2017年4月10日月曜日

「脳死下臓器提供シミュレーション」に参加しました。

みなさま、こんにちは。堀口です。
先日、当院で臓器提供に関するシミュレーションを行いましたので、報告いたします。

1997年に「臓器の移植に関する法律」が施行され、患者本人の意思に基づいて脳死下の臓器提供が認められるようになりました。2010年には法改正で、本人が提供を拒否する意思を表示していない場合は、家族の同意があれば臓器を提供できるようになりました。この法改正をきっかけに、また自国の患者は自国で治療するべきであるという国際的な流れもあって、2010年を境に脳死下の臓器提供は増加しております。
当院には重症患者さんが多く搬送されてくることもあり、残念ですが治療の甲斐なく臨床的に脳死に近い状態に至る患者さんもおられます。もし臓器提供のお申し出があったときには、その貴重なご意思を最大限に生かすことが出来るように私たちは準備しておかなければならないと思います。
そうは言っても実際に経験することはなかなかありません。当院のこれまでの脳死下臓器提供はまだ片手で数えられるほどです。経験を共有するための事例報告会などに加えて、今回は臓器提供のシミュレーションを行いました。

参加者は、脳外科・救急集中治療科などの医師、ICU・救命センター・手術室・検査室のスタッフ、院内および県の移植コーディネーター、事務職員など、見学者を含めて数十人が集まりました。また、群馬県内の他の病院からも見学に来て頂きました。


今回のシミュレーションは「臓器提供の選択肢提示と家族の代理意思決定を支援するための関わりを考える」ということに主眼をおき、「40歳の男性が脳幹出血のために昏睡状態になり集中治療室に入院した、妻や娘がいるが別居している」という想定で始まりました。
医師、看護師、家族などの役割を決め、あらかじめ決められたおおまかな流れに沿ってロールプレイ形式で進めていきました。入院直後でまだご家族が受け入れられていないところ、数日経って臨床的に脳死とされうる状態となったところ、臓器提供の選択肢を提示するところ、ご家族からの返答を頂いて実際の臓器提供への説明を行うところ、などのシーンを設定して、合間にはカンファレンスを開いて対応を実際にディスカッションしていきました。


シミュレーションを通じて、難しいと思うことがいくつかありました。

1つは臓器提供の選択肢をどのタイミングでどのように切り出すかという点です。
脳死下の臓器提供の話をするということは、「死の宣告」とほぼ同じ意味を持ちます。臨床的な病状だけではなく、家族がその状況をどのように受け入れているかということも勘案しないと、適切なタイミングを見定められないと思いました。

また、家族の誰を対象に、どう話を切り出すかということも難しいと感じました。
よほどニュートラルな聞き方を心がけないと、こちらから押しつけてしまうようなことになりかねないと思います。「臓器移植についての話を聞かれますか?」というような質問が良いのでしょうか。

シミュレーションの後半では、移植コーディネーターの方がご家族にどのように話をすすめていかれるのかを実際に聞くことが出来ました。必要な事項を一つ一つていねいに、わかりやすく説明されておられ、かつ押しつけにならないような口調で、参考になりました。


実際の臓器提供では、患者さんによっていろいろな状況が考えられます。臨機応変な対応が必要となるのでしょうが、今回のようなシミュレーションを繰り返しておくことで、しっかり準備しておきたいと思います。

0 件のコメント :

コメントを投稿

コメントは管理人が確認の上、公開の判断をさせていただいてます。状況によっては公開まで数日頂くことがありますのでご了承お願いします。

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...