ITLS Access Courseを受講しました!

青山です。
先日1019日、ITLSアクセスコースを受講してきました。International Trauma Life Support の名前の通り、アメリカの救急隊の活動をベースに世界基準として標準化された外傷対応のコースで、このアクセスコースはそのなかでも特に自動車事故で車内に閉じ込められた人員の救出に特化したものです。

私の前回のブログ、ラリーのコースドクターの際にもお伝えしたように、かつて自分は自動車メーカーで技術者をしていたので、車両の構造や、素材、機構にどのような危険があるのかは他の医療従事者よりは多少理解が進んでいると思います。
車両に閉じ込められている状況に対して、車両のどこをどのように破壊、切断し、展開したら迅速に救出が可能かということは自動車レースに関わるコースドクターにとっては最低限必要な知識です。一般車と異なり、それらの競技車両は車内にアクセスするのがその安全装備ゆえに困難だからです。



今回の講習は一般車両の事故に対して、救急隊や工作車のスタッフが、いかに車両閉じ込めに対して対応しているのか、その情報、知識を学び、共有するという意味でも非常に興味深い講習でした。

午前中は座学中心で、車両に対する基礎知識、エアバッグや、各種安全装置の構造や、車体構造についての講義がメインでした。最近のハイブリッド車に潜む高電圧部位への注意点や、燃料の違いによる注意点など、車両事故にまつわる危険を網羅する内容です。
午後は実際に屋外にて車両を分解、破壊して、車内にアクセスする実習です。
窓ガラスの破り方や、ドアの破壊の方法など、実践的な講義、実習が続きます。ボンネットにフーリガンという大きなツルハシのような先の尖った機材で穴をあけて、消火器にて消火訓練をおこなったりするのも非常にいい勉強になりました。かつて車両火災の現場に何度も遭遇し、その際の対応がどうだったかを見直す良い機会となりました。



車内にどうにもアクセスできない際にはレシプロソーという、金属を切断する電動ノコギリを使用し、車の各部品を切断していきます。車両の各ピラーを切断して、屋根を取り外しての救助を行う際には、車内に閉じ込められた人を体験し、その振動や、大きな音、ガラスの粉が降ってくるリアルさを体験しました。



救出は時間との勝負です。緊迫した空気の中、困難な救助活動に遭遇する救急隊には臨機応変な判断力、チームワーク、実際に手を動かして助け出すスキルの全てが求められることを実感しました。

秋晴れの天候のもと、消防の作業着と防火服で汗だくになりながらの講習でしたが、非常に貴重な体験をさせていただきました。外傷を診るには受傷メカニズムの理解が重要だと思います。車両の構造や破損の程度、救出過程を学ぶことは、より正確な診断と治療に繋がると思います。このコースの内容は災害時の救出や、DMATの活動にも十分に応用できると思います。
このような講習を受ける医師は少数派かもしれませんが、今後増えることを願いつつ帰途につきました。

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