隣県とのドクターヘリ連携!~「信州ドクターヘリ事案検討会議」に参加~

町田です。
前橋の市街地では桜の花はすっかり見られなくなりましたが、かわりにハナミズキの薄紅色と白色の花がきれいに咲いています。この時期は人間界と同様に植物界もめまぐるしくうごめいていますね。僕の故郷はようやく桜の開花前線が届き始めているようです。


群馬県は南に埼玉県、東に栃木県、北に新潟県、西に長野県と隣接しています。
当県を含め周辺各県もすべてドクターヘリを保有しており、各県と様々な形でドクターヘリの連携を行っています。

栃木県とは「北関東ドクターヘリ広域連携」、埼玉県とは「群馬県・埼玉県ドクターヘリ広域連携試行事業」で手を組んでいて、エリアの制限はありますが重複要請時、多数傷病者発生時などでは自県ヘリが出動中に消防判断で隣県ヘリも要請することができます。
また新潟県ともドクターヘリ広域連携の話が進んでいて、長岡赤十字病院に新潟県で2機目のドクターヘリが導入されたことを契機に今後両県間の話し合いを加速させていくことになっています。

2016年度「群馬県と近隣県のドクターヘリ応援出動」
栃木→群馬:17件、群馬→栃木:2件
埼玉→群馬:9件、群馬→埼玉:18件
長野(佐久)→群馬:6件
 
新潟県についてはすでに消防同士の応援協定にもとづき、高速道路の事案に関しては隣県のドクターヘリを要請する仕組みができています。
高速道路の管轄は県境ではなく、ICで分けられているの知っていますか?
例えば関越道の湯沢IC(新潟)から上り線に入り、関越トンネルをぬけて水上IC(群馬)を出るまでは新潟県の南魚沼消防が管轄しています。つまり関越トンネルを抜けて群馬県に入ってから事故にあっても新潟県の消防管轄のためドクターヘリも原則的に新潟県ドクターヘリが呼ばれます。しかし越後山脈を越えてヘリが来るのには時間・距離、そして天候の壁があり、群馬県ドクターヘリを要請した方が圧倒的に早期医療介入をできる可能性が高いです。そのために南魚沼消防(新潟)が利根沼田消防(群馬)を介して群馬県ドクターヘリを要請できる仕組みが出来上がっています(ちなみに下り線ではその逆のことが可能です)。

長野県とはまだ県同士でも消防同士でもドクターヘリに関わる連携はありません。
ただし両県ドクターヘリの運航要領の範囲内で基地病院との連携による県境を超えた出動は可能になっています。(両県ともに隣県消防からの要請については“基地病院判断で出動可能”となっています。)
実際には信州ドクターヘリ佐久に重複要請時の県北西部(嬬恋・北軽井沢など)への出動、碓氷峠での多数傷病者事案での応援出動をしていただいています。


昨日、長野県との連携をさらに強化するために佐久総合病院佐久医療センターで開催された「信州ドクターヘリ事後検証会議(症例検討会)」に参加しました。
当院はドクターヘリ導入時に佐久総合病院でドクターヘリ研修をさせていただいていて、今回もスキー場事案の対応や重複要請のMedical controlなどの事案に対してとても貴重な意見を聞かせていただきました。

その会議の往復で上信越道を利用したのですが、行き(下り線)については長野県に入ったときに「ここで事案が発生したら佐久ドクターヘリなら5分で来られる」、帰り(上り線)については群馬県に
入ったときに「天気が悪く峠越えができなければ群馬ドクターヘリか高崎ドクターカーで対応できる」と実感しました。
(ブログ「群馬の観光や名物と上毛かるた」から引用・一部追記)
群馬県は十字に高速道路が走っており、新潟(関越道)、長野(上信越道)
のほかに埼玉県(関越道)、栃木(北関東道、東北道)の各消防との
連携活動が必須となります。
 
患者さんにとってどこのドクターヘリが来ようと変わりはありません。
県同士、消防同士ですでに協定が組んであれば、実際にそのような事態に陥っても消防は迷うことなくタイムラグなく隣県へリを要請することができます。最も早く患者さんのもとにたどり着けるように、隣県ドクターヘリやドクターカーとのさらなる連携を築き上げることが基地病院、消防、行政に課せられたミッションです!


ちなみに群馬県と福島県は鉄道や道路はつながっていませんが、尾瀬の湿原でつながっています。尾瀬での防災ヘリ救助事案に関しても福島県との連携を考えていく必要がありそうです。

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