被災県の負担を減らした迅速なドクターヘリ参集にむけて・・・~「HEM-Netシンポジウム」参加報告~

町田です。
先週末の関東ブロックDMAT訓練に引き続き日本DMAT隊員養成研修にインストラクターとして参加させていただきました。今回は先輩インストの参加が少なかったためかなんと7コマも担当しましたが、受講された全国の皆様が研修終了後に隊員資格を得られるようにいつもより一段と高い緊張感を持って臨むことができました。


隊員養成研修の最終日だけ早上がりさせていただき、12月1日に全国町村議員会館で開催された「HEM-Netシンポジウム」にパネリストとして参加しました。

今回のテーマは「大規模災害時におけるドクターヘリ運用体制の構築と連携協力」で、僕は平成28年熊本地震を遠く離れた東京でドクターヘリに関わる調整業務を行った経験をもとに強く感じたことをお話しさせていただきました。

(*鹿児島の野口先生より写真を拝借しましたm(__)m)

 

災害時においてドクターヘリが活躍する場面が増えています。熊本地震においても多くの医療搬送が行われました。
しかし他機関の公共ヘリと異なりドクターヘリは多くの道府県、様々な民間企業との交渉事が多く、それを被災県にすべて任せてしまっては被災県の負担が多すぎるとともに迅速な初動はかなえることができません。これはこの1年で2つの大きな訓練の空路搬送調整の企画をしましたが、1か月近くかけて行う調整を実災害時は発災直後から1日レベルで行わないといけないという体験をしたからわかる実感です。

“すべては被災県の負担を減らすために”、被災地外でドクターヘリ運用主体である厚生労働省と連携を取りやすい立場での『ドクターヘリリエゾン』のような組織は、特に大規模災害時には不可欠ではないかと強く感じました。


まもなく厚生労働省から「災害時におけるドクターヘリ運用体制の指針」が発布されます。
もちろん指針が出たらそれでOKではなく、その指針に沿って各地域でどのようにうまく運用できるか調整しなくてはいけません。

しかしあらためて考えていただきたいことがあります。(ここからはあくまで私見ですが・・・)
東日本大震災の時は本当に困っている被災地のために全国のドクターヘリが被災地にやってきました。その後ドクターヘリが全国にさらに増えましたが、増えるに従って「被災地に向かうことよりもどのヘリが残ってその地域を守るか?」という調整の方に主眼が置かれている気がします。当然これだけ全国にドクターヘリが配備されれば、どのエリアまで被災地にヘリを投入するか、そのエリア内での出動・待機ヘリの調整は必須となるでしょう。しかしながら、最優先するのは「いかに早いタイミングで被災地外からドクターヘリを被災地内に投入できる状態に持っていく」ことです。

そのために災害時のドクターヘリ運用の仕組みへの精通、各都府県・運航会社・関係各機関との柔軟な連携ができる人材育成も必要と感じました。机の上で決まったことを生かすも殺すも最後はソフト面の充実にかかっています!

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