災害対応訓練の企画をすることの意義。

町田です。

9月20,21日は神奈川県が主催でDMAT関東ブロック訓練が開催されました。神奈川県の皆さんの綿密な企画運営や他機関の協力(在日米軍も参加です!)で、本当に素晴らしい訓練内容が展開されていました。
群馬県からも当院を始め7チームのDMAT&ドクターヘリが神奈川県に参集し、各拠点病院やそこからさらに災害現場や広域医療搬送拠点に移動して、様々な災害救護活動を行いました。当院からはプレーヤー(いわゆる訓練を受ける立場)として医師2名、看護師4名、業務調整員2名が参加したのに加えて、コントローラー(いわゆる訓練を運営する立場)として医師は中野センター長を筆頭に3名、看護師は高寺救急外来師長を筆頭に3名、さらに業務調整員も3名が参加しました。さらに群馬県庁や日赤群馬県支部の関係者も神奈川県に集まってきました。

訓練とはいえかなり起こり得る想定で組まれているため、訓練中にはたくさん解決しなくてはいけない問題が勃発してきます。それをいかに解決するかも訓練の大切なポイントですが、訓練を通して今までの計画でできるそうなことや絶対うまくいかないということも見えていました。事前計画の重要性が身に染みて感じました。

今年の舞台は神奈川県です。
DMAT、日赤救護班、消防、自衛隊、そして在日米軍も参加していました。


実は来年のDMAT関東ブロック訓練の企画運営担当は群馬県にあたっています。群馬県では県防災訓練や日赤訓練などが毎年行われております。そのような中でいろいろなことが検証されてきていますが、この訓練に関しては関東の他県のDMATの応援が必要なほどの災害が群馬に起きたという想定が必要です。規模もかなり大きくなることもあり、企画担当係りの中野センター長と町田は必死に訓練の裏側をのぞいていました。


そのように覗き見ている中で感じたことは、『訓練の企画を立てる過程で様々な体制の不備が見えてくる』ということです。これは決して否定的な意見ではなく前向きな話です。

例えば、近年の広域災害においてドクターヘリ基地病院のDMATは真っ先にドクターヘリで被災県に参集しています。これは本当に機動性が高く素晴らしいことですが、では群馬県ではこの真っ先に駆けつけていただいた複数のドクターヘリをどこに参集させるかが決まっていません。
東日本大震災の場合、まずは福島県立医大に参集しました。もともと基地病院であり、かつ比較的近いところに大学のグランドがありました。当院は市街地にあり屋上ヘリポートが1つでかつ給油もできません。もちろん普段駐機や給油で使用している7つのスポットをもっている公設の群馬ヘリポートもありますが、大災害時はあらゆるヘリコプターが給油にやってくるのでドクターヘリだけで使用することはまずありえません。高崎ヘリポートについてはスポットのみで建屋はなく、先日の台風の際は水没しました。県の消防学校も使いたいところですが緊急消防援助隊の拠点になるようです。もちろん自衛隊の相馬原基地がありますが、広域医療搬送計画が立っていない発災直後の段階でドクターヘリがすぐに着陸できるとは考えにくいです。
つまり現時点では複数機のドクターヘリがやってきても参集場所の設定に難渋する状態であることが明らかになりました。

それ以外にも、各県から参集していただいたDMATの参集拠点場所についても、群馬県は高速道路が十字に走っているため、どの方向からきても効率よく集合できる場所の選定をしなくてはいけません。サービスエリアについては上り線・下り線の問題もあり、ましてや高速道路が使えない場合も考えなくてはいけません。

さらに、参集拠点病院についても当院を始め各災害拠点病院がたくさんの傷病者の受入や治療スペースの確保とともに、参集したDMATを受け入れるスペースの確保ができるかどうかが問題です。

もうひとつ言ってしまうと、毎年行われている県庁での災害対策本部の訓練の本部自体の立ち上げがすぐにできるのか(現時点では1階のロビー)、医療救護班本部の初期活動を行う場所が確保されているのかなどあげるときりがありません。


来年の訓練に向けての企画がスタートしますが、この企画というのは実は1年後の訓練のためではなく、群馬県に甚大な災害が起きた時の未解決な部分を洗い出し、いつ起こってもおかしくない大規模災害に備えるためのものであるのです。
群馬県は昔から災害が少ない(たしかに災害による被害は少ない印象あり)といわれており、病院も県民も群馬県に大規模災害が起こった時の備えに対する認識が低いのは事実です。これを機にあらためて県の災害対応の地盤固めができるようにさっそく動き出しますよ。

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