新病院での体制vol.1 「前橋ドクターカー日赤」

小橋です。
新病院への移転が無事に終わり通常業務と同じ体制に戻りつつありますが、まだ新病院の環境に慣れておりません…


今回は「前橋ドクターカー」についてのお話をさせていただきます。

前橋市では20132月から前橋市消防局と連携し、「ドクターヘリ補完的事業としてのドクターカー運用」を開始しました。
当時は荒天などの運航時間外のみにドクターカーの運用を行っていましたが、20163月からはドクターヘリの運航時間内もドクターカーの運用を開始、さらに20183月からは群馬大学医学部付属病院もドクターカー(前橋ドクターカー群大)の運用を開始しました。

そして6月、新病院への移転と共に当院ドクターカー(前橋ドクターカー日赤)も新たな体制に変わりました。


○ピックアップ方式からステーション方式へ

ドクターカーの運用方法はピックアップ方式とステーション方式に分けられます。

ピックアップ方式は近隣の消防署などから救急車を出してもらい、それに同乗して現場進出する方法、ステーション方式は病院内に救急車・消防職員が駐在し、要請と同時に現場進出する方法です。ピックアップ方式は人的資源・金銭的資源の節約になるという利点がある反面、出動までに時間を要するという欠点があります。一方、ステーション方式の利点・欠点はその逆になります。

旧病院ではドクターカー要請と同時に約500m離れた前橋市消防局から救急車を出してもらっていた(ピックアップ方式)のですが、新病院では日中、常に救急隊員と救急車が院内に控えており、要請とほぼ同時に出動することが可能になりました(ステーション方式)。
これにより、ドクターカー要請から出動まで、2-3分の短縮が実現しました。この時間短縮によりさらなる早期の医療介入が実現され、また、今まではドクターヘリに頼っていたちょっと遠距離の事案でもドクターカーが有効に活用できるのではないかと考えています。


○ドクターカーが現場に先着する可能性も

ドクターカーの活動は現場救急隊との連携が必要不可欠です。傷病者がどのような状態か、どのような処置が必要か、先着した現場救急隊と連絡を取り合って作戦を立てながら現場に向かいます。現場では先着救急隊と協力しながら診療・病院選定・搬送を行っていくため、先着救急隊の存在はとても大きいものになっています。

新病院に移転し、要請から出動までの時間が短縮されたことで、現場救急隊の到着後すぐにドクターカーも現場に到着することが増えると考えられます。現場救急隊の観察・情報収集が不完全な状態でドクターカーが到着、または現場救急隊が到着する前にドクターカーが傷病者のもとに到着してしまうこともありえます。
要請内容と実際の傷病者の状態が大きく違うことや、交通事故などの現場などまだ安全確保がされていない現場に進出する可能性もあり、今後は単に診療を行うだけでなく、我々も救急隊と同等の現場活動ができなければなりません。


新病院への移転により医療介入時間の短縮は確実に達成できますが、医療介入時間の短縮と患者さんの予後改善は必ずしも結びつくものではありません。
救急隊との連携を深め、より質の高い診療を行うことで少しでも患者さんの予後改善に努めていきたいと思います。

コメント

  1. 小橋先生、町田先生、いつもお世話になっています。
    前橋市史消防局の勝守です。
    前橋ドクターカー運用に携わっている者として少し個人的な意見をコメントさせて頂きます。
    先生達医療スタッフと一緒に出動することで今まで以上に現場から医療機関との連携が密になることを期待しています。
    現場に出た後の反省会や救急ワークステーションに勤務していることで診断結果など一緒に確認できることなど・・・・
    ドクターカーが出動することで早期医療介入して傷病者の予後改善だけでなく、救急隊員のレベルアップにつながるよう我々も頑張りたいと思っています。

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    1. 町田 浩志2018年9月2日 11:02

      勝守さま、平素より大変お世話になっております。ワークステーション方式が始まり、特に若手スタッフが消防職員と接する機会が増えたことがとてもうれしく感じております。以前のように時間外のコースに参加する者が少なくなっている今、実臨床の場面でディスカッションする機会を増やしていって、その内容がさらなるドクターカー運用の充実につなげていきましょう。これからもよろしくお願いします。

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