『第23回日本脳神経外科救急学会』に参加しました。

小橋です。
2/2-/3にかけて、奈良県で開催された第23 日本脳神経外科救急学会で発表を行ってきたので報告いたします。


今回、僕はパネルディスカッション「ドクターヘリは脳神経外科救急になにをもたらしたか」で、「脳神経外科救急における病院前救急診療の意義について」という演題で口演を行いました。


ドクターヘリというと患者を搬送するための手段と考えがちですが、最も重要なことは早期に医師・看護師が患者に接触し、気道・呼吸・循環の安定を図ることです。
群馬県ではドクターヘリで搬送される患者の10-15%が脳血管疾患です。麻痺や呂律障害で要請されることもあれば、心肺停止で要請され、病院でCTを撮影したらくも膜下出血であった、などという事案も散見されます。

脳出血・くも膜下出血では高度の意識障害から呼吸の異常をきたすことも多く、早期搬送に加え医師・看護師による早期医療介入が重要になってきます。また、脳梗塞では決定的治療であるt-PA投与、血管内治療までの時間を短縮させるため、早期搬送が重要になってきます。


今回の検討では病院前での接触時に心肺停止であった症例は、医師・看護師の医療介入により全例で自己心拍再開を得られており、また、救急車搬送よりもヘリ搬送の方が早期に決定的治療を開始できているという結果が得られました。

ドクターヘリが要請されるような疾患は重症が多いのですが、群馬県では適切な早期医療介入により気道・呼吸・循環の安定が図れ、また、早期医療搬送により適切な決定的治療が行えていることがわかりました。

ただ、脳出血やくも膜下出血に比べ、脳梗塞は発症から救急要請までの時間が長いこともわかりました。脳出血やくも膜下出血は高度の意識障害や卒倒で発症することが多いのですが、脳梗塞は呂律が回らない、手足が動かしにくい、といった症状のため「しばらく様子を見る」ことが多いようです(実際カルテを読むと「しばらく様子を見ていたが改善しないため救急要請した」といった記載が多く見受けられました)。


我々医療従事者による早期医療介入も重要ですが、早期決定的治療時間を短縮するには今後、市民への啓蒙活動も重要ではないかと考えられます。

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