3000人に1件出動!~2012年度の北関東の翼たち~

町田です。

新年度がはじまりすでに10日たちました。早いものです。
初期研修医1年目は連日のオリエンテーションが続いていますが、明日はいよいよ中野センター長からの直伝のBLS&AED研修が行われます。2年目研修医はすでに先輩の風格もちょっと漂ってきていて、朝のカンファレンスやICUでの業務、そして夜のER当直などテキパキと頑張っています。


群馬県は関東にありますが、特に茨城県、栃木県と合わせて北関東3県といわれています。
北関東3県はそれぞれドクターヘリを所有しており、さらに『北関東広域連携』で手を結んでいて、自県ヘリが出動中の重複要請については隣県ヘリが出動できるようになっています。よくテレビ番組では、「北関東3県はライバル関係(特に低いレベルで・・・(T_T))」と評されることが多いのですが、いえいえそんなことはありません。

2012年度北関東3県ドクターヘリの要請数は2884件、出動数は2325件でした。北関東3県の人口は約700万人いるので、単純計算で約3000人に1件の出動したことになります。1日当たりでは6.4件出動していたことになります。
また広域連携では、栃木県が茨城県に19件、群馬県に7件で応援出動し、栃木県には茨城県から9件、群馬県から8件の応援出動がありました。
なにかと存在感のうすい北関東ではありますが、ドクターヘリに関してはこれからも協力してもっともっと盛り上げていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。もちろん北関東にとどまらず、さらに周辺各県を巻き込んで発展できればうれしく思います。

2012年度 北関東3県ドクターヘリ要請・出動数

 『2013年は北関東が熱い!』がキャッチフレーズです・・・勝手に考えました。


ちょっとばかり群馬県について考えてみましょう。
群馬県は6月に太田記念病院が救命救急センターとして開設していただいたおかげで、人口200万人に対して救命救急センターが3つになりました。しかし茨城県は300万人に対して5つ、栃木県は200万人に対して5つあり、まだまだ救命救急センターの数が少ないです。また大学病院を合わせても人口比に対する3次救命施設の数が少ないのが群馬県の現実です。

その不足を補完すべく「空とぶ救急治療室」ともいえるドクターヘリがあります。群馬県は5年目になりましたが茨城県、栃木県の方が運航開始してからの出動数の伸びが多くなっています。消防覚知からドクターヘリ要請までの時間も、2012年度上半期は12分までようやく短くなってきましたが、下半期になって18分と急に遅くなりました。
いまのところドクターヘリは、消防本部にスイッチを入れていただけないと出動することはできません。命はなにものにも代えることはできませんので、活動中の1人でも必要だと思ったらスイッチを入れるようにお願いします。地域によって提供できる救命医療の格差を少しでも縮めるためにも、もっとニーズがある地域があるはずです。
北関東3県ドクターヘリ 運航開始からの出動数の推移

今年度もドクターヘリ症例検討会を行います。
今年度からは再び年4回に戻し、時間もすこし長くして症例検討数も増やします。また搬送先病院の方々とももっとコミュニケ―ションが持てるような機会を作ったり、日本のトップレベルの運用を行っている施設からの特別講演なども予定しています。
特に現場で活動している消防関係の方々がもっと意見を言いやすいような内容にして、より現場が動きやすいような環境が整えるよう考えているところです。

コメント

  1. 毎週拝見しています。
    消防覚知から要請までの時間が12分や18分というのは結構かかるものなんですね。遠い地域であれば40分くらいかかってしまうのかな?
    人口3000人に対し1件という出動頻度は相当身近になってきているのかもしれませんね。大阪と奈良の例のように広域連携でトラブルが起きていることもある中で3県の協力体制が出来ているのはすごいことだと思います。

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  2. 金田一さん、いつもありがとうございます。
    日本一出動数の多いところでは、消防覚知からドクターヘリ要請まで平均6,7分とのことです。それだけ早く患者さんに接触することができるので、救命率や社会復帰率も高くなります。
    群馬県では運航開始してから約4年間でおおよそ人口850人に1人はドクターヘリで対応したことになります。ドクターヘリをもう一つの救命センターとして考えて頂ければ、もっともっとニーズはあると思っています。
    これからも隣県と協力しながら発展できるように頑張ろうと思います。ちなみに北関東広域連携では『金銭のやりとりなし』で¥運用しています。『おたがいさま』の精神です!お金が絡むとだいたいもめますね…

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  3. 町田浩志先生 御机下
    妻の在職中は大変お世話になりました。ありがとうございました。伊勢赤十字病院でも、救急救命センターに配属されたようです(歳なのでついていけるのか心配ですが)。
    いつも欠かさず拝見して勉強させていただいています。私のフィールドである伊勢は、地域医療事情が非常に厳しいので、地域連携に熱心です。ドクヘリも飛び始めましたが、発展途上です。私も地域の側が、受け身ではなく主体的に「病院を守る、地域医療を守る」活動と研究をしています。インフルエンザ地域対策を手掛かりにした地域の災害対策です。三重県は西の大震災が起これば、最前線になってしまうからです。運命の時計の針は、ゼロを目指して動いています。そのために、地域の看護の力を発揮していただく取り組みをしています。
    今後とも、ご指導どうかよろしくお願いいたします。いつか先生を看護教育FDの講師にお呼びできれば、などと考えています。先生のご活躍と前橋赤十字病院の高度救急救命センターのご発展を心からお祈りいたします。
                  公立大学法人愛知県立大学看護学部 微生物学・感染制御学担当教授 清水宣明 拝

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  4. 清水先生、コメントいただきありがとうございました。
    清水師長には、5年前に僕が救急科医の道を歩み始めて当院に来た時から、いろいろ親切にご指導いただきました。この1年も集中治療室の様々な検討事項を丁寧に対応していただき、看護師と医師のチーム医療の橋渡し役として、当科スタッフが本当に助けていただきました。
    三重には大学病院時代の上司や様々な研修コースでインストラクターとしてご一緒させていただいている先生、またドクターヘリ関係で親しくさせて頂いているドクター、ナースがいらっしゃいます。先日も高崎で伊勢赤十字病院の方々と楽しく食事をさせて頂きました。
    これからもいろいろな場面で連携する機会が多いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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