Euro ELSO “Adult ECMO for Respiratory Failure & Septic Shock” (in Stockholm) 参加報告。
ご無沙汰しております.救急科 原澤 です.
だいぶ遅くなってしまいましたが,先日(10月5日〜8日),海外での研修(トレーニングコース)に参加して参りましたので,簡単ですがご報告いたします.
ECMO; Extracorporeal Membrane Oxygenation(体外式膜型人工肺)とは?…
すでに何度かブログにも登場しているかと思いますが,ざっくり解説すると,呼吸状態が非常に悪い患者さんに対して,通常の治療(呼吸不全であれば,人工呼吸器を用いた管理など)では対応しきれない,つまり生命の維持ができない,という状況に対して,大量の血液を体外の回路に取り出し,人工肺と呼ばれるものを通すことで酸素を血液中に供給し,それを体内に戻すことで,生命維持をしようという発想のものです.
この治療自体は比較的古く(1950年代)から行われてはいたのですが,様々な要因で,なかなか普及していませんでした.回路の構造の改善や,人工肺の性能向上などの要因もあり,徐々に管理の方法が確立されてきていたところで,2009年に生じたインフルエンザの爆発的流行が生じました.そこで生じた複数の重症患者さんの治療にこのECMOが用いられ,良好な治療成績となったため,それをきっかけとして,世界中に広がっていこうとしています.
ただし,かなり専門的な知識・技術を要する治療でもあるため,「どの病院でもどんどんやってね」という治療ではありません.設備・スタッフの充実し,管理に精通した施設でなければできない治療といえます.
当院はその管理を本格的に学び,治療を行っていくためにプロジェクトチームを立ち上げ,2013年より活動を開始しています.現在,治療成績としては海外に劣らない結果となっています.
私もそのプロジェクトチームの一員として関わらせていただいており,今回,ECMO管理の質のさらなる向上のため,また現時点での世界基準を学ぶため,海外で開催されるトレーニングコースに参加してきました.
Euro ELSOとは,ELSO (Extracorporeal Life Support Organization)という体外循環についての世界的学会の,ヨーロッパ支部のようなもので,そこの主催で今回のコースは行われました.
2015年10月5日〜8日の4日間,北欧はスウェーデン,ストックホルムにあるカロリンスカ研究所で開催されました.参加者は25名,世界各国から参加者が来ていましたが,なんと日本人が10人も!日本からの参加者の皆さんもまた,全国各地,大学病院から市中病院,成人ICUの先生から小児科の先生まで,様々な方が参加されていました.
コースの内容は,基本的な講義が1日と少し,残り半日と少しがケーススタディ(どんなことがあった→どう対処しますか?というような,実例に基づいた議論)でした.残り2日間は,患者さんのモデル(人形)と実際の器械を使ったシミュレーションを1日,もう1日は実際に器械を組んで触っていじってみてというwet lab(ウェットラボ)を行いました.
講義はもちろん勉強になりましたが,豊富な症例の経験を活かしたケーススタディは非常に参考になる点が多かったです.シミュレーションとwet labは楽しい雰囲気の中で行われましたが,実際に管理をしていくために必要な要素がたくさん盛り込まれていて,また実際に手を動かしてみることで,まだまだトレーニングが必要な部分が多いことを改めて実感する機会となりました.
コースだけでなく,カロリンスカ研究所附属病院のECMO治療を行っている設備を見せていただいたり,見学の案内をしていただいたりと,貴重な経験をたくさんさせていただきました.
専門的な話は難しいと思いますので端折らせていただきますが,こういった貴重な海外でのコース参加の経験を活かすために,当院での治療内容やスタッフ教育に反映させていきたいと思っています.
次回へ続く・・・
だいぶ遅くなってしまいましたが,先日(10月5日〜8日),海外での研修(トレーニングコース)に参加して参りましたので,簡単ですがご報告いたします.
(写真の患者さんは実物の人間ではありません・・・ご安心を!) |
ECMO; Extracorporeal Membrane Oxygenation(体外式膜型人工肺)とは?…
すでに何度かブログにも登場しているかと思いますが,ざっくり解説すると,呼吸状態が非常に悪い患者さんに対して,通常の治療(呼吸不全であれば,人工呼吸器を用いた管理など)では対応しきれない,つまり生命の維持ができない,という状況に対して,大量の血液を体外の回路に取り出し,人工肺と呼ばれるものを通すことで酸素を血液中に供給し,それを体内に戻すことで,生命維持をしようという発想のものです.
この治療自体は比較的古く(1950年代)から行われてはいたのですが,様々な要因で,なかなか普及していませんでした.回路の構造の改善や,人工肺の性能向上などの要因もあり,徐々に管理の方法が確立されてきていたところで,2009年に生じたインフルエンザの爆発的流行が生じました.そこで生じた複数の重症患者さんの治療にこのECMOが用いられ,良好な治療成績となったため,それをきっかけとして,世界中に広がっていこうとしています.
ただし,かなり専門的な知識・技術を要する治療でもあるため,「どの病院でもどんどんやってね」という治療ではありません.設備・スタッフの充実し,管理に精通した施設でなければできない治療といえます.
当院はその管理を本格的に学び,治療を行っていくためにプロジェクトチームを立ち上げ,2013年より活動を開始しています.現在,治療成績としては海外に劣らない結果となっています.
私もそのプロジェクトチームの一員として関わらせていただいており,今回,ECMO管理の質のさらなる向上のため,また現時点での世界基準を学ぶため,海外で開催されるトレーニングコースに参加してきました.
Euro ELSOとは,ELSO (Extracorporeal Life Support Organization)という体外循環についての世界的学会の,ヨーロッパ支部のようなもので,そこの主催で今回のコースは行われました.
2015年10月5日〜8日の4日間,北欧はスウェーデン,ストックホルムにあるカロリンスカ研究所で開催されました.参加者は25名,世界各国から参加者が来ていましたが,なんと日本人が10人も!日本からの参加者の皆さんもまた,全国各地,大学病院から市中病院,成人ICUの先生から小児科の先生まで,様々な方が参加されていました.
コースの内容は,基本的な講義が1日と少し,残り半日と少しがケーススタディ(どんなことがあった→どう対処しますか?というような,実例に基づいた議論)でした.残り2日間は,患者さんのモデル(人形)と実際の器械を使ったシミュレーションを1日,もう1日は実際に器械を組んで触っていじってみてというwet lab(ウェットラボ)を行いました.
講義はもちろん勉強になりましたが,豊富な症例の経験を活かしたケーススタディは非常に参考になる点が多かったです.シミュレーションとwet labは楽しい雰囲気の中で行われましたが,実際に管理をしていくために必要な要素がたくさん盛り込まれていて,また実際に手を動かしてみることで,まだまだトレーニングが必要な部分が多いことを改めて実感する機会となりました.
コースだけでなく,カロリンスカ研究所附属病院のECMO治療を行っている設備を見せていただいたり,見学の案内をしていただいたりと,貴重な経験をたくさんさせていただきました.
専門的な話は難しいと思いますので端折らせていただきますが,こういった貴重な海外でのコース参加の経験を活かすために,当院での治療内容やスタッフ教育に反映させていきたいと思っています.
次回へ続く・・・
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