32℃ルール・・・~風だけでなく暑さでも避難します。~

町田です。
台風は温帯低気圧となったようですが、まだ北海道の西海上を通過中です。低気圧本体から離れた場所でもまだまだ突然の風や雨が降りつけることがありますので十分ご注意ください。
甲子園球場で行われる夏の高校野球も2日遅れではじまりました。気温の暑さは嫌ですが、球児たちの熱闘は心を揺さぶられるものがあります。熱中症やけがに注意してがんばってほしいですね。

 
群馬県ドクターヘリ基地病院である前橋赤十字病院は市街地のど真ん中に存在していて、とても狭いヘリポートが屋上に備わっています。冬は強い北風が吹きつけ、夏は灼熱の太陽が照りつけるヘリにとってはあまり良い条件とは言えません。
 
夜間や悪天候時は公設のヘリポートである群馬ヘリポートで駐機していますが、天候が良くても強風で20ノットを超すようなときは屋上から群馬ヘリポートに避難してスタンバイしています。
しかし最近の群馬の夏の暑さは尋常ではなく、過去の統計上でも夏の暑い時期に機体トラブルが多いことから、8月7日より風速だけではなく気温でも群馬ヘリポート避難基準を試行的にもうけさせていただきました。
 
運航会社と基地病院での話し合いの結果、「前橋地方気象台の温度計が『32度』を超した時点で屋上ヘリポートから群馬ヘリポートに退避して機体を格納する」というルールとなりました。
今日は14時の発表で32度を超していたため、13時台の要請を対応したのちにそのまま群馬ヘリポートで格納待機となりました。もちろん退避しているだけで運休になるわけではありません。
 

 
 
要請が入り格納庫からヘリポートまでヘリは整備士1名で移動できる特殊な『ヘリローダー』で移動し、すぐに出動準備に入ります。ヘリローダーの改良が加えられ、計算上はほとんどロスタイムなしで出動できるようなっています。

 
 
今年度、群馬県はドクターヘリの長期運休を経験しました。
長期運休の直接の原因のほかに、このような事態に影響した要因の一つに屋上ヘリポートの環境の問題もあったかもしれません。患者さんや医療スタッフの迅速な対応のためには屋上ヘリポートが常につかえることのこしたことはありませんが、現実的に難しい以上は少しでも機体に優しくする配慮も必要です。
 
尚、今年度の基準はあくまで試行であり、気温の推移、活動時間経過などはこの夏の暑さを乗り切ったころに検証して来年度以降の基準を設定します。ちなみに新病院は地上ヘリポートで格納庫、給油施設付きになる予定です。

コメント

  1. 今はもう、格納庫と給油施設付きはドクターヘリ基地病院では当たり前になってきているようですね。
    新病院のヘリポート楽しみですね。
    先生方も熱中症などにお気をつけ下さい。

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    返信
    1. 国の想定以上の基地病院と出動件数の増加に、整備にかける時間や予算がぎりぎりなのが現実です。基地病院として少しでも機体に負担をかけない協力もしないといけません。
      様々な問題があったため新病院移転が遅れてしまったことがとても残念です。

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