ドクターヘリ基地病院の対応力を上げる!~受入編~

町田です。

ドクターヘリで病院前に医療チームが出ていく機会が増えていて、傷病者へより早く医療を開始できるようになってきました。しかし最終的にはより迅速に適切な病院に搬送して、最終的に決定的治療を行わなければいけません。
例えば大量出血の患者さんを現場で早期に輸液を行いショック状態からの改善を図りますが、最終的には出血しているところを止める治療をしなければいけません。そのためには出血を止めることができる病院に迅速に連れて行かなくてはいけません。


ドクターヘリで初期対応した患者さんの受け入れ病院に関しては、その地域の医療事情によって変わってきます。基地病院がほとんど全例受け入れるところ、出動した地域の救命センター・拠点病院にできるだけ搬送するところなど、いろいろなかたちがあります。
いずれにしても病院が早く受け入れを受諾しないと現場から動くことができません。そのためにはホットラインを受けた病院の医師は早く受け入れを決断しなくてはいけません。

現場で活動している救急隊や医療チームからの連絡を長々と聞いたうえで「受け入れられません」は最悪です。もちろんERがあふれるほどの重症患者が押し寄せているときなど状況によっては100%受け入れられないこともあります。だからこそ早く受けるか受けないかを決断する必要があります。
当院の救命救急センターの救急車受入れ率は97%を超えていますが、それでもこの数字が決して良いとは言えません。日本の救命救急センターの中では受け入れ不応需0%というところがいくつもあります。
ドクターヘリの受け入れはさすがに100%といいたいところですが・・・ある特殊疾患に関してはタイミングによっては受け入れが困難なことがあります。もっと我々ER医が他の専門科や周囲の病院との調整をうまく行わないといけません。


これから先、ドクターヘリやカーによる医療チームのみならず救急救命士の処置拡大が進んで救急隊も病院前でさまざまな処置を行うことができるようになります。そのメリットを最大限に生かすためには病院側がより迅速に患者さんを受け入れてあげる病院全体の強い思いが必要です。

ドクターヘリが始まって医療チームが病院前に出ることによって、病院に受け入れていただくことの大変さを知ったのが本音です。
今では群馬県内の3次対応可能病院すべてがホットラインに直接ER医が出るようになりました。基地病院も若手のホットライン対応の指導制度を作りました。早期医療介入&早期決定的治療が合わさって、本当の救命率・社会復帰率の向上が図れるものです。そのために基地病院が担うことは多いのです!

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