相馬原駐屯地で実機訓練を行いました。

町田です。

以前より国では『広域医療搬送計画』というものがたてられています。
広域医療搬送計画については、内閣府のホームページに以下のように記載されています。
『大規模震災時被災地では、重傷を含む多数の負傷者が発生する他、医療施設の被災による機能低下や医療従事者の負傷などにより、十分な医療を確保できないことが予想されます。そこで、重傷者の救命と被災地内医療の負担軽減を図るために、重傷患者搬送に従事する災害派遣医療チーム(DMAT)・救護班を被災地外から派遣し、重傷患者を被災地外の災害拠点病院等へ搬送し救命することが必要であり、これら一連の活動が広域医療搬送です。』

簡単に言うと、被災地内で対応しきれない分を被災地外で助けてあげる仕組みで、被災地内⇒搬送⇒被災地外で傷病者の安定化を図るのがDMATの役割です。そして被災地内から被災地外への搬送に“自衛隊大型ヘリ”を使用するものを広域医療搬送と呼びます。
もともとは東海・東南海・南海地震に対して計画されていたものでしたが、2年前の東日本大震災においてはじめて『広域医療搬送』が行われました。


DMAT隊員は主に病院から派遣されますが、もちろん普段から病院での勤務中に自衛隊大型ヘリに乗る機会はありません。当院もドクターヘリ基地病院でありますが、ドクターヘリ以外にはやや大きめの防災ヘリに乗ることはあったとしても、当然ながら自衛隊機の大型ヘリに乗る機会はありません。
しかしこの先も日本では大きな地震が起こることが予想されており、広域医療搬送が再び行われなくてはいけない状況になるかもしれません。特に群馬県においては、首都直下地震や東海・東南海地震などで多くの傷病者を受け入れるべき県になることは、行政、消防、医療関係者においてはすでに心構えができているはずです。
その際に群馬県で唯一の飛行場がある陸上自衛隊相馬原駐屯地で、3月12日に自衛隊大型機による実機訓練が行われました。

日本DMAT事務局がある災害医療センターDMATインストラクターと陸上自衛隊第12旅団の皆さんの多大なるご支援のもと、中野センター長の進行のもとで訓練が行われました。
参加DMATは県内6チームを含めて10チーム約40名が集まりました。当院および日赤群馬県支部からもスタッフとして6名、受講生として4名が参加しました(当科からは中野センター長、町田がスタッフで、藤塚先生が受講生として参加)。

(*本ブログに掲載の画像はすべて了解を得て掲載しています。)
今回使用したCH-47をバックに記念撮影です!副旅団長の『一期一会を大切に』の言葉で実現しました。

今回の訓練で使用したのは“チヌーク”とよばれるCH-47という機種で、人員輸送なら最大55名、担架による患者輸送であれば24名を一度に運べる大型ヘリです。
広域医療搬送においては、重症傷病者に対して医療資器材も一緒に搭載するため、4名の傷病者とDMAT 2チームで1機という基本フォーメーションを予定しています。

 
傷病者を移動する際のレスキューカーや担架の使用法、ヘリに搭載する資器材のバック
ボードへの固定法を練習し、そして実際に担架を機体に搭載して固定する訓練を行いました。

 
そして今回の訓練では実際にCH-47が上空を旋回していただくことになり、ローターが回って周囲に強いダウンウォッシュが吹き付けている状態での機内への安全な搭乗や、実際に機体の中でのバイタルチェックや急変時の対応を経験しました。

とくに騒音の中でいかに機内で円滑に活動するか、また自衛隊とDMATでいかに連携できるかは、すべてコミュニケーションがうまくできるかどうかにかかっています。機内ではジェスチャー・ハンドサインが必要であったり、乗り込む前に作戦をしっかり立てておく重要性を、初めて実機に乗ることによって痛感することができました。


今回の訓練では相馬原駐屯地の第12旅団の全面的な協力をいただきました。副旅団長が東日本大震災の際に仙台で様々な活動を行っていたとのことですが、 「以前より東北で訓練を繰り返していたことが実際に救護活動で大いに役立った。」とおっしゃっていました。やはりこれから群馬県でも繰り返し訓練が必要です。
そして今回の訓練の開催にあたり、準備から指導まで充実した訓練のために尽力していただいた災害医療センターDMATインストラクターの皆様に心より感謝いたします。


今日は防災ヘリ・県警ヘリ・ドクターヘリ合同勉強会が開催されますが、今回は自衛隊の方も参加していただけることになりました。このようなつながりをこれからさらに深めていきたいですね!

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