救急救命士教育に積極的にかかわっています!

前橋赤十字病院 集中治療科・救急科 原澤です。12月と、救急救命士教育に関わるイベントに参加してきたので、その報告をさせていただきます。
(写真はイメージです)
当院では救急救命士の院内研修を積極的に行っています。

129日、雪の降る中、渋川市で行われた「症例検討会」に参加してきました。
もともとは昨年の9月に行われる予定だったのですが、ちょうどその時期に栃木県での豪雨・河川氾濫への対応が重なってしまい、順延となりましたが、この度無事に開催されました。

実際にどのようなものだったかというと、救急隊の方に、実際に対応した症例についての発表をしてもらい、それについての意見を交換する、というものでした。こういったところで検討する症例は、ほとんどが心肺停止かそれに近いような重症の患者さんのことになるのが通例で、今回も3症例中2症例が心肺停止の患者さんについてのものでした。内容は非常に難しいものでしたが、こういった議論の積み重ねや、消防・救急・医療の連携が取れる関係づくりは、地域の医療をより良くしていくために大切なのだと感じました。


続いて23日、同じく渋川市の消防学校で行われた「第3回ビデオ硬性挿管用喉頭鏡講習」に参加しました。群馬大学より門井教授(麻酔科)、神山先生(麻酔科)、大嶋教授(救急科)、当院より中村センター長、町田副部長が講師として参加されていました。

救急救命士は、様々な処置を患者さんに対して行えるよう訓練をしていますが、その中でも実地訓練を病院などで行い、認定を得なければならない処置が幾つかあります。その一つが、気管挿管という処置です。文字通りなのですが、気管(空気の通り道)に管を挿し入れ、気道を確保し、確実な人工呼吸ができる状態を作る、という処置で、一般的には全身麻酔の時や、呼吸状態が悪く人工呼吸器を用いた治療が必要な状態になった患者さんに対して、医師が行うものです。見よう見まねでいきなりできる処置とは言い難く、現場において一人で実施できるようになるには十分な訓練が必要です。その認定を受けた救急救命士が受ける、「ビデオ硬性喉頭鏡」というものを取り扱えるようになるための講習でした。

通常は肉眼で(直視下で)気管への入り口(声門)を確認しながら管を入れるのですが、その操作に際しては首を大きく後方へ反らす(後屈する)ことが必要になります。それ故に、首の外傷がある(疑わしい)患者さんや、首を後ろへ反れない(頸椎症など)患者さんには、管を入れることが難しいことがあります。こういった状況に対応するために、カメラ付きもしくはレンズ付きの器具で覗き込み、声門をモニターもしくはレンズ越しに確認して管を入れる、という操作を可能にした器具が「ビデオ硬性喉頭鏡」です。

講習は講義、グループワーク、器具を実際に使った訓練、症例を用いた試験という流れで行われました。器具の利点や欠点を正しく理解し、適応となる状況をしっかり判断してもらえるよう、講師の先生方がそれぞれ工夫して教えておられました。


こういった活動の中で、誰かに教育する、ということの面白さを感じ、また難しさを思い知らされます。また、救急救命士の皆さんが、地域の医療のことをこんなにも真剣に考えているのだなぁ、と思い、頼もしく感じました。これからもお互いに協力しあって、地域の医療を支えていきましょう!

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