重複要請と連続出動。

集中治療科・救急科&フライトドクターの町田です。

本日1件目は運航開始前要請。
山間部の視程は悪く、安全に運航できる
ところまでヘリで出動し、そこで救急車と
ランデブーしました。
5月末あたりからドクターヘリの要請や出動がめっきり減って嘆いていましたが、この2日間で9件の要請があり、しかもほとんどが早期要請でした。出動した症例に関しては、早期医療介入により患者さんの後遺症軽減に貢献できたと考えられます。

ところが9件中3件は重複要請のため出動することができませんでした・・・

特に昨日に関しては3件ほぼ同時に要請が入り、そのうち1件のみの対応となってしまいました。
本日については、5件ともすべて出動中に要請が入っている状態でしたが、そのうち4件に対して連続で出動することができました。しかし2日間で1件ずつは、救急隊現着前の早期要請で救急隊現着時にキャンセルという内容で、オーバートリアージを恐れず要請する姿勢の結果でありドクターヘリスタッフとしても安心する要請でした。


本日の4件目に関しては消防覚知同時要請で、まだ前出動の真っ只中でかつちょうど現場の天候が悪かったので、前事案が終了し対応可能になるまで救急車でドクターヘリが飛行できるエリアまで搬送していただきました。早期要請によりドクターヘリ出動中でも余裕をもって臨機応変に対応することができました。
本日3件目は施設間搬送。ドクターヘリのよる搬送の前にランデブーポイントで
医療介入を行い、より安全な状態で搬送することが可能でした。
本事案の搬送中に4件目の要請がありましたが、早期要請のため
消防本部とCSで調整する時間の余裕が生まれました。
また1件目に関しては公立藤岡総合病院にほぼ隣接する多野藤岡消防本部のグランドが今年度よりようやく使用可能となり、搬送時間の大幅な短縮が図れました。
写真中央のグランドが多野藤岡消防本部のグランドです。
グランドからすぐ左上の建物が公立藤岡総合病院です。
直近のランデブーポイント・・・2年越しの願いがかないました。
2件目もランデブーポイントが現場直近の学校であり、こちらも着陸後すぐに治療が開始することができました。
現場直近の高校のグランドを使用させていただきました。
おそらく授業時間だった思いますが、ご協力ありがとうございました。
また黄色い声の応援をいただき、みんなさらに気合が入りました。
(本日の機長、整備士、CS、ドクター、ナースは、全員30過ぎのおじさんでした!)


どうしても重複要請に対応できないときはありますが、
・早期要請による臨機応変に対応する時間的余裕
・現場直近のランデブーポイントの設定
・搬送先病院の直近のランデブーポイントの設定
これらを意識して時間短縮を図ることが、重複要請があったとしても連続出動で対応できる事案を少しでも増やすことができると思います。
また、昨日のように現場医療スタッフ派遣のときは現場滞在時間が長時間になりますが、
・防災ヘリドクターヘリ的運用への切り替え
・セカンドクルーによる出動
など、いろいろなアイデアで重複要請による未出動を減らすことができると思います。
さらに今月に入り震災の影響で延期になっていた栃木県との広域連携の準備が再開となりました。栃木県の関連する消防本部とのシミュレーションを経て、早ければ今月末から開始となります。(梅雨時期なので延期となる場合もありますが・・・)

重複要請に対して出動できる・できないは本当にタイミングの問題だと思いますが、時間短縮の意識とその他の手段の活用により1件でも少なくできるよう頑張りましょう!時間短縮といえば、現場でできることを行いつつも現場滞在時間の短縮も意識したフライトスタッフの意識も重要ですね!!


ところで、群馬県ドクターヘリ(JA6910)に“NOMURA”のロゴが付きました。ドクターヘリ事業に対する補助金がだいぶ増額になってきたとはいえまだまだ厳しい運航経費に対して、野村証券様から社会貢献事業の一環として日本医大千葉北総病院、君津中央病院につづき当院も多大なる支援をいただきました。本日感謝の気持ちを込めて、感謝状の贈呈をさせていただきました。せっかく来院していただきましたが、ドクターヘリは出動中でした・・・しかしきちんと活動しているところを見ていただけたと思います。野村証券様のみではなく、群馬県ドクターヘリはすべての支援、応援していただいている方の思いを乗せて、今日も群馬の空を駆け回っています。

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