“脳卒中はスピードが命”です!~「ISLSコース」受講報告~

藤井です。
826日に前橋赤十字病院で開催された、ISLSコースに参加させていただいたためご報告いたします。

ISLS(Immediate Stroke Life Support)の略で、脳卒中疑いの患者が救急搬送された際の初期診療のコースです。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)のテキストにも脳卒中の項目はありますが、他にも心肺停止、徐脈、頻脈、急性冠症候群と内容は盛り沢山であり、2日間コースでも時間の都合から脳卒中のシナリオは省かれているのが現状です。
ACLSの心肺停止に特化したコースがICLS(Immediate Cardiac Life Support)、脳卒中に特化したコースがこのISLSとなっています。

今回は531日に刊行されたばかりのガイドブック2018を用いてのコースでした。
主な更新項目は「血管内治療」についてです。従来の脳梗塞発症4.5時間以内のt-PAに加え、発症6時間以内の血管内治療が予後を改善することが多くのRCTで示されており、より専門家へのコンサルトまでの適切で迅速な初期診療の重要性が強調されていました。どうせ4.5時間超えそうだから、と言ってのんびりやるのではなく、常に予後改善の可能性を諦めずに迅速な初期診療を行う姿勢が大切だと再認識しました。


さて、このISLSコースですが、脳卒中のコースなので意識レベルの評価(JCSGCSのほかECSFOUR score)や神経所見の評価(NIHSS、脳ヘルニア徴候等)はもちろんですが、何よりまずはABCの評価と安定化を行うことの重要性が強調されていました。
これは脳卒中に限らず全ての患者診察の基本となることであり、6時間という短いコースの中で実際にシミュレーターを使って体験できるのは非常に大きな学びになると思いました。


今回は前橋赤十字病院の研修医1年目の先生が多く参加しており、皆さん大きな学びになったのではないかと思います。
挿管したことない人、鎮痛・鎮静薬を使ったことない人、降圧薬を使ったことない人と様々でしたが、自分たちで評価し、自分たちの裁量で処置や薬剤の投与を行う経験は、必ず日常診療に即つながってくると思います。当院のみならず、他の施設の研修医の先生方にもぜひ受講を検討してもらいたいコースだと思いました。

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