力”、‟発生したトラブルを最小限に抑える努力”、‟いかなるトラブルに対応するためのトラブルシューティングをしっかりイメージして臨む努力”を怠ってはいけないと感じる今日この頃です。


教育者としてはいまいちなところがありますが、少なくとも「準備」をしっかりする大切さはしっかり伝えていきたいと思います。

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