医療職の枠を超えた大きな次元で行われるチーム医療!~第29回ドクターヘリ講習会への参加報告~

後期研修医 増田衛です.
1129-30日,神戸にて第29回ドクターヘリ講習会を受講してきました.

ドクターヘリ講習会の案内
(日本航空医療学会ホームページより)

スケジュールは普段我々が受講しているJATECBLS, ACLSなどといった実技中心の講習とは違い,知識教授のための座学が主でした.

最後には,飛行実習と称して神戸港の周囲を約10分間フライト.写真は神戸港上空から大阪方面を向いて撮っています.
 

 
群馬県ドクターヘリの基地病院でヘリ関係者として働くうえで,ヘリにまつわる様々な知識を得ることが出来ました.

重症外傷や急性冠症候群・脳卒中など,一刻を争う疾患を発症した患者の予後を改善させる.この目的を達成するためには,
【発症から診療開始までの時間を最短にする】=【現場へ医者・看護師を最速で派遣する】
ことが重要です.これを広範囲で可能にするための手段が,ドクターヘリです.

加えて重要なのは,この目的が達成されるためなら,交通手段は車でも自転車でも,なんなら医者・看護師が走って現場に向かってもいいのです.ヘリは上記目的達成のための手段の一つに過ぎないとも言えるのです.
(ヘリに携わる人間として,このようなクールな視点も必要と思う次第です.)

 
そして今回の講習会での一番の収穫は,
“ドクターヘリを飛ばすためには,医療施設の職員やヘリ運航企業だけでなく,いかに多くの組織が関係していることか!”
これを実感できたことでした.

例えば,
・国会=ヘリを支障なく飛ばすための法律を作り,改正する.
・都道府県行政=ドクターヘリ運航にゴーサインを出すのは知事.
・消防=現場から119番への通報を受け,救急車・ヘリの出動を要請.
・警察=ヘリ着陸地の安全を確保.
・国交省・ネクスコ=ヘリは一般道や高速道にも降りる.
・教育委員会=ヘリは学校のグラウンドにも降りる.
・広報・マスメディア=住民への周知.
・住民=騒音と爆風をまき散らすヘリが街中へ降りることに対し,理解をしていただく
DMAT=災害時には,ヘリは患者や物資の搬送手段に欠かせない存在.
 etc...
他にも僕の認知しきれない領域で,もっと多くの人がヘリに関係しているのでしょう.

 
「チーム医療」という言葉が広まって久しいですが,このドクターヘリ事業は,医療職の枠を越え,「さらに大きな次元で行われるチーム医療」とも言えるような気がしています.以前,防災ヘリ実習について記事を書いた時にも同じようなことを述べました.改めて医療というものをより大きな枠で捉える必要があると感じた2日間でした.

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