『英国大使館』での避難訓練に飛び入り参加!?

町田です。

日本では急性期災害医療対応としてDMAT(Disaster Medical Assistant Team)が活動する機会が増えていますが、その活動の基本的な考えかたはイギリスにおける大事故災害への医療対応であるMIMMS(Major Incident Medacal Management and Support)が基本になっております。
日本でもそのMIMMSを学ぶ機会が日本MIMMS委員会により提供されていて、今回9月21‐23日に行われた『Advanced MIMMS東京コース』にインストラクターとして参加しました。

*コース詳細は ⇒ http://www.mimms-jp.net/course/


初日、2日目(僕は2日目から参加)の座学、無線訓練、トリアージ訓練、机上シミュレーションは『東京大学医学部付属病院』で開催されました。同院には以前に屋上ヘリポートからお邪魔したことはあったのですが、今回は初めて地上にある「鉄門」から入場しました(「赤門」に回る時間はありませんでした)。やはり最高学府の威厳があり、身が引き締まる思いでした。

 
 

そして最終日は『英国大使館』で野外シミュレーションを行いました。MIMMSコースで行う野外シミュレーションはPEWCS(Practical Exercise Without Casualties)という手法で、まず机上で災害対策の計画を立て、実際にその場所を見て回って机上の計画通りにできるかどうか確かめます。また実際に災害発生のシナリオを行い、きちんと指揮命令系統(C:Command & Control)、安全(S:Safety)、通信の確認(C:Communication)、そして評価(A:Assesment)をもとにきちんとトリアージ(T:Triage)、治療(T:Treatment)、最後に搬送(T:Transport)が行えるかディスカッションします。

ちなみにこれらの頭文字をならべた『CSCATTT』という考え方が、日本の災害対応の基本として共通認識となっています。特にCSCAの部分がMedical Managemetで、このManagementをきちんと確立せずにTTTの部分であるMedacal Supportに入っていくと、たいていの場合災害対応の失敗の原因になります。

今回は実際に英国大使館の敷地内を受講生の皆さんと一緒に歩きながら、事前に立てた計画が本当にうまくいくかどうか自分の目でみて確認し、そしてシナリオ上で発生した災害に対応してもらいました。そして受講生には最後に医療チームとして災害対応に関する記者会見まで行ってもらいました(質問は記者役のインストラクターから)。



実は英国大使館の敷地内を歩きながら受講生の皆さんとシミュレーションを進めていたら、突然サイレンとともに「地震が起こりました。地震がおさまっても油断せずに避難を開始してください。」というアナウンスが英語と日本語で繰り返さり替えされました。
実際に揺れていなかったのと「訓練」という言葉が聞こえたので、そのままシミュレーションを続けようとしたら、ガードマンの方に「私の後にきちんとついて来て下さい!」と言われました。そのまま広く美しい庭(イングリッシュガーデン)にたどり着くと、駐日大使をはじめ大使館内で働いているおそらく全職員、ゲストが全員そろっていました。

本コースの対応をしていただいていた大使館員の方も知らなかったとのことで、完全なブラインドの避難訓練だったようです。しかし大使館員のみならずゲストにもきちんと参加させるところに、日本が見本とした英国の災害対応の素晴らしさを感じました!

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