2014年12月24日水曜日

病院側も対策を!~過去最高の救急車出動件数、過去最長の救急搬送時間との戦い~

町田です。

つい先日以下のような記事が報道されました。
平成25年において、
①救急車出動:過去最多の591万件、入院必要ない人が半数
②救急搬送:過去最長の39分、出動件数増が影響
とのことです。

どっちもなんだか残念なニュースですが、もうちょっと原因をひも解いてみましょう。

①に関しては、明らかな高齢者人口の増加に伴うものです。65歳以上の搬送が54%を占めているとのことです。医療が進化し一般市民の皆様も「長寿」を願う世の流れの中、高齢者に対する社会制度が整っていないのが現実です。具合が悪くなると時間外でも近くに診てもらえる病院がない、家族がいない、そして病院に行く手段がない・・・結局救急車を要請して救命センターや総合病院に行くしかないのです。
必ずしも入院をする人しか救急車を使用してはいけないということはないと思っています。病気やけがには重症度のみではなく緊急度も救急車を要請する大切な要素です。緊急度が高い状態でもすぐに処置することによって最終的に軽く済む場合も多々あります。
大切なことは「救急車の不適切利用をやめさせる」ことばかり唱えるのではなく、「こういう時は必ず救急車をよんでください」という適正利用の教育をしなくてはいけないと感じています。ちなみに僕自身はもともと循環器系を専門にしていたので、心筋梗塞や脳卒中など血管のトラブルに伴う症状に関しては、すぐに救急車を要請するように市民講座などで訴えていました。

②に関しては、出動件数の増加に伴い救急車が相対的に不足して、遠い消防署から救急車が応援に駆けつけなければいけないことが増えていることが原因のようです。救急隊の行える処置が拡大されてことで現場滞在時間が増えたことも一因のようですが、これに関しては高度の医療が早期介入されるということなので悪いことではありません。

 上記のようなポスターも大切ですが・・・

 このようなアドバイスもとても大切だと思います!
(先日の前橋地区高等学校養護教諭研修会で使用したスライドから抜粋)


高齢者社会の加速化と社会制度の遅滞のギャップをすぐにどうすることはできないので、すぐに救急車の増台、救急隊の増隊に期待するのは困難です。
そこで今すぐできることはやはり早期医療介入に向けた各病院の取り組みです。いかにスムーズに救急車の受け入れる体制の整備を行うか・・・それも一つ一つの病院だけではなく、各地域がスクラムを組んで助け合うことが必要です。
どの病院がいまどれだけ救急隊に対応しているか、ここ最近でどれくらいの救急隊を受け入れているかなどが表示される「救急搬送支援システム」が群馬県に導入されて間もなく2年がたちますが、実は群馬県は受け入れ困難件数の激減と搬送時間の短縮が得られています。各病院の現状が消防、病院で『見える化』したことで医療者の意識の改革が起こっているように感じます。

実はこのシステムは佐賀県の県庁職員のアイデアから生まれたもので、群馬県には佐賀県庁の全面的アドバイスを頂いて導入されたものです。その開発に関わった佐賀県庁の職員の特集をTBS系列『夢の扉』(日曜日夕方)で行うとのことですが、群馬でもきちんと活用されていて結果を出し始めているということで、先日当院でも密着取材が行われました。(ちなみに番組放送は来年2月頃を予定しているとのことです。)



さらに、重症度や緊急度が高い患者さんにドクターヘリで向かうことで、さらなる医療介入時間の短縮を図ることができます。ドクターヘリも要請数が増えてきているのに伴い、不応需数や連続出動による到着の遅延も増加しています。しかし、病院スタッフがもう少しうまくやればセカンドスタッフとしてドクターヘリピストン出動やドクターカー出動でもっともっと多くの患者さんのもとへ迎えると感じています。
群馬県ドクターヘリと高崎ドクターカー

①②のような記事を読むとどうしても一般市民の皆様に責任を押し付けがちのところもありますが、時代の流れである程度仕方ないところもあると思います。
だからこそ開業医の先生方を含めて地域の病院が協力して、地域の住民を普段からいかにして守っていくかを考えないといけません。

4 件のコメント :

  1. この報道のニュース見ました。
    何だか残念な感じがしますねぇ。
    なんや難しい感じが・・・。
    でも先生の解説のおかげで、だいぶ理解出来ました。
    大変勉強に成りました。m(__)m
    ありがとうございます。m(__)m

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    返信
    1. 岡田さん、ありがとうございます。
      一般市民のモラルだけではない深い問題があるのが現状です。なかなか解決できない大きな問題ですが、病院の我々は目の前の命一つ一つと真剣に向かい合っていくのみです。

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  2. 前橋赤十字病院のドクターヘリをいつも応援させていただいています。今年2月の様な大雪や噴火・土石流災害など何時起こるかわからない災害に対しても、救命救急センターがあるので我々は力強いです。関越での高速バスでの事故が一番印象に残っています。これからもご活躍期待しております。ちなみに、このブログも毎日楽しみです。

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    返信
    1. 佐藤さん、ありがとうございます。師走に入ってアップの頻度が下がってしまい申し訳ありません。そのぶんは臨床の現場で駆け回っていると思って、引き続き応援のほどよろしくお願いします。

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