2016年6月12日日曜日

「第25回日本熱傷学会講習会」を受講しました。

堀口です。
先日、千葉県の舞浜にあるホテルで行われた日本熱傷学会講習会に参加してきました。梅雨入り前の晴れた平日で、隣にある夢の国へ楽しそうに向かう人たちを尻目に会場へと向かいました。
会場のホテルへのシャトルバス・・・


講習会では3つの講演を拝聴しました。

最初は八戸市立市民病院でフライトナースをされている和島由香子さんの「プレホスピタル熱傷看護とPBECでした。
八戸ではドクターヘリとドクターカーで年間合計約2,000件の出動要請があるそうですが、熱傷症例は全出動の1%とかなり少ないということです。遭遇する機会はすくないものの、福知山花火大会事故のように多数の傷病者が発生することも考えられ、安全確保、創部の冷却と被覆、ABCの評価と安定化、鎮痛、搬送先選定などに関する学習の機会が望まれます。そこで1年の試行の後、2015年から正規コースとしてPBECコースが実施されているということを紹介してくださいました。熱傷患者の観察・処置、医療機関選定と搬送ができることを目標に、座学、ケーススタディー、模擬患者診療などで構成されています。当院もプレホスピタル現場に出るスタッフが多く、興味深いコースだと感じました。

2つめは、石川県立中央病院の山元康徳先生から「小児熱傷の治療戦略」とのタイトルで、受傷から10年を超えて治療を続けられた患者さんの実例を交えて、治療の戦略を聞かせていただきました。
小児は防御行動が遅れやすいことや皮膚が薄いことから、容易に深達性熱傷を受傷しやすいです。治療においては救命を目的とするだけでなく、その後の成長も考えた戦略が必要だということでした。受傷直後は創閉鎖を目的として最小限の分層植皮を行います。その後、関節可動部はできるだけ早期に全層植皮を行って拘縮を解除してあげます。非可動部の醜状瘢痕に対しては、学童期終了までにTissue Expansionによって周囲の健常皮膚を伸ばし、瘢痕を除去して再建されていました。受傷するのは一瞬ですが、その後の治療は長く、繰り返しの手術も必要であり、患児自身やご家族に対する精神的サポートも重要だと考えさせられました。

最後は市立川崎病院の田熊清継先生の「熱傷感染ーJSBIによる熱傷ガイドラインと熱傷レジストリー」というご講演でした。
2015年に公表された改訂第2版ガイドラインの感染対策の項について、膨大な量をわかりやすくコンパクトに時間内に解説してくださいました。印象的だったのは、TBSA40%の熱傷治療中に突然ショック状態になった症例でした。上肢にごくわずかに発赤があった以外には感染を示す所見がなかったそうですが、MRSAによるToxic Shock Syndromeだったそうです。ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌など、小さな傷でも強い毒素を持つ病原体が感染している可能性があることを印象付けてくれる症例でした。また、ブドウ球菌や連鎖球菌の感染によって、生着した植皮片が溶けるように脱落するMelting Graft-Wound Syndromeの実例も印象的でした。


終了後は、夢の国に寄り道することなくまっすぐ前橋に帰りました。

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